Ep_2_Dark villains
滅茶苦茶短いです。
すいません。
そこは闇の中にあった。
気を抜くと吸い込まれて仕舞いそうなただただ純粋なる闇。
そこには1つの円卓が置かれている。
だがその円卓の椅子は全て埋まっておらず所々には空席があった。
「つまり、ハデンは|創造者世界治安維持機構にビビって無様にも逃げ帰った。ということで良いんだね?」
その中の1人、金髪でやたら派手な格好をしたこの場に全く合っていない男が嫌味混じりに言う。
その先にいるのは不機嫌そうに座る1人の男、
盲目のハデン。
「ハァ?!俺様は逃げたんじゃァねェ。見逃してやったんだ!」
吐き捨てるように叫ぶ。
この2人はこの中でも屈指の相性の悪さを誇る。
「ハッハッハッハッハ!
いやー君もたまには面白いこと言うんだね!
そういうのって、所謂小物が言う言葉だよね?
それをあの誉高きハデンさんが言うなんて!
いるんだよね〜自分が勝てないとわかったら見逃すとかいって逃げる臆病者が」
「ッるせェ!!彼奴らがまだ俺様に釣り合わねェから見逃しただけだ!
口だけの金髪チャラ男になんて言われたかねェんだよ!」
「なんだと...」
一触即発の言い合いになる。
何時もの事だが今回は状況が状況だ。
千載一遇のチャンスを逃したとなれば周囲もピリピリしよう。
「......ハデン。貴様は我等の目的を心得ているのか。」
2人のやり取りに痺れを切らし1人の男が低い声で呟く。
この中でも年齢だけを見るのであれば最年長。
最も貫禄のある男だ。
「あァン?目的だァ?
ケッ、知ったこっちゃねェ!俺はお前らの目的なんて微塵も興味はねェ。俺はだた強え奴と戦いたいからここにいるだけだ!」
「......お前...っ!」
金髪の男がハデンを睨む。
「そこまでにしておけ。」
ピシッと場の空気が一瞬で静まり返る。
「し、しかしボス、こいつのやる気のなさは問題です。」
金髪からボスと呼ばれた男は年齢こそ20代前半に見えるが、貫禄と気迫が他のものとは明らかに違った。
「ロイ、お前はいつも先走りすぎだ。それでは合理的な判断が出来ん。
ハデンは態度こそアレだが天性の才能を持っている。それを引き出してやるのも我々の役目ってもんだ。」
ロイと言われた金髪は言い返せず歯ぎしりする。
「がしかし、流石に何も仕掛けずに帰ってきた訳ではあるまい、ハデン。」
優しい喋り方ではあるが、有無を言わすぬ気迫があった。
「......魔具を2つ程置いてきた。これで多少は足止め出来んだろ。」
おもしくなさそうにハデンが言う
もっとも、奴もこれくらいで死ぬとは思っていない。
(まァこの程度で死ぬ様なザマなら俺の見込み違いって事だがなァ)
「ふむ...ではこちらからも捜索の手を打っておこう。」
ピリッとハデンの空気が険しくなった。
「おい、お前達で捜索だァ?」
ガタン、円卓を叩きつけてハデンが立ち上がる。
座っている者を見渡して叫んだ。
「いいかァ!俺はお前達の目的なんてどうでもいいっつってんだよ!俺はただ強いヤツと戦いたい。彼奴らは俺の獲物だ!手出しは許さねェ!」
その言葉を聞き金髪が激高し立ち上がる。
「おい!お前!誰に向かって口をきいていると思ってるんだ!」
「誰ェ?んなんお前がボスなんて呼んでるクソ野郎だよ!
大体何がボスだ。それじゃあ円卓の意味がまるでねェじゃねぇか!
狂人共の戯れにしては嗜好が凝ってると思ったが所詮この程度か。」
金髪の怒りが更に増す。
抑えきれずハデンに殴りかかりそうになった時、ボスと呼ばれた男が金髪を制止した。
「そうか...わかった今は君に任せよう。
しかし君は彼らに居場所をどうやって把握するのかい?」
ハデンに任せる。
その言葉で周囲がザワつく。
だがハデンは気にせず答える。
「使い魔を奴らの近くに放ってある。ちょうど今頃長耳族の里に着く頃だろ」
ハデンはスクロールの様なものを投げる。
男はそれを見て何か呟いて、頷いた。
「......まあまだ良いだろう。
後のことは私が考えておく。今日は解散だ。」
その言葉でハデン真っ先に退室。
他のものも戸惑いながらも10分もすればそこには男だけになった。
「.........あのハデンを満足させる潜在能力、一体あの魔槍にどれほど対抗出来るか見てみようじゃないか。」