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僻地

会議の後、俺は突如として沸き上がった旅への衝動に突き動かされ、俺は玉座の間を後にした。


「ふうぅぅぅむ……悩ましいなぁ」


疲れた会社員のように息を吐き、転生前の自分なら考えもしない“旅”の計画が頭を巡る。異世界で国を統べる王という重責は、一歩間違えれば足かせとなる。そこで思った。


(重荷はひとまず置いて――旅に出よう)


名目は敵情視察。王の行動と認めさせれば、追っ手にも咎められまい。思い立ったが吉日、俺は立ち上がった。


しかし、障害は山積だ。常時側に控える親衛隊。城門を守る見張り。そして、俺の不在に気づけば全使徒が捜索に動くだろう。索敵・戦闘能力では使徒たちに敵わない。


「ふうぅぅぅむ……」


いくら思案しても妙案は浮かばない。ならばと開き直り、行き当たりばったりを決意した。王たるもの、完璧でなくとも進むべき時がある。


(まずは、親衛隊を外にやらねば)


呼び寄せた隊員たちに声を掛ける。


「おい、お前たち。ちょっとノエルの様子でも見てこい」


笑顔で返答しようとした隊長を、一瞬だけ鋭い声で制する。


「違う!! 俺の目で見てこいと言ったんだ」


隊員たちは肩を震わせ、隊長が震え声で抗議する。


「しかし……王の護衛が」


俺は冷たく微笑みかける。


「お前ごときが、俺の安全を心配するのか? 俺が弱いとでも言うのか?」


その一言で、隊は沈黙。やがて一斉に土下座した。


「申し訳ございません。何卒お許しを!!!」


俺は優しく頷き、最後の命令を告げる。


「ならば行動で示せ」


隊は飛ぶような速さで玉座の間を退出し、その扉は静かに閉ざされた。


――こうして、俺の小さな脱走計画は動き出した。最初の一歩は、王の威厳を振りかざした『命令』によって成し遂げられたのだ。



書いてて思ったけど、主人公やばいやつかもしれん。情緒不安定

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