アイリス姉妹は優しく微笑む、だけどなぜか心はむなしくなるばかり、いつか3人で暮らすことを夢見て、今はこのミッションに挑もう
柏倉参議。
こちらの異世界では、さすらいの冒険者サンギとして、あてもなくさまようことに。
由希と、亜希なのか…?
と思ったら、このあたりを統治する『グランド・アイリス王国』の双子の王女、アイリス・ユキと、アイリス・アキという2人の王女だった。
グランド・アイリス王国は、2人の王女の父王であるグランデン・ミツグ王が統治する国。
アイリス・ユキとアイリス・アキは、すぐ近くにいる。
が、しかしここはあえて気づかれないようにして、やり過ごすことにした。
すると、なんと彼女たちの方から声をかけてきた。
「ねえ、あなた、名前はなんていうの?」
まず声をかけてきたのは、アイリス・ユキ。
「サンギ、僕はサンギという、しがない冒険者だ。諸国を気ままに旅している。」
どうにかごまかした。しかし、僕はついさっき、こっちの世界に飛ばされてきたばかりだぞ…。
ユキ「ねえねえ、アキ、アキったら、この人私たちの見たことある人に、よく似ていない?」
アキ「えー、そういえばそうだね、だけど、誰だったっけ、それが思い出せない。」
どうやら僕は2人の知り合いの誰かによく似ている顔立ちのようだ。
しかし、それが誰だったのか、そこにいくとなぜか思い出せないのだという。
そしてあらためて自己紹介をすることになった。
ユキ「私はアイリス・ユキ。厳密に言うと私が姉で、アキが妹ということになるんだけど。」
アキ「私はアイリス・アキ。サンギさんっていうのね、よかったら私たちのお城に来ない?」
サンギ「僕は、サンギといいます。よろしく。」
そしてユキとアキ、2人同時に言った。
「私たち、双子の王女の、アイリス姉妹です!」
寸分違わぬタイミングで2人同時に言った。こうしてみると、やはりどっちがどっちか、見分けがつかなくなる。
「これは、本当にどっちがどっちか、見分けがつかないな…。」
そしてグランド・アイリス王国の城下町へ、そして城へと向かうことになったのだった。
城下町に入ってからも、僕はずっと考え事をしながら歩いていた。
城と城下町は、ここから行くとそれほど距離もなかった。
さすがはグランド・アイリス王国の都、中心都市。とはいえ、この世界の国というのは、ほとんど城と城下町の都市国家といった感じらしいが。
あれ?そういえばこの、グランド・アイリス王国という名前は、どこかのゲームか何かで聞いたことがあったような…。
もしかして、僕が前世でやっていたゲームなのか?と思ったが、やはりそこまでいくと思い出せない…。
まあ、いいか。それは後で考えよう。
それよりも、アイリス・ユキと、アイリス・アキは、やはりどこからどう見ても、星名由希と星名亜希にそっくりだ。
もしかして本当に…。
いや、そんなことはないな。たとえ双子でも、人格は別だ。
いくら一卵性双生児でも、顔は同じようでも、中身は全く別人格の、別々の人間だ。
やっぱり、アイリス姉妹は、星名姉妹ではなく、アイリス姉妹か…。
やっぱりもう、星名姉妹とは、二度と再び、この世で会うことはないのか…。
なんだか、そう考えると、やっぱりむなしくなってきたのだったが、
そんな時に、アイリス姉妹が声をかけてくる。
「ちょっと、サンギさん、何?城下町に着いたっていうのに、ずっとボーッとしているみたいで。」
「いやいや、何でもない。ただちょっと考え事をしていたんだよ。」
「ほらほら、見てよ、あのお店の食べ物とか、おいしそうじゃない。」
アイリス姉妹は、まるで町娘のように、町の景色や、食べ物屋、洋服屋などの品々を見ては、はしゃぎまわる。