~神様の役目~
「…」
眩しい。
ここはどこだろう。
見たことも無い、知らない場所だ。
何故か私は慌てた。意味もなく、ジタバタと。
そんなことをしていると、1人の男の人が近ずいてきた。
「お、この子だ~…君、名前は?」
知らない人に名前を聞かれた。
普通なら、怪しむだろうが、何故かこの時は、
この人は何もしないという認識があった。
「私の名前は、橋本響香です。」
素直に答えると、その男の人は優しい笑みを浮かべた。
「ん、!なら、僕が担当するのはこの子か!」
意味不明なことを言うと、その人は手帳を手に取り、何かを読み始めた。
「ん〜……へぇ………」
「…?」私はコクリと、首を傾げた。
「君さ、万引きした?」
「ッ!」
私の胸はドキッとした。そう、図星だ。
「流石に、食べるものがないからとはいえ、万引きはなぁ…」
私の家は貧乏で、ほとんど何も食べていなかった。
そして、空腹に耐えられず、おにぎりとサンドイッチを万引きしたのだ。
「うーん…貧乏だとしても、万引きはなぁ…」
「……うぅ…ごめんなさい……ごめんなさい……ぐずっ」
私は泣き出してしまった。
「え、えぇ!?ちょちょ、…!」
その人は私の涙を拭いてくれた。そして、しばらく慰めてくれた。
その人の手は、優しく、暖かかった。
「……泣き止んだ?」
「はい…すみません……」
「大丈夫だよ〜!前もそんな子いたし!それよりさ、君、万引きしたのは自分のためじゃないよね?」
……え?
「弟が二人いるのか…それに、いじめられてる子を助けて…いいことだらけだなぁ……こんな子は久しぶりだ~」
「ど、どういう…」
私が言葉を放とうとした瞬間、男の人が口を開いた。
「君、天国ね。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私は、暖かい場所にいる。
まるで、あの、
神様の手の中のようなところに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「んぁー!疲れた~!!……さて、次は……君だね?」