コウノトリ但馬空港
その日はあいにくの雨模様だった。
当日の朝に、ジョギング大会は予定通り開催される旨の確認は行った。
「へえ、あるんや」
天気予報で雨が降るのを知っていたのに、なんの用意もしていなかったので、息子がわざわざ、コンビニに雨合羽を買いに行ってくれた。なんて良い息子を持ったんだ、そのおかげで雨に濡れながらも風邪を引くことなく完走できたのだ、ありがとう! 間抜けな親を持つと、子どもは賢くなると言うのは本当らしい。
息子自慢はこれくらいにして。
会場では開会式が粛々と行われ、ジョギング中の注意事項を聞きながらスタート地点へ移動し、エントリー番号の早い者からスタートして行く。
早さを競うものではない、もちろん記録を意識している猛者もいるが、たいていの参加者は往復2キロ強の道のりを楽しんで走る。いや、途中からは歩く?
なんたって、ベビーカー押しての参加だってOKなのだから(その当時は)
途中棄権だって大丈夫。もうだめだーと言うときは、専用車がお迎えに来てくれる。
雨の中を最初は張り切って走っていたが、折り返しまでまだまだ遠い時点で、早々に歩き出した。周りの人たちも写真や動画を撮ったりなんかして、とても楽しそうだ。
雨が小降りになったので、ふと顔を上げると、そこには虹!
わあ、と言いつつようやく折り返しにたどり着いた頃には、雨はほとんどやんでいた。
神さまっていうのは、一生懸命楽しんでる人にご褒美をくれるんだね。
くるりと回ってそこに見たのは、曇り空と青空のコントラスト。
以前、朝ドラに「はんぶん、青い」と言うタイトルがあったけど、まさに、それ。
一直線の道の上を分けるような空に感動しながら、なんとかゴールまでたどり着いた。
ええと。
今回のタイトルは、「コウノトリ但馬空港」でしたよね。
それでなんでジョギング大会? と、思われた方もいらしたでしょう。
コウノトリ但馬空港は、兵庫県の北、城崎温泉で有名な豊岡市にある、小さな小さな空港です。滑走路は1200メートル。ジェット機が着陸できる長さではないので、やってくるのはプロペラ便のみ。1日に大阪空港(伊丹)と朝夕の往復4便と言う、何というか、のんびりした空港です。
けれど、そんなのんびりした環境を逆手にとって、こちらの空港では、色んな催しが行われています。
最初に出てきたジョギング大会もそのひとつ。
本来はマラソン大会なのですが、私が参加したときはコロナ真っ最中。
なので、マスクをつけて、頑張らず、人と距離を取って。
それ以来ジョギング大会になったようです。
で、どこを走るのかというと。
なんと! 飛行機が降りてくる滑走路を走ります。
滑走路は1200メートル、その往復2400メートルを、自分のテンポで、ある人は記録を目指して、またある人はのんびり景色を眺めながら。
とりあえず時間制限はされていますが、私のように途中から歩いても制限内に帰ってこられるんですから、大会の趣旨って言うのが競争でないのは、もうおわかりでしょう。
いやはや、貴重な体験でしたよ。
飛行機で降り立つと、そんなに長いと思いませんが、実際立ってみると、長いし広いし。
それに。
まっすぐやあ~。
あたりまえ、滑走路が曲がっていたら、それこそ大変ですよね。
毎年秋に大会が行われているはずですので、興味のある方はホームページをちょくちょくチェックして見てください。
他にも催しとして、空港の近くでキャンプが出来たり、普通は入れないところまで見学できるツアーがあったり。
それに、ここの空港は、スカイダイビングなんかも出来るようです(わあお!)
今回は不思議ではないって?
いえいえ。
たまたま知って参加した、コウノトリ但馬空港滑走路ジョギング大会。
そこで見た光景が、風景が、もう不思議そのものでしょう。物は考えよう、ってね。
良ければ1度、体験してみてください。
もちろん、飛行機にも乗ってくださいね、なにせ空港なんですから。




