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太陽の雲が人類をアレに進化させる、そう遠くない未来。  作者: 城谷創懐(シロタニクラフト)
第六話 「地球の終焉」
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轟く闇、消え失せる理性

朝霞に生まれてしまった、三匹のUMA。

ビッグフット。

ジャイアントペンギン。

そして飛だったスレンダーマン。

幻は独りで「自由の楽園」にってしまった。

幻の母親はUMAの放つ、身も凍てつくような気迫に放心状態だ。

幻の父親は駐車場の車に隠れている。

道路には魂を失った、妊婦の死体が転がっていた。

飛は消え失せていく理性にしがみついていた。

「幻のもとへ必ずく・・・!」

飛の体内で轟く闇。

生物の理性をつかさどる「光」がなくなっていく。

飛は闇に侵され、理性を失った。

それは、ビッグフットもジャイアントペンギンも同じだった。

理性を失い、殺意が沸々とたぎってきた。

そして殺意が脳を占拠した。

スレンダーマンは地を突き飛ばして、空へ跳躍した。

武蔵野線の線路が眼下に見えた。

赤い車の陰に魂の光を目撃した。

「光を喰らえば――」

スレンダーマンは落下地点を魂の光に定めた。

広げていた四肢を閉じ、身を細くした。

体感的な重力がさらに強まった。

槍のようになり、魂の光めがけて、貫いた。

幻の父親の魂だった。

幻の父親の口から吐き出された魂の光が、宙を浮遊した。

ビッグフットもジャイアントペンギンも、その魂の光を狙い、地上を駆けた。

スレンダーマンは垂直に跳び上がると、空中で魂の光を喰らった。

「幻に逢いたい」

さっきまで理性を失い、感情を捨てていたが、捨てた感情がよみがえる。


飛の肉体の中に闇の魂とは別に、光の魂が取り込まれた。


スレンダーマンは地上に降り、白い空を見上げた。

「まだ、きっと、自由の楽園に行ける切符が残されているはず」

大気は光の気体かもしれない。

空が真っ白。

ということは、空は光に満ちている。

光の大気を吸収すれば!

スレンダーマンは力いっぱい大地を四肢でとらえて、身体をしならせて、弓矢のようにして、高空を射るように真上に跳躍した。

四肢を広げて、口を大きく開けた。

そして光の大気を吸いながら降下した。

空が黒みがかり、暗黒の空に変わった。

宇宙の常闇とこやみが大気の間隙からのぞいていた。

地球の皮膜にあたいする希薄な大気のベールを、スレンダーマンの飛ははがしていた。

朝霞周辺の空にオゾンホールが穿たれた。

オゾン層がなくなっている部分を「オゾンホール」と呼ぶ。

ギラギラと白光が照りつけた。

太陽嵐だった。

銀河系の恒星、バカでかい太陽からは熱波が発せられていて、それは何光年も先の地球へたどりつき、地球を襲っている。

しかし、オゾン層が太陽嵐から地球を守っているので、人間が耐えられる程度の陽射しとなって地球に降り注いでいるのだ。

オゾンホール。それはオゾン層に穴が開いた状態を指す。

つまり、オゾンホールの下は太陽嵐が直撃してしまうのだ。

実は、このオゾンホール。

現在の地球にも小さく存在している。

南極の上空だ。

人間がフロンガスを大気に放射していた結果、オゾンホールが口を開いたのである。

現在、そのオゾンホールは拡大中であり、

近頃、メガオゾンホールとなって、南極大陸を死の灼熱地獄に変えるのではないか。

というような説を唱える専門家もいる。

極めて深刻な事態だ。

そのオゾンホールが上空に穿たれたのである。

容赦なく大地を炙りつける太陽嵐。

大地に構えた人工の建造物や、大地にはびこる植物、そして人間までもがかれた。

いわゆる大規模な自然発火だった。

辺りが戦火の海だ。

毛むくじゃらのビッグフットは火だるまになって、焼死したようだった。

ジャイアントペンギンもぽたぽたと身体が溶けていた。

スレンダーマンはオゾンホールの真下から逃れようと、できる限り、遠くへと空中で前進した。

その間、超高温の熱波を浴びていた。

それはもう、熱いを超え、痛いを超え、冷たかった。

お風呂であまりにも湯船が熱いのに、気合いで浸かると、全身が冷たく感じる。

それに近い感覚だった。

スレンダーマンは新光樹公園に着地した。

瞬間移動した気分だった。

スレンダーマンの飛は後ろを振り返った。

地平線で戦火が竜巻のように逆巻いていた。

「幻が僕と自由の楽園で出逢うことを神に願っている。待ってろ、幻」

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