玉座
取り合えず、ノエルに周囲の状況を確認するように命令した。極力戦闘を避けて、見つからないように命令しておいた。できれば相手に見つかっても殺さないようにとも。万が一の場合はテレパシーで、俺に連絡するように言っておいたから大丈夫だろう。一先ず、周囲の状況の把握はこれで問題ない。後の対応は玉座の間で報告を聞いてから、考えるとしよう。
ちなみに、天使は人間のように話す事が出来るが、設定ではテレパシーを用いて話す事が出来るとされていた。テレパシーは限度があるが、かなり距離が空いていても話すことが出来る。また、専用のチャネルを作り、グループでテレパシー(グループ電話のようなもの)を使う事もできる便利なものだ。ゲームではこんな設定あってどうするんだと思っていたが、それに助けられる日が来るとはなッ!!。
残りの部下は自分の周りの警護をしようと、俺が城の把握を行おうとするのについてこようとしたため、その場で待機を命令しておいた。もしついてこられたら、俺が何もこの城の構造を知らない事がばれ、主に対する尊敬の念が弱まってしまうかもしれない。それはゲーム内でのノアのキャラを改変してしまう行為であると思う。俺はあくまでゲームの中のノアのように完璧で冷酷な君主像を崩してはいけないのだ。かつての一ゲームプレイヤーとしてファンとして、それを崩す事は俺が愛したグロリファスのキャラを改変しているのと同じことであり、冒涜であり、なんだか大切なものに泥を塗っているようにも感じる。しょうもない信念と言われようと、これは俺として非常に許せない事だ。
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天空城の把握も簡単であるが、終わった。天空城は五層式になっており、一層(地上部分)から以外入る事は出来ない。地上部分は豪華な西洋風の城が建っており、ここで侵入者を防衛するように見える。二、三、四層は武器庫、使徒達の部屋、練兵所、会議場、諜報室、倉庫など軍事施設としての色合いが強い空間が多く存在しているように感じる。五層は玉座と管理室が設置されているようだ。管理室は城全体の防衛を管理しており、重要度の高い部屋も常時監視しているようだ。玉座の間は舞踏会でも開けそうな広さがあり、最奥に真っ白な大理石で出来た主張の強いバカでかい椅子が鎮座していた。座ると結構爽快であったが、人前で座るのはなんだか気恥ずかしいような気がした。