「東京が大好きだ」の補足や検証など
拙作「東京が大好きだ」をまだ読んでいない方は、先にそちらを読まれることを強く推奨します。
ここでは、私が投稿したエッセイ「東京が大好きだ」に見られる事実とは異なる情報や、事実だが出典が伴わない情報について正確なものを示したり、提示された情報の補足を行ったりすることを目的とします。記号">" は引用を示します。自分の作品なのでいくら引用しても無問題です。
「東京が大好きだ」を読んで疑問に思った部分があった方は、まずこれを読んでください。それでも疑問が解消しなければお問い合わせください。
では、まず序盤のこちらから。
>まず、「東京」という名前が好きだ。(中略)漢字表記だと二文字とも線対称で見栄えが良い。
厳密には「東」も「京」も線対称ではありません。「東」は最後の二画の払いが、「京」は最後の三画が非対称です。
>発音も長音の連続かつ二音節で、(中略)さあ一度音読してみよう、「とうきょう(とーきょー)」と。
正確に言うと「東京」に長音はありません。音声学的には、「とうきょう(Toukyou)」の "ou" は、フォーマルな発音では連母音であって、長音(oo/ō)ではありません。しかし現実にはこの部分が連母音で発音されることはほとんどないためこのように書きました。(とーきょー)と書いているのもこのためです。
>これだけで一日のQOLが5%上昇する。
データなし。
>私は東京よりも都会である都市は(少なくとも地球上には)存在しないと固く信じている。
森記念財団が毎年発表している「世界の総合都市ランキング」の2024年版によれば、一位がロンドン、二位がニューヨーク、そして三位が東京です。後にはパリ、シンガポール、ソウル、アムステルダム……と続いていきます。
>確かに政治的地位や金融センターとしての役割(後略)
政治的地位や金融センターの役割で言えば、国際連合があってニューヨーク証券取引所があるニューヨークが、単に金融センターの役割で見たとしてもロンドンが東京に優越します。人口面では、本文中には触れていませんが重慶市や上海市が東京を超えています。
>東京大都市圏は約3800万人の巨大人口を擁する世界最大の都市圏である。
ウィキペディアやビジネスインサイダーなどの複数のサイトで、東京大都市圏の人口は定義により多少変動するが3400-3800万人であると書かれています。世界最大かは定義により異なり、少なく見積もるとデリー大都市圏に僅差で敗北を喫します。
>世界屈指の摩天楼街を誇るニューヨーク
数え方によっては香港が世界一位ですが、何にせよニューヨークの摩天楼街が世界屈指の規模であることは間違いありません。
>衛星写真で見ればその都市圏は案外狭い
グーグルマップで縮尺を2kmくらいに設定して見比べてくればわかりますので検証略。
>東京都単体で見ても1400万人を超える人口を擁する
東京都の公式サイトの発表によると、2025年5月1日時点での東京都の推計人口は、1425万4039人です。うち区内人口は993万738人、市域人口は424万7495人で、郡部と島部は合わせても7万5000人程度です。
>先進国でここまで一つの都市に人口が集中している例は韓国のソウルくらいしかない。
国土交通省が作成した「東京一極集中の状況等について」によります。ソウル大都市圏には韓国の人口の約半分が集結しています。
>元々浄水場だった場所が再開発された(後略)
今の東京都庁舎などの超高層ビルがある部分は、1965年まで淀橋浄水場という浄水場でした。東京の発展に伴う開発の妨げになるとして、1960年に廃止計画が策定され、1965年に東村山浄水場に機能を移転したうえで廃止されました。
>2km歩いても場所によってはまだ繁華街が続いている
新橋や日本橋などを「銀座」に含めた場合の値。狭義の銀座は長さ1km強です。
>『シン・ゴジラ』でここが熱線で破壊されるシーン
ネタバレごめんなさい。銀座の登場シーンは5秒くらいです。
>もし、ここにパチンコ店とゲームセンターが15店舗くらい(後略)
一般に銀座と呼ばれる地域にゲームセンターはないようです。
>ビジョンのすぐそこにある公共喫煙所
新宿駅東口新宿区公共喫煙所のこと。オープンスペース型なので臭いは普通に漏れます。
>新宿地下街の圧倒的な広さ
日本経済新聞の記事によれば、新宿地下街は総面積10万平方メートル超であり、日本で一番大きい地下街となります。
>ドン・キホーテ近くの出口
どの出口かわからなかったのでこのような曖昧な表現にしました。正式な名称を知っている方は教えてくださると幸いです。
>世界有数の繁華街としてその名を全世界へ轟かせている
データがありません。心斎橋や道頓堀を含めた一帯が世界一だという方もいます。
>燦然と輝くネオンサインが~超密度で集中しているのがサイバーパンク的
サイバーパンク「的」であることに注意してください。サイバーパンクではありません。
>余程のことがない限りは女性だけで出歩いても無事に帰ってこられる治安の良さ
世界的に見れば治安がいいのは確かですが、警視庁犯罪情報マップを参照にすると、歌舞伎町付近は犯罪率が高いことを示す赤で埋まっています。私のこの記述を鵜呑みにして油断することがないようにしてください。
>若々しい雰囲気が溢れた活気と魅力に満ちた街である
渋谷が若者の街であるかどうかは、近年疑問を投げかける声もありますがイメージ的に若者の街なので「若々しい」という表現を使いました。
>主人を待ち続けた忠犬の物語が百年近く経った今でも
厳密には95年くらいです。ハチ公は1930年頃から有名になり、1935年に死去しました。
>渋谷駅周辺の再開発がずっと行われ
渋谷駅周辺の再開発は少なくとも2027年まで続くと考えられています。
>バスケットボールストリートというほとんど浸透していないであろうニックネーム
渋谷センター街のイメージアップを図って、2011年に渋谷センター街には「バスケットボールストリート」というニックネームが与えられました。
>駅から北に歩いていくと上り坂になっていて
PARCOに繫がる道のことです。そのまま歩き続けると代々木公園や代々木競技場が見えてきます。
>原宿と表参道も(省略)随分と洒落ている
イメージです。
>日本最大の面積を持つジュンク堂書店
ジュンク堂の池袋本店の総面積は2000坪で、厳密には丸善・ジュンク堂書店 梅田店の2060坪に劣りますが実質的には日本最大です。広さだけで言えば蔦屋書店仙台泉店が3000坪でもっとも広いようです。
>生命(Anima)
アニメイトのラテン文字表記は"Animate"で、「アニメーション(Animation)」にも"Anima"の字が含まれていることをもとにした洒落です(語源的に考えれば当然ですが)。
>名実ともに世界最強の鉄道網
都営交通のホームページで「世界一複雑な東京の鉄道網」とあります。
>世界の乗降客数ランキングのTOP10を東京の駅が殆ど独占している
2019年の乗降客数ランキングTOP10は一位から新宿駅(354万人)、渋谷駅(332万人)、池袋駅(264万人)、梅田駅(大阪駅など含んで240万人)、横浜駅(230万人)、北千住駅、東京駅、名古屋駅、品川駅、高田馬場駅で、7つが東京の駅です。人数は一日あたりです。
>ラッシュ時には2、3分間隔、日中にも5、6分間隔
地下鉄丸ノ内線では、平日の8時台に28本の電車が来ます。山手線では19本です。山手線では日中でも一時間あたり12本の電車が来ます(平日ダイヤ)。
>東京の電車が短くても10両編成、長ければ15両編成
山手線は11両編成、総武快速線、横須賀線、湘南新宿ラインなどの普通電車は15両編成のものがあります。東京メトロでは8両編成などの短めの編成の列車も多いようです。よってこの記述には事実でない情報が含まれます。
>物凄まじく大勢の人々を乗せられる並外れた車輛の輸送力
電車一両あたりの定員は150人程度です。満員電車の中には混雑率が200%に達するものもあり、この場合ひとつの編成に3000人以上の人々が乗っている計算になります。
>国家最高英雄褒章
そんな褒章はありません。実名の勲章や褒章にしてみたところ、リアルすぎて気持ち悪かったので架空の褒章で済ませました。
>電車を使えば新宿駅から一時間半強で奥多摩まで行ける
Yahoo!乗換案内によると、最短ルートで1時間33分です(時間帯により多少変動する)。
>東京の都会人が他者に無関心
データなし。ただしよく言われることなので掲載しました。「都会人」と書いたのは、東京にも郡部や東部など都会とはいえない場所があり、そういった場所では無関心のレベルが変動すると考えたためです。
>日本の出版物の全てがここにある
国会図書館への蔵書義務を知らなかったりして、日本で出版されたが国会図書館に存在していない書籍も少数ながらあるようです(国会図書館公式サイトによる)。
>区内に限っても200以上、都内全域で見れば優に400に匹敵する。
「東京都公立図書館調査」(東京都立図書館公式サイトのページ)によります。正確には、区内で227棟、都内全域で391棟と記載されています。
>書店に入った時の独特な匂い
新刊本のインクの匂いだと言われています(信憑性に疑義あり)。
>一日の四分の一
6時間。
>肉体を駆使した経験
テレビを観ることは肉体を駆使した体験とは言いづらい気もしますが、場の盛り上がりを優先してここに入れました。
>「金の卵」の時代から東京に人々が流入し続けている
戦後復興期に東京へ大量に流入した若年中卒労働者のことを「金の卵」と呼びます。
また、厳密には1960年代~1990年代にはドーナツ化現象により区内の人口は減少傾向にありました。1990年~1995年にかけては、東京都全体の人口がわずかながら減少しています。
>2008年から日本の人口はずっと減少し続けている
日本の人口は飛鳥時代より前から基本的に増加傾向にあり、明治維新以降そのペースは急激に増加しました。しかし、人口増加のペースは20世紀の後半から衰え、2008年の1億2808万人をピークにして減少の一途を辿っています。
>東京の人口増加もずっとは続かない。楽観的に考えても2035年には減少し始めるだろう。
東京都が発表した最新の推測(2025年3月改定)によれば、東京都の人口は2030年の1426万人をピークにして減少に転ずるとされています。ただし、区部の人口増加は2035年まで継続します。
>たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
皆さんご存知、『平家物語』冒頭部の一節。
>永遠なる日本国の首都よ。
法律上、東京が日本の首都だとは定められていません。ただし、首都圏整備法により定義された「首都圏」という用語はあります(東京都とその周囲の7つの県を指す)。
>私はあなたに出会えて本当に幸せだ。あなたを訪れることができて本当に嬉しい。あなたを愛しています。
私の紛うことなき本心です。ありがとう東京。大好き。愛してる。
読んでいただきありがとうございました。