天空城で
ここがどこでどういう状況なのか、周りにいる天使やノエルに聞いてもいいが、どうもまだ話すのは緊張してしまう。しかし、その一方でどこか彼らが自分に対して忠誠を示すのは当たり前だと思っている自分がいる。何か怖い、でも聞くしかない‼。必死にどう聞くかを考えた末、俺は転生をしてこの体に命が宿っている。つまり、この体は俺が来る前まで、存在しており、何か活動をしていたに違いないと今のところは結論付けた。そして、俺が想像するノアの威厳を崩さず、かつ、さも気だるげな雰囲気を出しながら
「ノエル、今のお前が知っている事を皆にわかるように大きな声で共有してやれ」
といった。そうすると、ノエルしばらく、と言っても一瞬だが、考え込み
「かしこまりました。かつて私達は天空城のなかで長きにわたり眠っていました。しかし、今日、われらが主、ノア様が我々の忠誠を認め、眠りを解いてくださいました。この恩を忘れる事なく、皆さんをその身を尽くして、忠誠を示さなければなりません」
そこでいった言葉を途切ると、恐る恐る
「その後、我々がこの場に来た際に飛んでいらっしゃるノア様の姿が見えました。お声がけをしようといたしましたら、少し、少し..........」
なんでそこで切るんだと思いながら、
「早く話せ」
というと、ノエルは目を泳がせながら
「不自然なご様子で、......地上にお近づき(落下)になられたので、...我々が....駆け付けたところです。」
「不要な事を私どもがしてしまい、申し訳ございませんでした。」
そういってまた深々と頭を下げる。他の奴らも頭を下げているが、最も元々地面に頭がくっつくように頭を下げている為、差が分かりにくい。だが、俺も全くどうかえせば良いかわからない。とりあえず
「良い。感謝する」
とだけ言っておいた。そう俺がいうと、急にノエルの表情が変わり如何でしょうかと言わんばかりに、こちらを見て胸を張った。単純な奴だと突っ込みたくなったが、それ以外に色々を突っ込みたい事と自分の予測が見当はずれであることの恥ずかしさも色々あるので、今は腹の中にしまい込んでおく。
先のノエルの話から改めて推測するに、恐らく俺は何等かの要因でこの世界に転生してきた際に、どういうわけか天空城と天使軍団もついてきたというわけである。つまりこいつらはこの世界、もしくは地球という説もまだあるが、を何一つ知らないわけである。そして当然おれもわからない。わかるのはかつて俺が人生の大半を注ぎこみ、皮肉にもそれにより命を落とす事になった、ノエル達が登場するグロリファスというゲームだけである。