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グロリファス

 グロリファスは2〇×△年に発売されたシュミレーションゲームだった。大々的に発売されたわけでもなく、ひっそりと告知もなく販売webサイトで売られていた。セールで安売りされていた事と少しだけ残っていたポイントを使い切るのにちょうどよかったという理由で買ってしまったが、やり始めると止まらなかった。


主人公はエリュシオンと呼ばれる幻想郷にいる天使ノアが配下を率いて、聖戦と称して、地上の国を支配していく。しかし、このゲームの特殊性は支配の手段が力だけでなく、あらゆる手段が認められている点であった。魔法以外にも、仲間を増やすために宗教を布教したり、信者を増やしたり、強制的に洗脳などを行い、他国で反乱を起こす事も出来た。その攻略方法の多種多様さに、俺はどっぷりはまってしまった。特段、プレイが上手いわけではなかったが、力技が通じない相手を頑張って陥落させるのがとても楽しかった。会社にで働いてから、飯を食べて寝るという白黒の単調な人生にそれは鮮やかな色をもたらしてくれた。


思い出せば、主人公のノアは左右に二十枚の翼をもっており、顔はギリシャ彫刻のような整った顔立ちであった。基礎能力はあまり高くなく、力、体力は配下に劣るが、それを補うほどの使用できる魔法の種類の多さと特殊スキル“魅了・indoctrinate”があった。配下は7人の使徒と言われる強力な配下がおり、主に絶対の忠誠を誓っている。これらをフル活用した俺に当時、敵はいなかった。どんな巨大な帝国、王国も滅ぼしてきた。


そんな楽しい記憶が走馬灯のように体の中を駆け巡った。しかし、今はそんな記憶に浸っている暇はないと我に返った。とりあえず、今からするべき事を考えよう。


まずはこの天空城の把握だ。話からここが天空城であると予測できる。ゲームでは天空城自体は出てきたが、オブジェクトとしてであり、使う事はなかった。そのため、どのような仕組み、貯蓄、防衛設備があるのか確認しなければならない。


次に、周囲の状況の把握だ。最初は草原だと思っていたが、ここは天空城である。そのため、どこかの空を浮遊しているだろう。しかし万が一、浮遊している場所がどこかの国家の上ならばいつ攻撃されてもおかしくはない。


その後は、部下の把握である。主たる7人は把握している。しかし、それ以下の天使達は消耗品扱いであり、なくなれば補給していたが、ここではどうなのかわからない。


最後に元の世界に帰れるかどうかである。もしここが俺の想像している世界であれば、ここに転生したことは神に感謝しているが、もしそうでないならば.......。ゲームではいくつもの国家を滅ぼし、人を殺めてきたが、ここでも同じことが出来るだろうか。目の前の敵、人間を殺すことが出来るだろうか。わからない。だが、これはとりあえず、後でゆっくり考えても遅くはないはずだ....。

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