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第16話 突入! モンスターパニック。


 フロアボス戦の前にそれぞれのステータス確認をする。



 名前 : ユウト ババ

 レベル: 9

 スキル: S・聖剣技〈10〉 SS・魔法大全〈7〉

      A・言語理解 A・魔力回復‐大‐ A・使用魔力低減‐大‐ C・察知〈1〉


 名前 : ミケ

 レベル: 13

 スキル: SS・操雷〈10〉 A・言語理解 C・察知〈3〉


 名前 : アニカ クマル

 レベル: 12

 スキル: A・言語理解 A・強靭〈1〉 C・槍技〈2〉 C・光属性魔法〈1〉


 名前 : アニタ クマル

 レベル: 12

 スキル: A・言語理解 A・感知〈1〉 C・短剣技〈2〉 C・無属性魔法〈1〉



 4人ともレベルが上がり、スキルが伸びたり覚えたりしているな。

 特にアニカとアニタは適性のあった魔法を使える段階になった。




 昨晩、見張り番の俺の所にやってきて――


「ユウトさん、私……魔法を覚えたいです」

「使いた~い!」


 という2人の希望があったのだが、いかんせん俺の場合『魔法大全』で最初から魔法が使えたので

教え方がわからない。ミケは言うまでもないが……


 それで、ニアに教えを乞う。


「私はあくまで『魔法大全』の使用とユウトさん個人の補助のためにいるので、何が起きたか? とかモンスターの種類を教えるとかしかできません。他者への介入は止められています。ですが……、ダンジョンに入った時のようにあくまで“独り言”をつぶやきますね」



 本来魔法を使用するためには体内の魔力を自覚し、循環させて一点に集約し詠唱の文言で魔法を指定して発動するらしい。大魔法になるとそれらに加え、空気中の魔力と魔法陣を使用するとのこと。


 ……俺は全部すっ飛ばしてるな。


 ニアは明後日の方向を見ながら“独り言”を発し、アニカとアニタがそんなニアを見ながら「うん、うん」と頷いている。


 ミケは横になり、休みながらも耳はそちらを向いていた。



 という具合で、アニカは《ライト》《ライトニング》。アニタは《フィジカルアップ》。

 それぞれの属性の初歩魔法を使えるようになったのだ。

 2人とも使用できる時間も短く、効果も弱いので、こまめに使わせていこう。


 

 では、フロアボスのいるであろう20階層の扉を開けようか。


「アニカ、アニタ、まずは冷静に、落ち着いて状況を判断するんだぞ?」

「はい!」「うん!」



 例によって重い扉が開き、中に入るとまた鈍く閉じた。

 10階層より広いな。……ん? 何もいないぞ? ――! 天井か? ……いない。


「どういうことだろうな?」

 

 不思議がっていると、アニタが最初に気づいた。


「みんな! あそこ光ってきたよ!」


 部屋の中央の床が光り始めた。

 少しずつ光りが強くなり、部屋の埃っぽさも相まって床から放射状に伸びる光は幻想的にさえ感じられる。


「ユウト、来るぞ!」


 ミケの警戒によって隊形を整える。

 すると、光源からわらわらとモンスターが出てきている。

 種類的には今まで上層で戦ってきたモンスターで、決して強くはない。

 ――が、とめどなく無く出てくる。


「おいおい、20? いや、30はいるな。……まだ出てくるぞ? ニア、このダンジョンってモンスターを生み出さないんじゃなかったのか?」


「そうです。これはこういうトラップというか、“仕掛け”なのです。決まった数以上は出てこないはずです」

「……そういうことか」



 まだ増えるか! ……まあ、待ってる必要もないか。


 「まずは、セーフティーゾーンを作って作戦を立てよう」


 扉のある壁を底辺に三角形を作るように岩壁を作り、ミケに見張りに立ってもらい皆に作戦を伝える。




 俺とミケは岩壁の上に立ちモンスターどもを見渡す。


「200体くらいか?」

「まだ出続けているが、そのくらいじゃろう」

「じゃあ始めるか。俺は右だな。多少殺してしまってもいいから、広範囲に撃ってくれ」


 ミケが部屋の左半分を受け持ち戦闘が始まる。

 俺は岩壁からモンスター側へ飛び降り、間髪入れず低い位置から《ウィンドブレード》を放つ。

 同時にミケは広く雷を放ち、炸裂音とともにモンスターどもを無力化した。

 そして岩壁の一部を開放し、アニカとアニタにゴーサインを出す。


「いいぞ! 確実にトドメを刺して回れ!」


 アニカとアニタも左右に分かれ次々とトドメを刺していく。

 俺は《ウィンドブレード》により足を失って動けない奴らを飛び越え、たまに《ウィンドブレード》を飛ばして援護しつつ、ハイゴブリンやウルフを中心に刀で狩っていく。

 ミケは飛びまわるバットや部屋の壁を這っているスライムをほいほいと撃ち落としていく。


「ほれアニカ、追いついておらんぞ? 早うせい」

「はい!」


 アニタは自分で《フィジカルアップ》をかけ、次々とモンスターを処理していく。


「あ~ん! お兄ちゃん! もう魔法切れちゃった~」

「わかった! ほいっ! っと!」と強化を飛ばす。



 そして、相変わらずモンスターは出続けている。


「どこまで出るんじゃ、こ奴らは。ほれっ!」

 

 バリバリバリピシャー!




 主戦場が徐々に岩壁から離れたために、ミケが降りてきた。


「いくら雑魚中の雑魚とは言え、トドメの刺し疲れになるかな? 2人は」

「まあ、大丈夫じゃろ。ほれ大きいのにも挑んでおる」



 だいぶ部屋がガラガラになったその時、光源が最後の力を振り絞るが如く大きく光り、ロックウルフ3体を吐き出して消えた。


「ふっ。結局またこいつらか。……俺とミケは1体ずつと雑魚、アニカとアニタは2人だけで1体やってみろ! ……GO!」


 丁度いい機会だ、と俺の受け持ちのロックウルフに闇属性魔法、《スロウ》《ブラインド》をかけて様子を見る。

 ささっと雑魚狩りを済ませ、ロックウルフの様子を窺うと……、ヨタヨタのろのろとあらぬ方向へ歩き、無駄に岩を飛ばしている。


「こらっユウト! あの2人のところへ向かったらどうするのじゃ!」

「ああ、ミケ。あれっ? お前の受け持ちは?」

「一撃じゃ、一撃。当然の事を聞くな!」


 まあ、そうだろうな、結構な轟音が一発あったもんな。


「じゃあ、2人の様子を見ててくれ。俺もサクッとやってくる」


 奥へのろのろと向かっているロックウルフの後ろから《ウォーターアロー》、通常1本のところを特別に四肢と頭・背中・尻、計7本飛ばすと、一瞬にして体がバラバラになり、さらさらと消えた。



 既に部屋はロックウルフとアニカ・アニタペアのみの戦場となっている。

 さて、昨日は俺の《シャドウバインド》と岩の処理というアシストを受けても10分かかったロックウルフ。

 アシスト無しの今日はどうだ?


「どうだ2人は?」

「うむ。良さそうじゃ。アニカが気を引きアニタが削っておる。岩も避けておるしの」



 ロックウルフが何発めかの岩を飛ばした直後、軽い身のこなしで避けたアニカは一気に間合いを詰め、鼻先に向かって初めて見せる二段突きを見舞う。

 昨日からレベルが上がってるためか、威力も上がっている。

 突きあげるような二段突きをくらったロックウルフは頭を上に逸らされ上体も浮き上がった。


「お姉ちゃん、ナイス~!」


 ガラ空きになったのど元にアニタの強烈なクロススラッシュが炸裂しロックウルフは息絶え、消えた。



 せっせと魔石を集めた俺達は、結局モンスターは250体以上だったことが分かった。


「30分くらいで250体か。……なかなかお得な戦いだったんじゃないか?」

「まあのう、雑魚がいくら群れようが雑魚じゃからのぉ」

「やっと一息つけます」

「最後楽しかった~」

「そろそろ昼か? ユウトよ」


 ケーキを欲する目で訴えかけてくるが、そんなことはない。


「まだ10時前だろ? ジュースで一息ついて出発だ!」

「「「えええええええ~~~~~~~」」」


お読み頂きありがとうございます。

長編小説です。

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