表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/23

僻地➂

玉座の間に到着したが、王の姿は見えなかった。警護の兵に尋ねると、「つい先ほど、どこかへ急いで向かわれました。恐らく、お部屋に戻られたのでは」との答え。そこで部屋をノックしてみたが、返事はない。


(もしかすると、以前のように釣りにでも行かれたのだろうか)


そう考えたルークは、コニーと手分けして王を探すことにした。だが、城内のどこを探しても、王の姿どころか痕跡すら見つからない。


胸騒ぎが強くなる。ルークは言った。


「コニー、君は管理室でログの確認と、親衛隊への聞き取りを。命令の内容が分かれば、何か手がかりが得られるかもしれない。私は兵を全員動員して、城全体で王を捜索する」


普段なら指揮系統に口を挟むコニーだが、今は何も言わず、すぐに行動に移った。


ルークは部下とのチャネルを開き、王の行方を追うよう命令を下す。天空城はまるで蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、使徒から末端の歩天使まで総出で、城の上から下までをくまなく探し始めた。


それでも、王の姿はどこにも見つからなかった。


ログには痕跡がなく、親衛隊の返答も「親衛隊の様子を偵察せよ、とのご命令でした」というだけ。


これは――非常事態だ。


王の捜索こそ、今この瞬間、我々が最も優先すべき任務である。 ルークは、ついにある決断を下す。


「……フィン、第五使徒として、俺が責任を取る。魔法の使用を許可する」


この一言に、コニーとフィンの目が大きく見開かれた。


フィンは探索系統に特化した使徒だ。しかし、王直属の使徒が、その力を行使するというのは――主君に弓を引いたと見なされてもおかしくない。特に「正義」の象徴であるヒューが聞けば、激怒したに違いない。


「いいんだね……僕は、知らないよ」


フィンは小さくつぶやくと、ルークを一瞥し、空を見上げる。そして静かに詠唱を始める。


彼を中心に、空間が波打つように揺れ、巨大な魔法陣が浮かび上がる。


その詠唱は、静かでありながら、空気を切り裂くような力を帯びていた。


「欺きの幕よ、真理の光に焼かれよ―― 見えざる魂よ、我が目に姿を見せよ―― 頁をめくりて、真実を我に示せ――


《ワールド・アカシック・サーチ》」


その瞬間、空全体が曇った。 次いで、ガラスが砕け散るような音。 詠唱の終わりとともに、すべてが晴れ渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ