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アメイズ  作者: D-magician
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第45話 笛でテレパス

「じゃあ、いきます。」


 僕は奥の部屋に向かって歩き出す。首にはメイちゃんから借りた笛がある。これがあればドアが閉まっても伝えられるはず…。二番目の部屋に入ってゲーム台の前に立つ。すると僕の横にはメイちゃんとコウちゃんがいた。


「あれ?なんで?」


 コウちゃんは笑って答えた。


「五番目の部屋までは何人でもいいんだし、最初の方は俺がやるよ。ユウ!いくぞー。最初は車だ。」


「は~い。」


 コウちゃんとユウちゃんが次々とクリアしていく。僕はそれを見ながらメイちゃんに聞いた。


「メイちゃんはなんでこっちに?」


 メイちゃんはうつむいたままで口を動かす。


「心配だったから。」


「え?僕が?それとも…、もしかして笛が?」


 バチーン。


 僕の背中をメイちゃんが叩く。


「キュウちゃんのバカ。」


「ごめん。ありがとう。」


 メイちゃんは笑顔になってうなずく。


「おい!お二人さん。どんどん行くぞ。」


 コウちゃんが次の部屋を指差して進む。僕たちはうなずいてコウちゃんに続く。次の部屋、その次の部屋とどんどん進み、問題の五番目の部屋に着いた。


「よし。ここからだ。まず、笛を吹いてみてくれ。吹けなかったら話にならないから。」


「うん。わかった。」


 僕は笛をかまえた。そして口をつけて思いっきり吹いた。


 ピーーー!


 ちゃんと音が鳴ることにホッとしているとコウちゃんがボソッと一言。


「間接キスとか気にしなくてよかったのか?」


 ぴひゅーーぅぅぅ。


 僕の同様が笛に伝わり最後は音が出なくなった。顔が熱い。心臓の音が早い。


「ご、ごめん。メイちゃん。ふ、吹くことに夢中で…。」


 慌ててメイちゃんを見た。


「気にしなくていいのに。ちゃんと吹けてたよ。」


 メイちゃんは笑って僕にそう伝えた。


「お~い。面白い音はわかったから始めようよ~。」


 ユウちゃんの声が聞こえた。見るとみんなが手を振っている。


「悪い。俺が余計なこと言ったから。じゃあ始めてくれ。俺は三番目の部屋に行くから。」


「う、うん。」


 コウちゃんが走って移動する。僕はゲームの画面を見た。『トランペット』と表示されている。


「トランペット。」


「は~い。」


 ユウちゃんがボタンを押した。ドアがバタンと閉まった。次の表示は『クロワッサン』。僕はまず大きく吹いてみた。


 ピー―。


「今のはみんなに聞こえたはず。問題はここからどうするか…。」


 トン、トン。


「ん?どうしたの?」


 メイちゃんを見ると僕の方へ手を伸ばしていた。そして口を動かす。


「笛、貸して。」


「うん。」


 僕はメイちゃんに笛を渡した。メイちゃんは笛に口をつける。僕はさっきの『間接キス』が頭をよぎり、また顔が熱くなった。


 ピピピッピピ。


「あっ、なるほど。」


 メイちゃんは音と吹き方をうまく変えて『クロワッサン』を表現した。画面を見ると『OK』、そして次の『クラッカー』が表示されている。


 ピピッピ―。


 メイちゃんは笛を吹く。画面にはすぐに『OK』と次の『フクロウ』の表示が。メイちゃんは次から次へと吹き、この部屋をクリアした。ドアが開くとコウちゃんが走ってきた。


「すげーな!キュウ。よく考えたな!」


「今のはメイちゃんだよ。メイちゃん、すごいよ。」


 メイちゃんは僕に笛を渡した。


「がんばってね。」


「うん。わかった。メイちゃんみたいにうまくできるかはわからないけど。」


 僕は笛を受け取り次の部屋へ。ドアの前には駅の自動改札みたいなゲートがあり僕の次に誰かが入れないようになっている。


「メイちゃん。コウちゃんと一緒にいてね。一人になったらダメだよ。」


 メイちゃんはうなずく。


「キュウ!メイのことは任せろ!」


 コウちゃんがメイちゃんの横に立って笑った。僕は六番目の部屋のゲーム画面を見た。表示は『学校』。僕は笛をかまえた。


 ピッピピ。


 画面を見ていると『OK』と『観覧車』の表示。この調子ならいけるかも。僕は笛を吹いた。そしてなんとか五問全てクリアした。


「次に進むね。」


 僕は次の部屋に行く前に前の部屋のドアを開けた。


「頑張れ。キュウ!」


「頑張って。」


 二人が手を振ってくれた。僕はうなずいてすぐに隣の部屋に移動した。七番目の部屋のゲーム台を見た。画面には『ゲーム』。僕は笛を吹いた。画面には『OK』と次の『コントローラー』の表示。僕はまた笛を吹いた。


 いける!この方法なら!


 僕は七番目の部屋をクリアして八番目の部屋へ。そしてゲーム画面を見た。


「あっ、これは…。」


 僕は表示された文字を見てすぐに、『失敗』という言葉が頭をよぎった。たぶん向こうの画面には僕が考えている文字が表示されているはず。もしそうなら当たる確率が半分…。でもやってみるしかない。僕は笛を吹いた。


 ピピピピピピピピー。


 そして画面を見る。タイマーは動くけど画面に『OK』の文字はなかなか表示されない。そしてタイマーが30秒を切ったとき『×』が表示され、ビーッという音がなった。


「やっぱりダメか。」


 僕はドアを開けて戻りコウちゃんとメイちゃんと合流した。


「何があったんだ?」


「とりあえずみんなで集まろうと思って。」


「そうか。じゃあ戻るか。」


 コウちゃんは状況を細かく聞かずに入り口に向かって歩き出した。


「メイちゃん。これ。一度返すね。」


 メイちゃんに笛を渡す。メイちゃんはうなずいて笛を受け取り、大事そうに首にかけた。


「キュウちゃん。お疲れさま。」


 メイちゃんは笑った。


「うん。よかった。メイちゃんが笑顔で。」


 僕はそう言ってコウちゃんのあとを追った。メイちゃんは僕の横に並んで歩いた。


「おい。どうしたんだ?何があったんだ?」


 スタート地点で出迎えたセイちゃんが僕たちに聞いた。


「問題は『5』?それとも『7』、『8』?」


 やっと下ろしてもらえたケンちゃんは状況がわかっているみたいで質問の内容が的確だ。

「『5』。つまりみんなは『9』を選んだんだね。」


 ケンちゃんはうなずいた。


「よし。説明を頼む。」


 コウちゃんはユウちゃんから受け取ったお茶を飲みながら僕に聞いた。


「今の問題はゲームの名前でしかも『5』だった。このゲームは『13』まで出てる。選ぶ側のみんなの台には10種類の同じタイトルが並んでたはずなんだ。」


「そう。他のならともかく10種類の同じゲーム名。しかもキュウの笛ではたぶん『ファイブ』『セブン』『エイト』『ナイン』は違いがわかりにくい。だからキュウは今日のクリアは難しいと考えて戻ってきた。そうだろ?」


「さすがケンちゃん。そのとおりだよ。」


 ケンちゃんの理解力には頭が下がる。


「なるほどな。それは考えないとな。でも途中まではうまくいったな。吹き方で伝えるのはいい発想だよ。」


 セイちゃんが僕に言った。僕はメイちゃんを見て言った。


「あれはメイちゃんのアイディアだよ。メイちゃんならもっと分かりやすく吹けたと思うよ。」


 メイちゃんは照れたように笑った。


「じゃあ、テレパスはこのくらいにするか。今は4時50分だけど…。」


 コウちゃんがそう言ってケンちゃんを見た。


「ミラーも一緒にドアを開けたから、あと5分はあるはず。だからミラーにみんなで入って次のエリアへの入り口を探せばいいんじゃないかな。」


「は~い。さんせ~い。」


「おう。急ごう。」


 ユウちゃんとセイちゃんは振り返りドアを開けて出ていく。


「ケン。行くぞ。」


 コウちゃんはケンちゃんの肩を叩いて出ていく。


「キュウ、メイ。君たちがいないとダメなんだからな。」


 ケンちゃんは僕たちにそう言ってからコウちゃんを追いかけた。


「メイちゃん、急ごうか。」


 メイちゃんは笑顔でうなずく。


 よかった。メイちゃんが泣かなくて。


 そう思いながら僕はメイちゃんとテレパスを出ていった。

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