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アメイズ  作者: D-magician
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第57話 サイコロと法則

「キュウ。解けそうな問題はあるか?」


 コウちゃんが画面を見ながら僕に聞いた。画面には問題が表示されている。


「僕はこの問題をノートに書いて解いてみるよ。コウちゃんはその隣のリバーシの問題をケンちゃんのノートを見ながら解いてドアを開けて。」


「了解。メイ、ノートを一枚くれ。ケンみたいに頭ではできないから。」


 コウちゃんが手を伸ばす。メイちゃんはノートを一枚破いてコウちゃんに渡した。


「メイちゃん。僕にもちょうだい。問題を書くから。」


 僕も手を伸ばす。メイちゃんは僕の手にノートを渡した。僕は画面に表示されている問題を書き写す。コウちゃんはリバーシのためにノートにマスを書いた。書き写した僕が隣に移動するとコウちゃんはリバーシの問題に取りかかる。


「キュウちゃ~ん。これは解ける問題なの~?」


 ユウちゃんがノートをのぞきこむ。


「たぶん解ける。と思って選んだんだけど。」


 僕はノートに書き写した問題をながめた。



「問題」


 3個のサイコロを振り、出た目を合計する。3個のサイコロのうち2個を選び裏返して底の目を合計に加える。選んだ2個のサイコロのうちどちらかをポケットにしまい、もう片方のサイコロはもう一度振り出た目を合計に加える。


1、出た合計が21で片方のサイコロの目が6のとき、もう片方のサイコロの目を答えよ。


2、サイコロの目が両方とも2のときの合計を答えよ。


3、出た合計が25のときのサイコロの目をそれぞれ答えよ。



「サイコロ持ってくればよかったな。メイ、さすがに持ってないだろ?」


 メイちゃんはうなずく。そして僕の肩をたたいた。


「ごめんね。役に立てなくて。」


「そんな。普通サイコロは持ち歩かないって。セイちゃんもメイちゃんを困らせないでよ。」


「悪い。冗談のつもりだったから。」


 僕は頭の中でサイコロを振って出た目をノートに書いてみる。そして問題と同じようにサイコロを裏返し底の目を書く。そしてどちらかを選んでもう一度頭の中で振って出た目を書く。


「えーっと。だから…。これは関係ないから…。こうなって…。」


 僕は書いたサイコロの目の横に数字を書き込む。そして…。


「うん。解けた。」


「マジで?解けたのか?これ。」


 セイちゃんが驚いて大声で僕に聞いた。コウちゃんを含めた他のみんなは僕が問題を解いたことに驚いたのか、それともセイちゃんの声に驚いたのか…。とにかくみんな驚いている。


「キュウ。このリバーシはもう少しかかりそうだから、その説明をみんなにしてやってくれ。」


 コウちゃんはパソコン画面とノートを見ながら僕に言った。


「コウちゃんは聞かなくていいの~?」


 ユウちゃんがコウちゃんの肩に顔をのせて聞く。ユウちゃんの行動にみんなは驚いた。コウちゃんはまっすぐ平然と画面を見ている。


「俺はあとでゆっくり聞くよ。これをミスったら困るしな。」


「は~い。じゃあキュウちゃん説明お願いしま~す。」


 ユウちゃんが僕の横に来た。


「うん。じゃあ説明するね。まずはこれを見て。」


 僕はノートを指差した。


「ああ。まずはサイコロを3個振ったらその目が出たとするんだろ?キュウは全部1が出たことにしたけど。」


 セイちゃんが僕の書いたサイコロを指差した。


「うん。全部1にすれば考えやすいからね。3個の合計は3。そして2個のサイコロを選んでひっくり返して底の数字を足す。どれも1だから底の数字は?」


「それは6ですね~。普通のサイコロは表裏を足すと必ず7になりま~す。」


 ユウちゃんが笑いながら元気に言った。


「うん。そのとおり。だから2個とも底の目は6。今の合計は15。」


「で、6の出てるサイコロのうち片方をポケットにしまってもう片方を振る。1が出たことにするんだろ?」


 セイちゃんがノートを指差して僕を見る。僕はうなずく。


「うん。今出た1と15を足すと答えは16。」


「ああ。で?これで何がわかるんだ?」


 セイちゃんが僕に聞いた。すると僕の肩をメイちゃんがトントンとたたいた。


「キュウちゃん。私わかった。」


「え?わかったの?」


 メイちゃんは笑顔で大きくうなずいた。


「え~?メイちゃんわかっちゃったの~?そしてキュウちゃんはメイちゃんが何を言ったのかわかっちゃったの~?」


「ユウちゃん、今の二個目のいらなかったよね…?メイちゃん、言ってみて。」


 メイちゃんはノートを指差しながら口を動かす。みんなにはわからないだろうけど僕にはちゃんとわかる。順序よく丁寧に説明してくれた。


「メイちゃん。正解です。」


 僕がそう言うとメイちゃんは小さくガッツポーズ。嬉しそうだ。


「キュ~ちゃ~ん。メイちゃんだけずるいんですけど~。説明を続けてほしいんですけど~。」


 ユウちゃんが僕の後ろから低い声で言った。


「う、うん。わかってるよ。続けます。ここまで書いてみるとわかることがあるんだよ。ノートにはサイコロの目がたくさん出てきたけど、サイコロの目がどんな数でも結果が変わらないところがある。」


「あ~。わかりました~。」


 ユウちゃんが手をあげていつもの声で言った。


「おい。ユウ。あたしをおいていくな。」


 セイちゃんが慌てた声でユウちゃんに言った。


「は~い。つ~まり~、1の答えは~1、2の答えは~18。3の答えは~。」


「頼むー。おいてかないでくれー。」


 セイちゃんがユウちゃんの口を塞いだ。一人だけわからないのがよっぽどつらいらしい。


「セイちゃん。説明するから落ち着いて。」


「ああ。頼む。なんか仲間はずれっぽいから。」


 セイちゃんが静かになったところで僕は説明の続きを話し始めた。


「セイちゃん、このサイコロの図で全く同じ結果になってるところがあるんだけどわかる?」


「え?えーっとここのことか?この2個のサイコロを選んで底の目を足したところ。」


 セイちゃんは指差した。僕はうなずく。


「うん。正解。セイちゃん、さっきユウちゃんが言ってたけどサイコロは表裏を足すと必ず7になるんだ。じゃあ、もし最初に振ったサイコロの目が2だったら裏は何?」


「それは5だろ?それくらいはあたしでもわかるさ。」


「じゃあ、3だったら?」


「4だろ?」


「うん。つまり『最初に振った3個の中から2個を選んで裏返して底の目を足す』という部分の結果はサイコロ2個の表裏の合計、つまり必ず14になるんだよ。」


「あー、あ!なるほどな。確かに14になるんだな。わかった。そこはわかったぞ。」


 セイちゃんが何度もうなずいた。


「じゃあこの図を見て。さっきは振ったサイコロの目は1になるようにしたよね?そうしたら合計が16になった。セイちゃん、16から14を引くと?」


「おい!バカにしてるのか?2に決まってるだろ?」


「2は1足す1だよね?」


「そりゃそうだろ!」


「今、この図でポケットに入ってないサイコロの目は?」


「え?それは…。」


 セイちゃんは図面を見た。見ないでわかってほしかったけど。


「1と1だ…。あ!もしかして?」


 セイちゃんが目を大きく開いて僕を見た。正直ちょっとこわい。


「うん。合計で出た答えから14を引くとポケットにしまっていないサイコロ2個の合計になるんだよ。逆にサイコロの目が2個ともわかっていれば、14を足せば合計が出るんだよ。」


「おー。なるほど。じゃあー、ちょっと待てよー。」


 セイちゃんはノートを見て、問題を見て。そして少し悩んだ。


「1の答えは、全部の合計が21で、そこから14を引くと7、片方のサイコロは6。つまりもう片方の目は1だ。」


「正解。」


「じゃあ2の答えは、サイコロの目が両方2だから足すと4、そこに14を足すんだから合計は18。どうだ?」


「うん。正解。」


「ということは、3の答えは…。合計が25だろ?そこから14を引くと11だ。11ってことはー、4と6?」


「なんでよ~。それじゃあ10でしょ~?」


 ユウちゃんが笑いながら言った。


「あっ、そうだな。5と6か。」


「うん。正解。ね?解けたでしょ?」


 セイちゃんはうなずいて小さくガッツポーズ。僕たちはそれを見て笑った。


「よーし。こっちも終わるから少し待っててくれ。」


 横を見るとコウちゃんがこっちを見て笑っていた。


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