表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

僻地④

ルークやコニーが王の不在に気づく少し前――

ノアは、以前こっそり見つけていた玉座裏の隠し通路を使い、静かに城の外へと抜け出していた。


城の周囲は濃い霧に包まれていて、東西南北どちらの方角へ向かっているのかすらはっきりしない。どこかへ飛ばねばならないのは確かだが、運が悪ければ遠征隊と同じ方向に出てしまうだろう。――その時は…まあ、諦めよう。


今になって、せめて前に見つけたあの村の方角くらい聞いておけばよかったと、少しだけ後悔する。


だが、そんな悠長なことを言っていられない。早く離れなければ、すぐに追手――いや、“味方”が来てしまう。そしてまた、どこへ行くにも過保護な護衛がついて回る生活が始まるのだ。


もちろん、あいつらを嫌っているわけじゃない。ただ、今は少しだけ、一人になりたいだけだ。完全に、誰の目もない時間を過ごしてみたかった。ただそれだけの理由だ(弁明)。


そろそろ使徒たちも異変に気づいて、探索に乗り出してくる頃だろう。大抵の探索魔法はなんとか防げるが、神話級の術を使われたらさすがに逃げきれない。


中でも厄介なのは――探索魔法の使徒、フィン。


そういえば今日、城であいつの姿を見かけた気がする。

……ああ、まずい。遠征隊として外に出しておけばよかった(後悔)。


それにしても――俺、飛べるのか?


今まで地面の上を普通に歩いていたから気にしてなかったけど、よく考えたら天使って飛べるんだよな。

いや、飛ばなきゃいけないんだよ俺は!

天使は、魔法がなくても空を飛べる。それは特性、初期装備、仕様ってやつだ。俺は天使の王だ。行けるはずだ。


……よし、試してみよう。


「せいっ!!!!!!!」


――意外と、あっさり飛べた。

なんというか、肩甲骨のあたりをほんの少し意識して動かすだけで、ふわっと浮かぶ感じ。力はまったくいらない。


行ける。これは行けるぞ。


気を取り直して、このまま正面に向かって、行けるところまで飛び続けよう。

――というか、飛ぶのって案外楽しいな。

たとえ途中で捕まったとしても……まあ、少しは楽しめるだろうし、それならそれでいいか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ