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The Kingdom  作者: 春野隠者
ゴード暦528年 覇を統べる王5章
93/103

西域の主21



 ギリングの平原での戦いに勝利したシュセは、負傷者と遺体の処置を砦に残してきた雑兵に命じると、すぐさま軍をベルガディへ向けた。ロクサーヌから引き連れてきた兵士は、激戦に次ぐ激戦で、その数を1500を割るまでに減らしていたが、負傷者を雑兵に任せると、トゥメルを追うべく追撃に移った。

 東都ガドリアを除き、都市として、周辺の村や町の中心的役割を担うような規模の街には、城壁がぐるりと街を囲んでいることが普通である。

 治安の維持と言う観点の他に、害獣からの身を守るため、あるいは周囲の村へ威圧感を与えるため、そのほか様々な必要性から城壁が造られていた。

 身の丈を遙かに越える鉄製の城門。仰ぎ見たそれは記憶にあるものより、少し小さくなったような気がした。

 それが自身の身長が伸びた為なのだと気がついた時、シュセはベルガディを攻める気持ちを新たにした。

「取り戻しますよ」

 小さく呟いた言葉は、誰の耳にも入らずに消えていった。

「敵将を逃がしたのは、残念でしたな」

 傍らのバッセールがシュセに問いかける。

「最上の結果ばかりは求められないでしょう。ベルガディを首尾よく取り返したなら、問題はありません」

 石で積み上げられた城壁のを見上げれば、それを守る兵士の姿も垣間見える。

「一気に攻め落としますか?」

 問いかけるバッセールの言葉に、彼女は首を振った。

「降伏の使者を立てます」

 血で汚れた白亜の外套を翻すと、シュセは陣営地に戻っていった。






「いたた……まったくひどいめにあったもんだ」

 傷病者達に宛がわれているカーティスの村の一室。ベットから起き上がると、クシュレアは全身に走る痛みに顔をゆがめた。

「減らず口がたたけりゃ、もう大丈夫そうだね」

 横で体を起こすのは、同じくグリューエンの部隊に救われたエレガだった。

「ひどい顔だね、お互い」

 ひとしきり笑いあう。いつ以来だろうか、身も心もこんなに軽くなったのは。

「ねえ、エレガ」

「なんだい?」

「ひとつ頼まれてくれるかい?」

「裏子として?」

「いや、友達としてさ」

 苦笑に近い笑みを残して、クシュレアはエレガに頼みを告げる。

 透き通ってしまったその表情に、エレガは不吉なものを感じる。

「……お別れか」

「頼むよ」

 エレガは、強い瞳でクシュレアを見返すと、決意をあらわにして頷いた。

 ばたん、と扉が開く音がして、二人は同時に扉のほうを見た。

「あ、あ……お、お姉さま!」

 じんわりと目じりに涙を浮かべたカーナの姿。持っていた食器を取り落とし、それすらもまったく意識に止めずに、彼女はクシュレアに抱きついた。

「よしよし、いい子だ」

「心配しんたですぅ……ほんとに、本当に……もう目を覚まさないのじゃないかって」

 嗚咽の間に漏れる言葉に、クシュレアは肩をすくめる。エレガもそれを見て、苦笑してしまう。

「あんまり強く抱きついたら傷に障るぞ」

 エレガが見かねて苦言を呈するまで、カーナはクシュレアに抱きついて泣きじゃくった。

「カーナ。さっそくで悪いんだけど、今の状況。教えてくれるかい?」

 やっと落ち着いたカーナに、クシュレアは真剣な目でたずねる。

「はいですぅ」

 クシュレア達を襲った山賊の末路。グリューエンらロクサーヌ側の兵士の、親切な対応。戦争の行方。

「ありがとうよ、カーナ。やっぱりあんたは、いい子だ」

 優しくカーナの髪をなでるクシュレアに、最初不思議そうにしていたカーナだったが、あまりされたことなのない優しさに、頬をほころばせていた。

「では、村の人たちにお礼もしてくるのですぅ。お姉さま方は安静にしておいてくださいです」

 ぺこりと、お辞儀をすると彼女は部屋を出て行く。

「……行くのかい?」

「ああ、けじめってやつをつけなきゃね」

 その夜、クシュレアはカーナへの手紙を残してカーティスの村から消えた。





 喧騒が近づいてくる、同時に開かれる扉。

 そこには今にも泣き出しそうなカチューシャの姿があった。

「ナルニア様! トゥメル様が、トゥメル様が!」

 指差す方向に、彼がいるのだろう。ぼんやりと考えた頭を置き去りに、自然と彼女の足は歩み始めていた。

 鎧を着たトゥメルを応急的な担架に乗せて、屈強な男たちが運ぶ。それをみたトゥメルの屋敷の使用人たちは、この世の終わりが着たかのような悲鳴をあげ、泣き出すもの、絶望に頭を抱えるもの、放心するものなど、さまざまであった。

「気が利かぬ、使用人どもだ!」

 トゥメルをベルガディに入れるまではまとまっていたイアーソン以下の西域軍の第二陣だったが、ベルガディに入ってしまった途端、散り散りになってしまった。自身の屋敷に戻る者がいれば、何をおいてもベルガディから離れようとする者もいる。

 わずかにイアーソン以下の心ある者たちで、気を失ったトゥメルを屋敷まで運んできたのだ。

「誰かいないのか!?」

 戦場から帰ったばかりで気が立っているイアーソンらと、トゥメルのあまりに無残な姿に、泣き崩れあるいは、その体にすがりつく使用人たちが、押し合いをしていた。

 指示を出すべき家宰すらも、呆然とトゥメルの姿を見ていた。

「何を騒いでいるのですか!」

 凛とした声に、その場にいた全員がナルニアの方を見た。ナルニア自身も自分がなぜこんな大声をあげたのかわからないままに、胸の奥底からわきあがる感情に任せて更に、声をあげる。

「今すべきことは、トゥメル様をお屋敷の中にお運びすること! 悲嘆にくれている場合ではない! 家宰殿、使える部屋は?」

 名前を呼ばれて初めて気がついたかのように、家宰は背筋を伸ばす。

「寝室にお運びくださいませ」

「最低限運び入れるのは兵士の方々にお願いするにしても、医師を呼んでください。それなら運んでくださった兵士の方々にお食事を! さあ、皆さん」

 ナルニアの声に励まされて、その場の混乱は瞬く間に収束した。

「……ナルニア様、いえ、奥方様……申し訳もありません」

 こまごまとした差配を終えた家宰は深くナルニアに首を垂れた。

「あ、いえ……差し出がましいことを」

 うつむくナルニアに、別の方向から声がかかる。

「あなたが、ナルニア殿だろうか?」

 振り返ったナルニアが見上げるそこには、戦場からトゥメルの身を守って走りぬいてきたイアーソンの姿があった。

 鎧に浴びた返り血はすでに乾燥して黒く変色し、出るときには磨きあげられていたであろう鎧の各部署には隠しようのない傷跡がある。

「はい」

「……真に、申し訳なかった」

 こちらも深く頭を下げるイアーソンに、ナルニアは驚いた。

「われらの力が足りないばかりに、トゥメルさまは敗れてしまった。他の者になりかわり、陳謝させてほしい」

「そんな……」

「閣下をはじめ、御身は必ず我等が守り通す。どうか、ご安心してすごされよ」

 最低限の私兵をトゥメルの邸宅の護衛に残すと、イアーソンは馬を駆って城門へ走った。すぐにでもロクサーヌの軍勢が攻めてくる。

 騎馬隊で一戦交えた経験から、イアーソンは敵の指揮官である少女が、その見た目からは想像もできないほど強かであるのを疑わなかった。




 ◇



 城門前に白旗を持った使者が一騎、朗々たる口上を述べ、開門を要求する。

 その様子をイアーソンは、苦渋を伴った表情で見下ろした。彼自身の予想が当たり、あまりにも早いロクサーヌ側の進撃。予想が当たったとはいえ、それに対してなんら有効な手を打つことができなかった自分自身に腹が立つ。

 降伏の使者は受けざるを得ない。

 あるいは受け入れた振りを。

 いまだトゥメルは意識を回復せず、イアーソンの持つ兵力はわずかに200あまり。ほかの第二陣で戦った将兵を呼び集めるにしても、時間が必要だった。

 せめて4日。

 彼らの精神的支柱であるべきトゥメルが意識を取り戻し、残った将兵を糾合するまで最悪その程度は必要になってくるだろう。

 西域の主要都市であるベルガディを捨てて西部に逃げるにしろ、あるいはこの都市で篭城するにしろ、それはトゥメルが決めることだ。イアーソンは兵たちの指揮はできても、彼らを導く展望をもってはいなかった。

「我らは、まだ負けてなどいない」

 肩に圧し掛かりそうになる重苦しい敗北感。それを部下の前で見せてしまえば、もはや彼らに戦うことはできはしない。

 ゆえに、イアーソンは忙しさの中に、敗北感を投げ捨てようとしていた。

 ギリングの平原での戦いに敗れたとはいえ、未だロクサーヌ側は西域の半分を手に入れたに過ぎない。

 遠く城壁の外に、紋章旗を靡かせて生前と居並ぶロクサーヌの軍勢をにらみつけながら、イアーソンは使者と会談するために、城壁を降りていった。

 城壁に隣接するようにして造られた兵士の駐屯所。普段は見回りの兵士が詰めているだけの、その場所は簡単な応接室と、夜間見回りの兵士が寝起きするための寝室程度しかない。

 使者をそこに通すと、わざとイアーソンは時間をかけて待たせた。

 ゆっくりと身支度を整え、たっぷりと焦燥感を味あわせるためだ。

「お待たせした」

 イアーソン配下の屈強な兵士に取り囲まれていた使者に、一言断って室内へ入っていく。

 ぴかぴかに磨き上げられた鎧をまとい、新品の服に着替え、顔を洗ったイアーソンは、使者の顔に安堵の表情を見て取って、内心ほくそ笑んだ。

 戦の使者などというものは、指揮官から無理やり押し付けられるか、もしくは功名心から名乗り出るかの二通りしかいない。そしてこの使者は後者だとイアーソンは踏んだ。

 口先ひとつで戦を避け、都市をひとつ手に入れるのだ。

 あるいはこの戦で比類ない武勲といえるのではないか。野心的に光る使者の瞳をちらりと、確認するとイアーソンは使者の対面に座った。

「この度は軍使を受け入れてくれたこと、まずは将であるシュセ様に代わり礼を言いたい」

 堅苦しい言葉遣いながら、無闇に威張り散らしたりはせず使者は口上を述べる。

 無言でそれに頷くとイアーソンは続きを促す。

「このたびの戦のこと、双方にとってまことに不幸であった」

「確かに」

 目を瞑り、思案の格好をしてみせるイアーソンに使者は気持ちが姿勢に現れたように、身を乗り出す。

「だが、その不幸も終わらせるときが来たとこちらは考えている」

「つまり?」

「降伏なされよ。決してシュセ様は無慈悲なお方ではありません」

 ほぅ、とイアーソンは使者の表情を読んで、表情に出さず驚いた。身を乗り出した使者の顔には、いっぺんの疑念もなくシュセと言う指揮官への信頼が伺える。

 自身の真情を吐露するというのが他人の心を揺さぶるというのは、言わずと知れたことだ。その点で言えばこの使者は、あるいはこの先何度かの使者の役割とこなせば、きっと一つや二つ砦を、その口先で落とすのかもしれない。

 そこまで考えてイアーソンは、埒もないと表情に出さずに苦笑した。

「人の不幸は人の手で終わらせる。それが出来れば素晴らしいことだろう……個人的には私も賛成だ」

 使者の顔には、暗闇で光明を探り当てたような喜悦が浮かぶ。

「……時間がほしい」

 苦渋に満ちたと言う表情を作って、イアーソンは言った。

「いかほどでしょうか?」

「察してくだされ……今は、今はまだできぬ」

 眉間に深い皺を刻み、一つ一つの言葉を搾り出すように口に出す。

「それは、私も子供の使いではない! そのままでは呑めぬ」

「……三日、いただきたい」

「それは、待てぬ! せめて1日。でなくば、いかに寛大なシュセ様とて」

 どこまで相手の譲歩を引き出せるか、相手の懐を探りながら、イアーソンは演技を続ける。背中には冷や汗をかきながら、それを誤魔化すように苦渋の表情を作り続ける。

「ならば、我らはもう一戦するしかあるまい」

 席を立とうとするイアーソンに、慌てたのは使者のほうだ。先ほどまではうまくいっていたはずの交渉に、焦りを隠せず呼び止める。

「お待ちを! ではせめて二日。これ以上は待てません」

「わかりました」

 安堵する使者にイアーソンは内心の喜びを隠して立ち上がる。

 平和裏に交渉が終わろうとしたとき、応接室の扉が乱暴に開かれる。

「イアーソン貴様っ!」

 怒鳴り込んできたのは、先の戦いでもしぶとく生き残っていたティターをはじめとする中小の貴族たちだった。

「我らに黙って敵と交渉を始めるとは、どういうことだ!?」

 敗北の恐怖に追われ命からがら逃げ帰った彼らの顔にあるのは、恐怖から逃げ出したいと願う心情だけだった。

「裏切るつもりだな!?」

 使者が目の前にいるにもかかわらず、イアーソンに詰め寄る彼らは、イアーソンを押しのけると、使者と直接交渉しようとする。

「ティター・スグメルはロクサーヌの味方をしても良いと思っているぞ」

 その宣言に目をむいたのは、今まで必死に時間を稼ごうとしていたイアーソンだった。

「何をっ!?」

「ふん、元はと言えば、貴様らのせいであろうが……貴様のような裏切り者が出るようではもう戦えぬ!」

 恥も外聞もない。全てはイアーソンのせいであるとしたティターの宣言に、貴族たちが続く。

「ユネック殿も同じ意見であろう!?」

 ティターに呼び上げられるたび、貴族たちは肯首する。

「そら、見たことか! イアーソン、貴様に交渉役たる資格はない。今すぐこの場から消えうせよ」

「貴様らァ……」

 目に憎悪の炎を宿しながら、イアーソンはそれでも自重した。

 事態がこうなってしまっては、即座にロクサーヌの軍勢が流れ込んでくることもありうる。何より優先しなければならないのは、トゥメルの身柄だった。

 心を殺し、イアーソンは部屋を後にする。

「いくぞ! トゥメル様を救わねば!」

 自身率いてきた手勢を率いるとイアーソンは、城壁を守っていた兵士を率いてトゥメルの屋敷へ向かった。




 ◇



「トゥメル様……」

 鎧をはずされ寝台で眠るトゥメルに、ナルニアは寄り添っていた。

 あんなに怖かったはずの無骨で大きな手のひらを握り締めたいと思ってしまうのは、なぜなのだろう。トゥメルが傷つき倒れた姿を見て、あんなにも胸が締め付けられたのは、いったいなぜ。

 心の整理が出来ないまま、ナルニアはため息をつくことしかできない。

 トゥメルが倒れた後のベルガディなど、今の彼女には考えることすらできなかった。

 思考が麻痺して未来(さき)など考えられないと言っていい。どうしてこんなに風になってしまったのか、それだけを彼女は考えていた。

「ぅ……」

 小さなうめき声に、自分の考えに浸っていた彼女はわれに返る。

「トゥメル様!?」

 思わずかけた声に反応して、トゥメルの手を握っていた彼女の手が握り返される。

「ナルニア……? 俺は死んだのか?」

「いいえ、いいえ。トゥメル様」

 湧き上がった安堵は涙となって彼女の頬を流れ落ちる。

「ご無事、です。生きてらっしゃいます」

 泣き崩れて彼の分厚い胸板に顔をうずめるナルニア。彼女の髪をトゥメルは無骨な手で優しくなでた。

「……なら、泣くのはよせ。そなたは、笑っているほうが、良い」

 顔を上げると、涙ながらにナルニアは微笑む。

「はい、お帰りなさいませ……トゥメル様」

 頷くトゥメルの胸で、もう一度ナルニアは声を殺して泣いた。

 彼女を傷つけないように優しく抱くと、ぼんやりした頭でトゥメルは思った。

 ああ、俺は負けたのだと。

 だが不思議に不快感はない。まるで憑物が落ちたかのように、胸を焼く焦燥が消えている。

 あるいはやっと、この手の中に、かけがえのないものが収まったからなのか。

 幼少のころから満たされることのなかったこの身に、あるいはやっと……。

「トゥメル様!!」

 ナルニアの押し殺した慟哭と、トゥメルの考えを引き裂いたのは、イアーソンの声だった。扉を乱暴にあけると、カチューシャを引きずりながら、声を張り上げる。

「寝台を騒がせ申し訳ありません。ですが、お逃げください!」

 優しくナルニアの肩に置かれていたトゥメルの手が、どかされる。

「敵か?」

 鋭い視線はナルニアが知らない戦場を駆ける戦士のもの。

「御意、貴族らがロクサーヌに降伏。城壁を開けようとしています。このままでは、陥落は必死……なれば! ──」

 落ち延びて再起を、と言おうとしたイアーソンの声をさえぎったのは、外から聞こえた喚声だった。

「敵襲だ! 貴族どもが裏切ったー!」

「遅かったか!」

 かみ締める奥歯の間から、ぎりりと歯軋りの音が聞こえる。

「ここは、私が防ぎます。ウィンネらを護衛につけますゆえ、直ちに落ち延びてください!」

 言うや否やトゥメルの返事を聞かないうちにイアーソンは、部屋を飛び出した。

「ウィンネ! いるか!?」

「応よ」

 庭先で押し寄せる敵勢をなぎ倒していたウィンネは、イアーソンの声に振り返った。並ぶと同時に、周囲に聞こえないほどの声で、会話する。

「トゥメル様を、頼む」

「貴様はっ!?」

「誰かが、ここを防がねばならん。だろう?」

 一瞬絶句したウィンネは、だが即座に理解し、別れの言葉を口にした。

「武運を!」

「お互いに」

 振り返らず、館に戻るウィンネ。

 イアーソンは、群がる“敵”に向かって吼えた。

「さあ、薄汚い裏切り者どもよ。西域を担ってきた武がどれほどのものか、よく目に焼き付けるが良い!」

 



「ナルニア」

 イアーソンが出て行った部屋で、ナルニアはトゥメルの優しい声に呼ばれた。

「はい」

「すまぬ……お前を守れなかもしれぬ」

 それはいままで巌のように強くあったトゥメルの鎧が剥がれ落ちた後の言葉。

 ナルニアを心の底から思う、一人の少年のような眼差しに、ナルニアは頬を赤くした。

「それでも、俺と一緒に来てくれるか?」

 優しい安堵の気持ちに満たされて、ナルニアはトゥメルに身を任せ、そんな彼女をトゥメルはしっかりと抱きしめる。

「カチューシャ」

 主二人の姿を見守っていた彼女は、トゥメルに呼ばれてバネ仕掛けの人形のように背を伸ばす。

「はい!」

「すまぬが、上着を。人を寄越して鎧を持ってこさせてくれ、それから家宰を」

 言われるままに走り出す彼女を尻目に、くすりとナルニアが笑った。

 それから家宰が来るまでの間、トゥメルとナルニアはお互いのぬくもりを惜しむかのように抱き合っていた。

 再びトゥメルが鎧を身に着けるのと、ウィンネが生き残った手勢を率いて彼の前に並んだのは、半刻ほどしてからだった。

「まもなく、この館は落ちるであろう」

 イアーソンらが文字通り命を盾として防ぎ止めてはいるが、貴族たちもまた必死だ。

「ウィンネ」

「はっ!」

 分厚い鉄の鎧をまとう青年は、トゥメルの前にひざまずく。

「西部まで脱出する。先導せよ」

「御意!」

 猛牛のような勢いで立ち上がると、手勢を率いて走り出す。

「家宰」

「若様……」

 幼きころからトゥメルのことを見守ってきた家宰は、目じりに涙を浮かべて無言のまま頷いた。

 これが今生の別れとなるであろうことを理解すればこそ、彼らの間に言葉はなかった。

「カチューシャを伴いください。ナルニア様のお世話をするものが一人は必要でございましょう」

「すまぬ……俺が消えた後は、降伏してくれ」

「はい」

 それがはかない希望だと、どちらもわかってはいる。

 ただお互いに他にかける言葉がなかった。

「火だ、敵が火を放ったぞ!」

 一向に抵抗の弱くならないトゥメルの館に業を煮やしたのか、貴族たちは火矢を放ってトゥメル毎焼き殺そうとしていた。

「さ、若様お早く!」

 家宰の声に見送られて、動けるものはトゥメルに従い、館の裏手から一気に貴族たちの包囲を突破する。走れない女達を馬に乗せ、男達は手に武器を持って血道を切り開く。

「恐れることはない! 西方侯主トゥメルは、貴様らの後ろにいるっ!」

 その声に励まされ、槍を持ったことのない召使たちまでが、貴族達の兵士達に向かっていく。

「道を開けィ!」

 群がる敵兵をトゥメルの鉄槍が敵を葬り、屍の山を積み上げる。

「トゥメルだっ!」

 一突きで二人を串刺しにすると、振るい落とすついでに、横にいた兵士の頭を叩き潰す。

「トゥメルがいるぞ!」

 雷鳴のように鳴り響くトゥメルの名に、多くのものはすくみあがり、包囲の輪を破って脱出に成功する。




 遠く見える黒煙と、目の前に居並ぶ西域の貴族達に、シュセは嫌悪を押し殺し対峙していた。

「それで、あなた達に罪はないと、仰りたいのですね」

「我らは家族を人質にとられ、やむなくしたがっていたに過ぎず……決してロクサーヌ様に敵意を持っていたわけではありません」

「用件はわかりました。あなた方の立場については、わたくしから陛下に申し上げておきましょう」

「なにとぞ良しなに」

 靴の裏をなめよと、言われればそうしかねない貴族達の態度に、シュセは顔をしかめるのをなんとかこらえた。

「会見は終了します」

 言い置いて、跪く彼らの前からきびすを返すシュセ。

「見下げ果てたやつらですな」

「まったく、形勢が悪くなった途端寝返るとは」

 彼女の周囲を固めるグリューエンやイェンルらの幕僚が口々に非難をする。

「速やかに兵をベルガディへ進めます。グリューエン、紋章旗を先頭に掲げ、ベルガディの主要部を占領なさい」

「ぎょ、御意」

 彼らの言葉に耳を貸すことなく彼女は告げる。

「イェンル、貴族らを拘束なさい。必要以上に厳しくする必要はありませんが、逃げ出すことのないように厳重に」

「はっ!」

「民衆への被害を最小限に食い止めなさい。その為なら、敵の首魁であるトゥメルの首など取らずとも結構です」

 そのシュセの判断に、彼女を囲む大人たちは全員頭を下げる。

「この戦いで、西域で流れる血は最後にしたいですね」

 馬を引き寄せると、騎馬隊に指示を出す。

「西都ベルガディにロクサーヌの旗を掲げなさい!」

 彼女の差配のもと、ロクサーヌの軍勢は遠征の最後を締めくくる戦いに赴いた。




 ◇



「ちっ……まったくこりゃ、なんて様だい」

 燃え上がるトゥメルの屋敷を眺め、クシュレアは舌打ちした。長いこと森林に身を潜め、やっとベルガディにたどり着いたと思えば、けじめを取るべきナルニアの居場所がまたわからなくなってしまった。

 周囲にはまだ敵か味方かわからない兵士達がうろついている。

 こんなところは早く失せるに越したことはない。

「ん?」

 ざわりと、騒ぎが起こっていた。

 燃え盛るトゥメルの屋敷から脱出してきたらしい一団が、兵士に囲まれている。

 後は嬲り殺しになるだけの彼らを助けようと思ったのは、クシュレアの記憶に引っかかる顔があったからだ。

「確か、あれァ……家宰だったよねえ」

 敵味方定かではない中、半分焦げたような兵士達が、取り囲む兵士を相手に戦うのは、壮絶を通り越して凄惨ですらあった。

 その包囲を破ろうとする兵士の中に、見覚えのある家宰の姿。

 あるいは、ナルニアの行方がわかるかもしれない、とクシュレアが考えたのは当然の帰結というべきだっただろう。

 手にした投擲剣の数を確かめると、狙いを定める。

 だが如何せん数が違いすぎる。

「討ち取れぇ!」

 その声とともに、包囲している兵士達が一斉に襲い掛かる。

「このままじゃ……」

 いくら度胸が据わっているといっても、彼女は無謀と勇気の違いを心得ていた。自分の力量ではこの数の差を逆転することなどできはしない。

 手にした投擲剣をどうするか、考えあぐねている時にその声は聞こえた。

「化け物だ!」

 悲鳴とともに、首を飛ばされる兵士。

 片手で剣を振るう一人の武人が、包囲する兵士三人を相手に戦っているところだった。

「イアーソンだぞ! 討ち取って名を上げろ!」

 剣を持っていない方の手は黒く焼け焦げ、肩から頬にかけても火傷のあとがある。ほとんど死に掛けのその姿で、尚イアーソンは剣を振るう。

 突き出した槍をたたき伏せ、相手の首筋を断ち切る。返す刀で、おびえる兵士の眼球に長剣を突き入れると、致命傷を負ったその兵士を突き飛ばして、さらに別の敵を求める。

不死身(ノゥストラ)だ!」

 腰の抜けた兵士の悲鳴が、恐怖となって包囲をする兵士に伝播する。

 手を出せない侍従達に襲い掛かる兵士を後ろから切り倒し、生きている足でその屍をけり倒す。

「──ちっ」

 焼け焦げた顔で判別がつかなかったが、それは以前トゥメルの屋敷のときに、自身に言い寄ってきたことのある男だった。

「バカだね。どうしてあたしは男を見る目がないんだ」

 舌打ち一つ。

 隠れている物陰から一気に飛び出すと、手にした投擲剣を包囲をする兵士に向かってばら撒く。ひるんだ隙に、包囲の輪の中に入り込むと、イアーソンの後ろに回る。

「加勢しますよ。お兄さん」

 ちらりと、クシュレアを一瞥しただけでイアーソンは敵に向き直る。もはや煙に喉をやられて声を出せない彼は視線だけで感謝をすると、群がる敵に立ち向かっていった。

 脇から襲い掛かろうとする兵士をクシュレアの投擲剣が貫き、蝋燭が最後の輝きを放つように戦うイアーソンを援護する。

「このっ! クソアマァ!」

 突き出される槍が、クシュレアの背をえぐる。

「いっったいじゃないかっ!」

 その兵士の喉首を切り裂き、クシュレアはさらに向かってくる敵に投擲剣を投げつける。

 イアーソンの体に槍が突き立ち、だがそれでも彼は歩みを止めない。柄を切り落として、突きかかってきた兵士を叩き斬る。

「ひっ……逃げろ、増援を呼ぶんだ!」

 イアーソンの姿に恐れをなした敵が悲鳴を上げ、包囲は解けていった。

「引いた……?」

 半ば呆然と膝を突くクシュレアの目の前で、ガシャンという音とともに、さきほどまで立っていたイアーソンが膝から崩れ落ちていた。

「ちょっと……」

 駆け寄ったが、イアーソンは既に息絶えていた。

 こみ上げる涙を振り払う。

 痛みを振り払って、家宰の元へむかう。

「ナルニアは、ナルニアはどこへ行った!?」

 クシュレアの姿を認めると、家宰は老人特有の柔和な笑みでゆっくりと頷いた。

「トゥメル様と一緒に脱出をっ……心配はせずともよい」

 見れば彼の口元からは血の一筋が流れ落ち、手で押さえた腹部からは血が滲み出していた。

「どこへ……」

「西部に」

 頷くとクシュレアは振り返らず駆け出した。





 一度は包囲を突破したトゥメル達だったが、貴族達の執拗な追撃に徐々に数を減らしていった。シュセは意図してのことではなかったが、ロクサーヌの陣営に行ったまま戻らない貴族達の不在により、兵士を束ねるものがいなくなったのが原因だった。

 彼らの従えていた私兵達は、トゥメルの首を差し出さねばこの戦は終わらないと認識していた。主が死ねば、私兵は諸共運命を共にするしかない。

 彼らが生き残るためには、トゥメルの首をロクサーヌに引き渡すしかない。

 故に決して追撃に手を緩めはしなかった。追う方も追われるほうも死に物狂いとなった戦場は、凄惨なものとなった。

 街中で騎馬兵すら使って追撃をかける私兵達。トゥメルの力によってそれも防がれると、今度は弓兵かが遠距離から射撃を加えるようになる。

 トゥメルの武力が他の追随を許さないほど、弓兵による無差別の狙い撃ちに、拍車をかけた。

「ナルニア!」

 幾度目かの敵の波を掻き分け、突破しかけたところで、弓兵による降り注ぐ雨のごとき射撃が彼らに襲い掛かった。彼女に降り注ぐ矢の雨に、トゥメルは我を忘れてその身をさらす。

「トゥメル様!?」

 ナルニアの悲鳴と、先導していたウィンネの悲鳴が重なる。

 足の止まったトゥメル達を狙うように、さらに矢の雨が降り注ぐ。

「くっ……いかんな」

 顔をしかめるだけにとどめて、周囲を確認する。

「ウィンネ。大盾を構え! 聖堂まで後退」

 自身に刺さった矢を抜くこともせず、指示を出す。近くにある大きな建物を一時的に占拠する命令をだした。

「は、はっ!」

 ウィンネ以下の兵士は大盾を構えて戦えないものを最優先に聖堂に下げる。

 トゥメルが下がったのを見て、貴族の私兵達が武器を持って前に出てきた。

「全員に命ずる! 決して下がるな! 我ら誇りあるトゥメル歩兵団。死しても尚、倒れることは許されぬぞ!」

 周囲を包囲する敵に、ウィンネ達は命を懸けて時間を稼ごうとしていた。

「トゥメル様!?」

 建物の中は思いのほか広かった。今はもうほとんど訪れるものの居ない神の館は、静寂とわずかばかりの埃をもって彼らを迎える。

 トゥメルに突き刺さった矢に、どうすればいいかわからないナルニアは、涙を流すことしかできない。

 ナルニアを安心させるように微笑むと、トゥメルは自分で矢を抜き取った。

「心配ない……だがすまぬ。ナルニア……これ以上お前を守れそうにない」

 血止めをした傷跡から流れ出る血は、トゥメルがこれ以上戦うことが出来ないと思わせるものだった。

「逃げろ、ナルニア」

「そんな……」

 首を振って精一杯拒否をするナルニアを、トゥメルが優しく叱る。

「カチューシャ」

 呼んだトゥメルの声は、カチューシャに不吉な予感を抱かせるに十分だった。

「はい」

 蚊の鳴くようなか細い声で答えるカチューシャに、トゥメルは懐から金貨の入った袋を取り出す。

「ナルニアをつれて、行け」

 壁に背を預けたままのトゥメルの言葉に、カチューシャは涙を振り払って金貨の袋を受け取った。

「いやです! 私は、あなたと一緒に……」

「──良いじゃないか。ご好意に甘えてさ」

 聞こえた声にナルニアは思わず振り返る。薄く笑みを浮かべたクシュレアの姿に、ナルニアは安堵と同時に不吉なものを感じ取っていた。

「クシュレアさん……? どうして?」

「けじめってやつをね、取りに来たのさ」

 こんなときでさえ、匂い立つような色香が漂うクシュレアの姿。

「どういう、ことです?」

「報酬さ。そこにいる死にぞこないの首、それを奴等に渡せば、あたしとあんた達ぐらいは楽に逃げられる」

「だめです。トゥメル様にそんなことっ!」

「ふぅん、トゥメル様ね……」

 トゥメルを庇うように両手を広げるナルニアに、クシュレアは容赦がない。

 その頬を張ると、きつい瞳でナルニアをにらみつける。

「忘れちまったのかい? 私らが何者で、なんでここにいるのか」

 荒地を渡る風のように寒々しく肌を刺す、クシュレアの視線。

「だとしても、私はどきません!」

「じゃ、どうするのさ。あんたにこの状況の打開策でも?」

「それは──」

「いや、ナルニア……彼女の言うとおりだ」

 クシュレアに賛成をしたのは、あろうことかトゥメル本人。

「だめです、トゥメル様……そんな」

 掴んだナルニアの手を、割れ物を扱うように優しく振りほどくと、いまだ血の流れる傷跡をそのままに、トゥメルは体を起こした。

 門の破られる音がする。

「もうきやがったか」

 舌打ちするクシュレアに、トゥメルが向き直る。

「さあ、早く時間がないぞ」

「言われなくたって……」

 握り締める短剣の穂先が、トゥメルの首筋を狙う。

「だめ、だめですクシュレアさん!」

「なに言ってんだい……これはあんたの為でもあるんだ」

 口元に浮かぶ微笑は魅惑の色がある。

「東都へ帰らなくちゃね……私たちの故郷へさ」

「っ!」

 何もいい思い出などないはずの、ガドリア。だがその名は、ナルニアの心を確かに揺さぶる。

「待ってる人が、いるんだろう?」

 ナルニアの胸に、ルカンドの優しい笑みがよみがえる。

 守ってあげたくなるような、くすぐったいような……固く誓った約束があったことを、思い出してナルニアは驚いた。

 思い出したということ。

 そう、今の今までその約束を忘れていたのだ。

 黙りこむナルニアに、クシュレアは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

「さあ、わかったらお退き」

 優しい慈母にも似た笑みがナルニアを包む。

 まるで幼子が嫌々をするようなナルニアに、クシュレアは優しく微笑むと、彼女をどかした。

「死に際が神様の家ってのは、お誂え向きだね。行く所は地獄だろうが、先に行ってな」

 振り切られるクシュレアの腕にナルニアが飛びついた。

「だめ、だめです……」

 ほとんど叫ぶような声でナルニアは拒絶した。

「ナルニア!?」

「私が居なくなったら、この人は独りになってしまう……」

 驚愕に目を見開くクシュレアに、ナルニアは懐から護身用の短剣を取り出す。

「だから……だから……」

 震える手で握るそれを、常に支えてくれた仲間に向ける。

「私は、この人と行きます!」

 驚愕から立ち直ったクシュレアの視線は、東都の魔女を彷彿とさせるように氷点下よりなお冷たい。

 一方ナルニアも、その瞳は鉄を打った鋼のごとき意思を宿していた。

「仲間に、手を向ける意味をわかっているんだろうね? ナルニア」

 低く、どぶ底を這い回る女の声がナルニアを打つ。

「わかっています。お別れです……クシュレアさん」

 彼女にためらいはなかった。

「おい、そこの木偶の坊(ばか)……お前この女がどういう氏素性なのか知ってるのかい?」

 ナルニアを貫いていた視線が、トゥメルに向かう。

「彼女が何者で、どんな育ちだろうと、俺は彼女を愛している」

 臆面もなく言い切るトゥメルに、苦々しげにクシュレアは一瞥をくれた。

「仲間を裏切る奴を、私たちは許さない。そうだね、ナルニア?」

「はい」

 そのとき、乱暴に開かれる扉と、怒声が響く。

「居たぞ、トゥメルだ!」

「首を取れ!」

 舌打ちしたのは、その場に居た全員だったかもしれない。

 クシュレアの手から放たれる投擲剣が、私兵達の先頭をなぎ倒す。

「トゥメル様をやらせるなっ!」

 続いて響くウィンネの声。

「ふん、時間切れか」

 ナルニアと対峙してたクシュレアは、踵を返すと壁に寄りかかる。

「私の手で引導を渡してやろうと思ったんだけどね」

 トゥメルの部下と貴族の私兵達が争う中を、クシュレアはゆっくりとナルニアに視線をめぐらせる。

「この奥に、小さな部屋がある。最後の時間だ。好きにお過ごし」

 指差す先には、クシュレアが先ほど出てきた暗い通路。

「クシュレアさん……私……」

 それ以上何も言えずに、トゥメルとともにナルニアはその部屋へ続く廊下を歩く。

 見届けたクシュレアはその場に仁王立ちすると、周囲に油をまいて、火をつけた。

 そのまま横の壁に背中からよりかかると、火の回りを確かめてずるずると崩れ落ちる。

「やれやれ……手間が、かかっちまうね。どうも私には……脚本家は……」

 わき腹から背にかけて確かめた手には、べっとりとした血糊がついている。

「やっぱり……裏子(ポルナーレ)が、お似合いか」





 ゴード暦528年、初夏

 王都ロクサーヌより発した西都ベルガディへの討伐は成功のうちに幕を閉じる。

 西域を支配してたノイシュタットの家系は悉く行方不明か、死亡が確認され、ベルガディをはじめとした王都の西域の統治は再びノイスター家へと戻った。

 この動乱の後、西方候主トゥメル、その妻ナルニアの生死はようとしれ知れない。

 王都では、内乱を早期に治めたシュセの力量と、彼女を抜擢したカルの人気は否が応でも上がり、彼の治世に疑問を投げかける声も、抑えられるかにみえた。






西域の主編、終了です。

長い、長すぎるっ!

という作者の個人的感想はさておき、次はサギリを中心とした話になります。


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