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あーしの楽しいはずの夜

 初めまして赤色の魔法陳です。陣ではなく陳です。深い意味はありません。別の小説サイトで間違えて付けていたのに気付いてそのままにしたのでその漢字になりました。今回は小説家になろうにもオリジナル小説を出したらどうなるかという事を考え、風呂に入っている時にインスピが湧いたものを書いてみました。どれだけ続くかはわかりませんが見ていただけると幸いです。

 世の中には様々な人がいる。汗水垂らして働く社会人、子供の面倒を見る専業主婦、老後の人生を楽しむ老人、勉強に勤しむ学生、政治を担う政治家……みんなみんな枠に収まって窮屈そうに生きている。


 責任だとか夢だとか家族だとか人には切って切り離せないものがいくつも存在し、それに縛られながら日々の生活に精を出している。そうしてこの世界は今日も円滑に周り、幸せと不幸に満ち満ちている。


「マジだるぅ〜、肌のノリ悪いんですけど。ヤる時はメイク落としてからにしろっての、つーか髪にこびりついてるし最悪〜」


 そうなれば必ず存在している責任も夢も家族も何一つないただの人間、将来の事など考えず目先の快楽に身を委ね今日という日が自分にとって満足ならばそれでよし、傍から見れば自己中とも自分勝手などと批判を喰らうであろう何も考えていない人間。


「っぱ顔イケててもテクがヘッタクソなの多いし〜、今日はワンチャン歳上とか狙ってみるのもアリよりのアリじゃね!?」


 鏡の前で大きな独り言を呟きながらメイクを完成させたその人間はリビングに置いてあった賞味期限切れの食パンを鷲掴みにして口へ頬張ると勢いよくドアから飛び出していく。


「さぁ~て、今日はどんな男にお持ち帰りされよっかな~」


 何にも囚われない人間、四条(しじょう) 春奈(はるな)は貞操観念の軽い発言を繰り返しながらその一日を始める。



 ※ ※ ※ ※ ※



(講義鬼ダルぅい、役に立つ知識どこにあるん?)


 大学の抗議中机に身体を預けながら春奈はネットサーフィングに勤しんでいた。最近の炎上情報、タレントのSNS、流行りのコスメ、とても講義に関係あるとは言えないものばかりだ。


 出席も取らない上に試験は形式上、言わばFランク大学と呼ばれる場所の大学生の彼女は日々自由に生きている。適当に講義を受けながら適度にサボり、バイトに行ったり行かなかったり、似た様なメンツと飲み会や合コンに行き、男を取っ替え引っ替えして遊んだりしている。


 そして帰れば少しシャワーを浴びて携帯をいじり寝るだけ、家でまともな食事をすることなどなくお金をかけるのは服と装飾品だけ。しかし当の本人はこのいい加減とも言える生活にとても満足していた。


(大学って高校みたいにウザいセンコーから何も言われないし、好きな事に金使って暮らせるしサイコー、お金なくなる前にどっかの男捕まえるか、死ねばいいし人生楽勝じゃんね)


 合コンで同席する女友達からもバカな部分に目を瞑れば愛くるしい顔と抜群のスタイルは良い、と言われる彼女は自分の美貌に自信を持っており、この美貌が続く限り自由に生き続けそれが無くなったら自殺でもすればいいという短絡的な思考を持ち合わせていた。


「ん、やりぃ! 合コン入った! ハイスペイケメン来い!!」


 祈祷するかのように手を合わせ友人から送られてくる顔写真を待つ。そして彼女のお眼鏡に適ったフェイスがいるのを確認しガッツポーズを取ると、講義の途中にも関わらず足早に部屋を出ていく。


 彼女が大声を出して退席したところで他の生徒が止める事はない。講義を真剣に聴いている生徒など1人もいない。ここには彼女のように将来を夢見て勉学に励んでいるものなどいないのだから。


「そうと決まればショッピングにGO!講義なんて知〜らね!」


 大学構内から出た彼女はその足で駅へと向かい有名ショッピング店が立ち並ぶ場所へと向かう。彼女のポリシーとして勝負前は新しい服で着飾るというのがある。合コンは全て一期一会、出合った男ともワンナイト、懐が寒いのは主にこのせいだろう。


「待ってなあーしの未来の彼ピッピ!」



 ※ ※ ※ ※ ※



「マジガン萎えなんですけど〜、ビッチは無理とか」


 ポイ捨てされた空き缶を煌びやかなヒールで蹴飛ばし春奈は悪態をついた。合コンは途中まで上手く行ったものの多少距離を詰めるスピードが早かったのか男慣れしているビッチだとバレてしまったのだ。


「まぁ、次次! アイツのあーしの見る目がないだけ」


 だがそれしきの事ではめげない彼女は気持ちをすぐに切り替え、宣誓するように天高く拳を突き上げる。どうやら酒が回っているらしい。


「今月キビぃし帰るか……ん?」


 財布に余裕が無くなった彼女が帰宅の意思を決めた時、偶々横の通りで男女が言い合っているのが聞こえたきた。顔を半分覗かせながら少し聞くと黙って合コンに行った女性を恋人らしき男性が怒鳴っているところだった。


「なんで別に一次で帰ったから良いじゃん!!」


「それ以前に言わなきゃいけない事あるだろ!!」


 周りが迷惑そうに言い争ってる二人を避けながら歩行しているが、周りなど見えていない二人は徐々にヒートアップしていく。


「うわぁ、彼氏の束縛強、あんな重いのあーし無理ポなんだけど」


 夜の繁華街ではよくある事かと気にしない振りをしながら立ち去ろうとすると目の前に自分と同じ体勢でその二人を覗いている男がいることに気付く。


(何コイツ?)


 男は目が隠れて見えない程の前髪とボサボサの後ろ髪、顔にはニキビがいくつか見受けられ、堂々と覗いているのではなく少し猫背で尻込みながら二人の喧嘩を覗いていた。


 ふと男と目があったような気がした彼女は気味悪そうな顔をすると眼中にないといった風に無視し、通り過ぎようとした。


 するといきなりその男に腕を掴まれ驚いた彼女は放せと叫びながら腕を振り払った。男だから力が強いかと思っていたが意図も簡単に振り解けた事に驚きつつ男に退治する。


「なにナンパ? 鏡って見たことある?」


「え……あ、ありますけど……」


 ボソボソと喋るその男に合コンの件を思い出して苛立っていた彼女は珍しくも語尾を強めながら怒鳴った。


「聞こえないんだけど⁉」


 周りがこっちも痴話喧嘩かと呆れながら避けて通るのを見て、これ以上時間を取られたくないと思った彼女は未だにボソボソと聞こえない声量で話す男を無視して帰路に付こうとする。


「あ、あのっ!! た、助けないん……ですか?」


 急に大きな声で叫んだかと思うと男はあり得ない提案をしてきた。彼女が睨み返すとヒィッと気味の悪い声を上げ、再び男は呪文の様にか細い声で何かを喋り続ける。


 いい加減イライラが抑えきれなくなってきた彼女は掴みかかりながら男に怒鳴りつける。


「聞こえないって言ってんの!! 大体あんな赤の他人の喧嘩に突っかかるわけないでしょ! あーしは責任とか……」


「キャァァァァッッ!!」


 怒鳴り散らしている途中に先程の通りから悲鳴が聞こえてくる。彼女がその方向を見ると男性が何か光る物を持ち、女性が地面に横たわっていた。


 女性の周りには何か液体が溢れているが周りの人の金切り声、男性が持つ光る物がナイフだと言う事を理解した彼女は先程までの怒りが嘘のように消えていた。


 取り敢えず逃げようと思っていると、先程まで胸ぐらを掴んでいた腕を男が懇願するかのように掴み返していた。すぐに振り解き踵を返したところでヒールの踵が壊れ男を巻き添えに倒れ込む。


 すると横に倒れた男の懐からポーチ程度の大きさの機械的な物が転げ落ちた。見たこともないそれに興味を惹かれ手を伸ばそうとするが、そんな事をしてる場合じゃないとヒールを脱ぎ捨てて起き上がろうとする。


 その時、背後に悪寒を感じた。今まで生きてきた中で感じた事がない感覚。生理のだるさとかではなく生命の危機に関する最も根本的なものに近いのかもしれない。その恐怖の原因は振り向かずとも突き止める事が出来た。


「何見てんだぁ?」


 女性を刺した犯人が後ろにいる。まだナイフを持っているかもしれない。覗いていたのに気付いてた?彼女を刺したことでタガが外れて他の人まで刺すつもりか?容量の悪い脳みそで彼女は考えようとするも恐怖のあまりそれどころでない。


 取り敢えず尻餅をつく姿勢になりながら両手を上げて敵意がないことを示す。向き合ってわかったことだがやはり血だらけのナイフを手に持っており、いくらか眼も血走っていた。


 先程まで賑やかだった通りが一変、叫び声あふれる世紀末の様になり蜘蛛の子を散らすように皆が一目散に逃げていく。


「気、気の所為だって! あーしボーっとしてることあるし! ね⁉ 一発ヤらしてあげるからさ、そんで賢者タイムにもなったら考えも……」


「俺はそういう軽い女が大嫌いなんだよ!!」


 彼女なりの精一杯の慰めのつもりだったがそれが相手の逆鱗に触れてしまい男性のナイフを握る手に力が入る。彼女はマズいと思いながら立ち上がることができず、後退りしていると手に何か固い物が触れた。


 一か八かそれを握り締め男性に向かって投げる。投げたそれは男が先程落としたポーチ大の機械であり、それを男性が払おうとして腕が当たった瞬間電撃が走った。


「ッ痛ぇ⁉」


 痛みで男性がナイフを落とした隙に全身の力を振り絞り立ち上がって逃げ出す。一緒に倒れた根暗男の方を横目で見るとそこに男はおらず数メートル先の看板の陰に怯えるように隠れていた。


 人が襲われてる時にあの男……と思っていると脚に痛みが走りコケてしまう。ふくらはぎを見ると先程まで恐怖の対象であったナイフが刺さったていた。ヤケクソで投擲したナイフが運悪く春奈に刺さってしまったのだ。


 脚を引き摺って逃げる間もなく、追いつかれた男にそのまま髪を引っ張られながら無理やり立たせられると壁に顔を叩き付けられる。顔面にジンとした痛みが広がり目が開けられなくなると、今度はそのまま壁に顔を押し付けられた。


「い゛ったぁっっ!!」


 力の強さも根暗男の比にならない。彼女が全く抵抗できずなにされていた。心の中で今日の服はお気に入りだった、朝念入りにしたメイクが、顔が腫れたら合コンに行けないという文句ばかりが彼女の中で沸き上がる。


 それでも一番に思うのは、こんな形で死にたくないという気持ちだった。誰よりも自由に行きたい、人生は楽しんだもん勝ち、それをモットーにしている彼女にとって今日は楽しくない事の連続である。


 いつもと同じで合コンに失敗しただけなら笑い飛ばして寝て起きたら忘れて次に切り替えれる。だけど今の状況は笑い事じゃない、次に切り替える前に下手したら死ぬ。


「やだぁ……死にだくないぃ」


「うるせぇ、死ねよ」


 最後に絞り出した言葉はこれまでの彼女の性格ではありえない言葉だった。半開きの目に涙を浮かべながら言う彼女に慈悲すら与えず男が拳を振りかざした瞬間……


「わ゛あああぁぁぁぁっっ!!!!」


 叫びながら突進してきた何かに体当たりされ男は横に倒れ込んだ。打ちどころが悪かったのか頭を抱えてしばらく動けそうになさそうだ。突進して来た物の正体を確かめようとするとそこにはビジネススーツのOLが倒れ込んでいた。


「きゅ、救急車、えーっと何番だっけ……ああっ⁉ 推しのスマホケースがぁ」


 取り出した携帯のスマホケースに傷が入った事が先程の衝撃で眼鏡のレンズにヒビが入った事よりもショックだったようで嘆いていた。だがこのチャンスを生かさなければと痛みの引かない顔面を抑えながら春奈は立ち上がり逃げようとすると今度はそのOLに男の蹴りが入る。


「ぐふっ!!」


「どいつもこいつも舐めやがって!このクソアマがぁぁぁ…あああぁぁあ!?」


 男が叫びながら倒れたOLに何度か蹴りを入れた。すると激昂している男の口から突然触手のようなものが複数本飛び出し、それらは身体を瞬く間に覆い尽くし男性を異形の姿へと変えていく。


 頭髪は髪の毛一本一本が縄を模したものに変わっており、右手は手錠のような輪っかに左手は南京錠の見た目の鈍器が付いている。顔は彫刻像のような仮面に覆われ元の男性の顔の面影は全く見受けられない。


 最早殺人犯とかではなく人ですらない怪物だがこちらに注意がが向けられていない今なら逃げられると思った春奈は無視して逃げようとする。


 あのOLは自分の身代わりになってくれただけ、首を突っ込まなくていい事に首を突っ込んで標的が変わっただけ、私はまた自由に生きるんだから。こんな事一日も早く忘れて楽しく暮らして……


「助……けて」


 その声が聞こえた時、彼女はその足を止めていた。そして再び走り出した。自分でも何をしているのか理解していないまま身体だけが反応していたのだ。


 走った先は逆側、OLが襲われている方向、春奈が手を伸ばしたのは一度男性に対して投げ付けたあのポーチ大の機械。これをもう一度投げれば……そう彼女は思って振り被る。


 しかし投げようとする手を何者かに掴まれて彼女が振り向くと、その手を掴んでいたのはあの根暗男だった。自分の所有物を取り戻しに来たのかと彼女が思っていると、彼は再びボソボソと何か呟いた後急に大声を出す。


「ち、違います! これは投げるものじゃない……っていうかその……しっ、失礼します!!」


 彼は機械を彼女から取り上げるとそれを彼女の腹に思いっきり押し付けた。腹部を殴られたような感触がした彼女は彼を殴ろうとするも腹部に違和感を感じる。


「ちょっ⁉ 何これ?」


 先程の機械から帯が出現し彼女の骨盤よりも上、臍の辺りに巻き付いて固定されていた。外そうとするもピッタリとフィットしているため上下に動きさえすれど外れる気配はない。


「よし! で、コレ持ってこう」


 彼はポケットからICカードのようなものを取り出すと彼女に握らせ、その手を誘導しながら腰の機械の右側に着いた溝にスライドさせた。するとAccessという電子音とともに軽快な音楽がなり始める。


「こんな状況でおもちゃで遊ぶとかアンタ頭沸いてんの⁉」


「あ…あと、ボタン押して。うおぉぉぉぉっ!!」


 彼女の文句に耳も傾けず再び急に声を張り上げたかと思うと腕を振り回しながら彼は怪物へと走り出す。OLを足で踏んづけている怪物に彼は振り回した腕を当てるも、彼の非力さでは全く動じない。何度かパンチを入れるも蚊でも払うかのように一蹴されてしまった。


「なんなん、アイツ? ボタン? これ? ドアみたいなのついてんじゃん」


 彼女が自分の腹部を覗き込むとカードをスライドさせた溝の他に正面には扉で閉められた窓のような物が左には簡素な赤いボタンが配置されていた。先程は暗くてよく見えなかったもののあの機械はこんな見た目をしていたのかと関心しつつ、彼女は自分の頬を叩く。


(あーもうワケワカメ、でもあの女の人助けないと……なんつーか、目覚めが悪い…気がする)


 願掛けのつもりでそのボタンを押すと怪物に体当たりをするべく彼女は走り出す。この機械を付けた自分があの怪物に触れればまた電撃が流れるかもしれない。そうすればあの女の人も助けることが出来るかもという安易な考えのまま彼女は腕を拡げると怪物に飛び込んだ。


(ちょい待ち、このままだとあーし感電するくさくない?)


 飛び込んだ後にその考えに至るも時すでに遅し。身体が触れ合うと同時、電撃が走るも彼女の方には流れて来なかった。しかし怪物の方は彼女から弾かれるように後ろに飛ばされる。


(え…マジ?あーしこんなに殴るの無良かったっけ? あーし体育の成績は良かったし……ってハァ⁉)


 起き上がりながら横を見た彼女はガラスに映る自分を見て驚愕する。そこに立っていたのは愛くるしい顔のスタイル抜群のイケイケ女子大生ではなかった。無機質な機械の仮面に覆われスタイルなんてどこにやら、男性版マネキンのような体型のロボットのような物がそこに映っていた。


(え? これがあーし⁉)


 試しに手を動かして見るとガラスの中のロボットもその動きに追従した。そして倒れている怪物を見るとシューティングゲームのロックオン機能のようにカーソルが現れ、その周りに理解不能の数式が浮かび上がる。


 最早考えるキャパを越えてしまった彼女はとりあえず一番思っている事を口に出すことにした。


「え、ダッサ」

 初投稿ゆえこのサイトの事があまり理解出来ておりません。ブックマークか評価というものが存在しているようなのでそれをして頂けると嬉しいです。

 ではまた次の話でお会いしましょう。

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