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アメイズ  作者: D-magician
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第46話 みんなでミラー

「よし。さっさと行くか。時間ないから。」


 コウちゃんはテレパスを出てすぐにそう言った。そしてミラーに向かった。


「みんな~。コウちゃんに続け~。」


「おー。」


 ユウちゃんとセイちゃんが続く。


「おーい。どんなに急いでもメイの図面がないと第2エリアに行くまでに迷うよ。」


 ケンちゃんのその言葉でみんなが止まった。


「メイちゃん。急ごう。先頭を行かなきゃ。」


 メイちゃんは笑顔でうなずいた。そして僕たちはコウちゃんを追い抜きミラーのドアの前に立った。


「メイちゃん。大丈夫?」


「大丈夫。キュウちゃんのおかげで休めたから。」


 メイちゃんは僕の服をつかんだ。


「キュウ、メイ。任せたぞ。」


「うん。じゃあ、いきます。」


 僕はドアを開けた。メイちゃんはタイマーをセットしてノートに集中する。


「メイちゃん。案内よろしくね。出発!」


 僕は鏡の廊下を歩き出した。まずは右手で壁をさわって進む。少し進むとメイちゃんが肩をトントンとたたいた。僕は左手を前に出す。すると目の前の壁にふれた。その壁を右手でさわりながら進む。少し進むとまた肩をトントンと二回。僕は左手を前に出し、ふれた壁を右手でさわり進む。メイちゃんが肩をトンと一回たたく。右手で壁をさわっていると右側に曲がる道があるので壁に沿って曲がる。すぐにメイちゃんがトンと一回たたき、スーッとなでて一回たたく。僕は壁沿いに曲がり右手を壁からはなして左手をのばす。そして左手の壁に沿って進む。


「すごいな。メイが合図してキュウが進む。いつの間に考えたんだ?」


 コウちゃんが聞いた。メイちゃんに聞いても今は返事がないのはわかっているはずだから、答えるのは僕の役目。僕はメイちゃんからの合図に集中しながら答えた。


「テレパスから出たときにメイちゃんが決めたんだよ。『ミラーを急いで進むならこれが一番!』って。すぐに覚えるのは無理な気がして、腕に合図をメモしてあるんだ。」


「すごいね~。どれだけ信頼してるのよ~。お互いに~。」


「そうだなー。あたしにはそんな合図全然教えてくれないのになー。」


 ユウちゃんとセイちゃんの声が冷やかすような言い方に聞こえる。顔が熱い気がする。するとメイちゃんが肩じゃなく背中を指でふれた。そして文字を書く。


「集中して。」


 指に力がこもっている。怒ってるのかな?


「はい。ごめんなさい。」


「おい。どうした?」


 僕の小さな声をコウちゃんは聞き逃さなかったみたいだ。


「集中って注意されたから集中します。」


「いつのまに注意されたんだよ。しかもその状態で。」


 コウちゃんは笑った。


「いちいち言わなくていいよ。」


 メイちゃんから再び注意された。


「ごめんね。」


「いいよ。」


 メイちゃんは背中にそう書いたあと、肩をトンと一回たたいた。


「壁に沿って…。」


 僕は曲がった。


「完璧なんだな。意思疏通。俺たちとはノートがないとできないのに。」


「コウちゃ~ん。お邪魔はよくないよ~。」


「そうだぞ。冷やかしならミラーを出てからにしてやれ。」


「うん。二人は今大事なときなんだから。」


 みんなが好き勝手に話している。ケンちゃんの言葉は二つの意味に取れるし…。でもメイちゃんに注意されるわけにはいかないので前を見ながら注意して歩く。どんどん歩く。つきあたりを右に曲がりさらに右に曲がり…。それを左に曲がるとドアがあった。


「ドア、通過します。」


 僕はドアを開けた。そこは第2エリア。どこかに次のエリアへの入り口があるはず。


「メイちゃん。止まるよ。」


 ゆっくりと止まる。メイちゃんを見ると顔をあげた。


「お疲れさま。」


 メイちゃんは笑っている。


「ごめんね。いろいろと。」


「いいよ。ただキュウちゃんとばっかり話してると思われるのもね。」


「そっか。みんなもメイちゃんが何を言ってるかわかればいいのに。」


 メイちゃんは目を大きくしている。驚くようなことは言ってないと思うけど。


「おい。お二人さん始めるぞ。」


 コウちゃんが僕たちの頭をポンッとたたいた。


「うん。始めよう。まず真ん中を調べる人と外側を調べる人で分かれた方がいいと思う。」


「うん。そうだね。三人ずつで上、真ん中、下の鏡をさわるようにすればいいと思う。」


 ケンちゃんが僕の意見をよりよく具体的にしてくれた。


「よし。それでいこう。時間もないし昨日のメイズのメンバーでやろう。俺たちは外側をいくからセイたちは真ん中を頼む。」


「あいよ。キュウ、メイ。さっさとやるぞ。」


 コウちゃんたちは外側の壁を右手でさわりながら進み始めた。僕たちも真ん中の壁に移動する。身長差を考えてセイちゃんが上、僕が下、メイちゃんが真ん中をさわりながら進む。外側を歩くコウちゃんたちと比べると内側にいる僕たちの方が早く、すぐに真ん中の壁を一周した。


「キュウ。どうする?」


「もう一周してみた方がいいと思う。念のために。」


「あいよ。念入りに、念入りに…。」


 セイちゃんは上と真ん中を叩くように進む。僕は真ん中と下を叩くように進んだ。メイちゃんを見るとラジオのアンテナみたいな伸びる金属の棒で上から下までくまなく叩いていた。


「メイちゃん。何でもあるんだね。」


 セイちゃんが僕の言葉につられて振り向いた。そして驚く。


「おー!マジか!そんなのあるのか!あたしに貸してくれれば倍の速さで調べられたぞ!」


 メイちゃんは笑顔のままマイペースで壁をチェックしていた。


「きゃっ。びっくりした~。」


 突然ユウちゃんの声が響いた。


「どうした?何かあったか?」


 セイちゃんが叫ぶ。僕たちからは真ん中の壁に遮られてユウちゃんたちの姿は見えない。


「おーい!来てくれ!あったぞ!次への入り口!」


 コウちゃんが僕たちを呼んだ。急いでかけつけると、入ってきたドアとちょうど反対側の柱の下に奥へと続く通路があった。鏡の反射のせいで鏡の壁があるかのように見える。


「さっきは下の段だったからわからなかったんだ。」


 僕がつぶやく。


「びっくりしたよ~。さわってたら急に壁がないからさ~。」


「うん。僕も目の前からユウちゃんが消えたからびっくりしたよ。」


 ユウちゃんとケンちゃんの話からそのときの状況がわかる。コウちゃんの後ろを歩くユウちゃんは下の段をさわっていて壁がなくなったことで隠し通路の奥に転び、その後ろを歩いていたケンちゃんにはユウちゃんが消えたように見えたらしい。


「さて、どうする?行ってみるか?」


 コウちゃんは笑顔だ。その顔には『進んでみたい』と書いてある。メイちゃんとケンちゃんはそれぞれ時間を確認する。


「あと二分だから次回にするべきだと思う。戻らないと出られなくなるから。」


 ケンちゃんは冷静に言った。僕の横でメイちゃんもうなずく。


「あと二分か…。じゃあ、ちょっとだけ進んでみる。すぐ戻るから。」


 コウちゃんはいたずらっぽく笑って奥へ進みだした。


「コウちゃ~ん。まったくしょうがないな~。」


 ユウちゃんはあきれている。


「でもコウなら当然行くよな。」


 セイちゃんは笑った。


「おーい。ケンとキュウ。ちょっと来てくれ。」


 奥でコウちゃんが呼んでいる。


「仕方ない。キュウ。行ってみよう。」


「うん。そうだね。」


 ケンちゃんがかがんで入っていく。僕もついていく。後ろから服を引っ張られる感触がある。メイちゃんだ。通路は1メートルくらいの高さ。そして5メートルくらい進むとコウちゃんがいた。


「おーい。ここだ。行き止まりなんだけど。」


 四角い部屋みたいになっていて高さは3メートルくらいはありそう。縦横は1メートルくらい。四人入ったらせまく感じる。


「メイちゃん。あれ貸して。」


 メイちゃんは棒を僕の手にのせた。


「何でそんなもの持ってるんだ?メイは。」


「謎が多いね。」


 コウちゃんとケンちゃんが話している。僕はぐるって一周壁を叩いていく。すると、壁がない場所があった。それは僕たちが通ってきた通路の真上だった。


「コウちゃん、ここから進むみたい。」


「上か。それは気づかなかった。」


 そのとき、僕が棒で叩いた通路から水がポタポタとたれてきた。


「やばいか?戻るぞ!」


「コウちゃ~ん。何か水が~!」


 ユウちゃんの叫び声が響いた。


「メイちゃん。お願い。」


 メイちゃんはうなずき僕の後ろについて服をつかむ。


「いくよー。」


 僕はかがんで来た道を戻る。第2エリアに出ると壁から水が流れ落ちてきていた。


「キュウちゃん、メイちゃん。案内お願~い。」


「頼むぞ!二人とも!」


 出たところで待っていたユウちゃんとセイちゃんが僕たちに言った。


「うん。急ぐよ。」


 僕はメイちゃんを引っ張るように第1エリアへ続くドアを目指した。ドアまであと少しのところで僕は後ろのメイちゃんに異変を感じる。たぶんフラフラするのを我慢していると思う。


「メイちゃん、三つ数えたら僕にのって!」


 メイちゃんはうなずく。


「1、2、3!」


 僕はブレーキ、メイちゃんはジャンプ!そしてメイちゃんをおぶって僕はダッシュ!メイズでやった連携。息はぴったりだ。ドアを通るとメイちゃんが肩をトントンとたたく。


「了解。メイちゃん。手を緩めないでね。」


 僕は左手で壁、右手を前に出しつきあたりの壁で曲がる。すぐに両手でメイちゃんの足をかかえる。メイちゃんが伸びる棒で壁をこする。僕が壁に寄りすぎないようにしてくれている。


「ありがとう。メイちゃん。」


 メイちゃんは肩を一回たたく。僕は曲がる。メイちゃんが僕を自在に操り進ませる。僕はメイちゃんの指示に従って進む。


「みんないるよね?」


 僕は後ろを見ないで聞いた。


「大丈夫だ!俺が最後尾だから。とにかく急いでくれ!」


「うん。わかった。」


 メイちゃんが僕の肩をなでて一回たたく。僕は反対側の壁に移動する。すぐに肩を一回たたかれ壁沿いに曲がり、さらに一回たたかれ曲がる。今度は二回たたかれつきあたりを曲がる。すると背中をツンツンとつっついてから指が動く。


「つきあたりを曲がったらゴール。」


「了解。つきあたりの指示お願いね。」


 メイちゃんは頭を背中にコツンとぶつけた。


「みんな。もうすぐゴールだから頑張って。」


「いや、あんたが頑張れ!あたしらは大丈夫だ!」


 セイちゃんから声が返ってきた。


「はーい。」


 返事をした僕の肩をメイちゃんが二回たたいた。僕は前に手を伸ばす。そしてふれると同時に曲がる。目の前にはドアがある。


「ゴール!」


 ドアをかけぬけて少し走った先で止まった。そして振り返る。


「あー。疲れた。」


「走るのは苦手なんだよ。」


 セイちゃんとケンちゃんが飛び出してきた。そしてその後ろからコウちゃんが…。


「ごめんね~。コウちゃ~ん。ありがと~。」


 コウちゃんの背中からユウちゃんが顔を出した。


「俺が先に進みたいって言ったからだし、これくらい大丈夫だ。」


 コウちゃんはユウちゃんを下ろしながら笑った。


「やっぱり絵になるね。」


 メイちゃんを下ろしながらつぶやく。


「キュウちゃんも負けてないから。大丈夫。」


 メイちゃんはそう口を動かして笑った。

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