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アメイズ  作者: D-magician
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第73話 好きなところ?

 昼ごはんをみんなで食べて、午後はみんなそれぞれアメイズへの対策をした。コウちゃんとユウちゃんとセイちゃんは僕の家からセイちゃんが持ってきた本を読み、ケンちゃんは僕の貸した手品の説明書を読んでいた。僕は朝と同じでケンちゃんのノートを見ている。僕の隣も同じ状態。


 すー、すー。


 メイちゃんは僕の肩に寄っ掛かって寝ている。部屋で寝るか悩んだけど、この方が寝られるらしい。


「メイちゃんは本当にキュウちゃんにべったりだね~。」


「いいんじゃないか?あたしは応援するぞ。」


「メイの能力はアメイズでは絶対に必要だから。今のうちに寝られるなら寝てもらった方がいいと思うよ。」


「キュウ、何かいるものがあったら言えよ。俺が持ってきてやる。」


「大丈夫だよ。」


 メイちゃんを見ると寝息が聞こえる。どうやら熟睡しているらしい。涙を流してないから少なくとも悪い夢は見ていないと思う。ちらっとみんなを見るとニヤニヤ顔でこっちを見ていた。




「よし。そろそろ行くか!」


 時計を見たコウちゃんがみんなを見た。


「は~い。」


「あいよー。」


 みんな出発の準備を始めた。僕もメイちゃんに声をかける。


「メイちゃん。出発だって。」


 メイちゃんは目をパチッと開けて僕を見て微笑みそれから家に入っていく。そしてすぐにいつものリュックを背負ってきた。準備は昼の時点でできていたらしい。


「出発!」


 コウちゃんを先頭にみんなが走り出す。セイちゃんのお母さんが手を振って見送ってくれている。


「今日はなんとかドア&キーをクリアしたいな。」


 コウちゃんの大きな声が一番後ろの僕にも届く。


「大丈夫だよ~。ケンキュウコンビがいるんだから~。」


「そうだ!ケンにはレベルアップした力を見せてもらわないと!」


 ユウちゃんとセイちゃんが後ろの僕たちをちらっと見て笑いながら言った。


「ああ。僕も新しく得た知識を早く試したい。今ならどんな問題がきても解けそうな気がする。」


 ケンちゃんは自信に満ちた笑顔で言った。


「僕もケンちゃんに習ったことを使ってみたい。昨日よりはできることがあるはずだよ。」


 ケンちゃんの真似をして自信ある感じで言ってみた。


「二人とも~、期待してま~す。」


 ユウちゃんはこっちを見て笑った。僕たちの自転車はスピードを上げて山を、アメイズを目指した。



「おーい。どこから行く?」


 いつもの信号でコウちゃんが聞く。


「またみんな好き好きでいいんじゃな~い?」


 ユウちゃんが笑いながら答えた。


「そうだな。あたしは右で行くけど。」


「僕も右で行くよ。キュウは?」


「僕はまた真ん中から歩くよ。」


「よし。じゃあ現地集合だ。」


 僕とメイちゃんは信号を左に曲がり、他のみんなは右に曲がった。と思ったらユウちゃんが僕たちの後ろをついてきていた。


「ユウちゃん、今日はこっちなの?」


「う~ん。そんな気分。だいじょ~ぶだよ~。二人の邪魔はしないから~。」


「大丈夫だよ。ユウちゃんを邪魔者扱いしないから。ね?メイちゃん。」


 メイちゃんはうなずく。


「え~?邪魔者扱いするくらいでもいいんだよ~。」


 ユウちゃんが変なことを叫ぶ…。いつもの広場に着いた。自転車を停めて階段を上る。僕がなぜか先頭、その後ろにメイちゃんとユウちゃんが並んでついてきている。


「メイちゃ~ん。キュウちゃんのどこが好きなの~?」


「ユウちゃん!いきなり何を?」


 動揺して振り向くとメイちゃんが僕をじっと見ていた。笑顔で口を動かす。


「かっこいいところだよ。伝えて。」


 顔が熱い。好き…?好きなの…?えー?


 クラクラしながらもメイちゃんに『伝えて』と言われたから伝えてみる。


「かっこいいからだそうです…。」


「お~。そうなんだ~。で?キュウちゃんはどこが好きなの~?」


 当然の質問が僕に降りかかる。この質問に答えるには、まず僕がメイちゃんのことが好きだということが前提…。


 好き…?好きだと思う…。ただ…。迷惑じゃないかな…?僕で…。


 頭の中が混乱する。でもメイちゃんがじっと僕を見ているので…。


「メイちゃんの不思議な感じかな…。」


 ユウちゃんとメイちゃんは不思議そうな顔をしていた。答えを間違ったかな…と不安になる。


「不思議って?」


 メイちゃんの口の動きとユウちゃんの言葉がそろった。


「メイちゃんは僕が頼りたくなるほどの強さとかっこよさがあるんだ。メイズで見せた才能も僕の家で聴かせてくれた笛の音も絶対に僕にはできないことだから。でも逆に集中しすぎるとふらふらしちゃったり、一人でいると不安になっちゃう弱点もあるから。だから不思議。だから僕はメイちゃんの才能に頼れるところは精一杯頼りたいし、メイちゃんが疲れたときにはいつでも支えてあげられるようになりたいって思う。」


 あれ?ユウちゃんが何も言ってくれない…。メイちゃんも口を動かさない…。また間違えたかな…?


「キュウちゃ~ん。今のはプロポーズ~?すごいね~。メイちゃんがかっこいいって言う理由がわかったよ~。」


 ユウちゃんが笑った。メイちゃんは恥ずかしそうにうつむいている。


「え?僕、そんなすごいこと言った?」


「うん。今のはすごいよ~。私も言われてみた~い。」


 ユウちゃんは興奮気味にそう言うと僕を追い抜いた。


「私は先に行くから~。二人でゆっくり上ってね~。お邪魔しました~。」


 ユウちゃんは僕たちに手を振って階段をかけ上がっていった。見送る僕の隣にメイちゃんが来て僕の手をにぎった。


「キュウちゃん。ありがとう。私、キュウちゃんは『やさしい』とか『かっこいい』みたいな簡単なことを言うと思ってた。」


 メイちゃんの顔が真っ赤だった。僕の顔もこれ以上ないほど熱い。


「だって…。不思議って言葉でわかってもらえなかったから。ちゃんと思ったことを言わないと伝わらないと思って。」


 メイちゃんはうつむきながら階段を上る。僕も一緒に同じペースで上る。メイちゃんがつないでた手をぎゅっとにぎった。僕はメイちゃんを見る。


「キュウちゃんは本当にかっこいいよ。」


「ありがとう。メイちゃんもかっこいいよ。」


 メイちゃんは『ありがとう』と口を動かす。


「メイちゃん。急ごうか。みんなを待たせたら悪いし。」


 メイちゃんはうなずいた。二人で早足で坂道を上っていく。風が熱くなった顔を冷やすけど、手から伝わるもので顔はまたすぐ熱くなる。


「メイちゃん、今日も頑張ろう!」


 道の先に向かって叫んでからメイちゃんを見る。メイちゃんは笑ってうなずいた。


「うん。頑張ろうね。」


 僕たちはどちらともなく手をはなしてかけあしで坂を上りきりアメイズに向かって走った。


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