転生
「ピンポーン」
その音で俺は急いで玄関に向かった。インターホンで確認しなくてもわかる。
押したのは配達員さんであり、楽しみにしていたフィギアを届けてくれたのだと。急いで玄関をあけ、サインをし、品物を受け取った。
うれしい。もうそれしか感無量すぎてその言葉しか出てこない。
とうとうこれで俺の軍団が完成する。急ぎとは裏腹にゆっくりと部屋に戻り、割れ物を触るかのようにフィギュアを出して、机に置いた。
体の半分は悪魔のような姿をしており、もう半分は天使のような見た目をしており、頭には欠けた輪を浮かべている。そうこのフィギュアこそ俺の天使軍団の長であり、その名もノアなのである。
俺はゆっくりと息を吐くと、いつまでも眺めていたい気持ちを抑え、大勢の天使が並ぶ中央に鎮座する禍禍しい椅子にそっと座らせた。だがこのうれしい気持ちをどうにか体で表したいと思い、大きく叫びながら、立って踊りだした。
いつもならゲームの台パンの音ですら、隣の部屋からの苦情により躊躇してしまうのが俺である。でもそんなのは今どうでもいい、そんな考えを喜びでかき消すように激しく踊った。
しかし、運動不足と貧血が祟ったのだろうか。立ち眩みでよろけてしまい、倒れてしまった。フィギュアがおいてある棚を避けるように倒れたのがまずかった。
今考えると、それが原因で俺の命は散ってしまった。
だがしかし、フィギュアをよけた俺の選択に一点の後悔もない。
まあその後は、皆さんお察しのように机の角で頭をしたたかにぶつけた。
目の前が激しくひかり、徐々に光を失っていった。
霞みかける意識の中で見たのは倒れた衝撃で、棚に飾ってあったフィギュアたちが俺の上に落ちてくるところであった。