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アメイズ  作者: D-magician
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第16話 テレパス

「暗いね…。他の部屋もこうなのかな?」


 僕がそう言うと隣のメイちゃんがうなずいてから「暗いね。」と口を動かした。廊下よりも照明が少ない。だから今までの部屋よりもずっと暗い。

 この部屋の入り口には「テレパス」と書かれていた。正確な意味はわからないけど、たぶん「テレパシー」と同じような 意味だと思う。

 ここは部屋というより廊下の方が正しい気がする。横幅はせまい。たぶん3メートルもないと思う。奥行きはかなり長い気がするが、3メートルくらい先に壁があり真ん中にはドアが見える。ドアの上、天井から50センチくらい下までガラスが張られている。だから入り口のドアに寄りかかるくらいまで後ろにさがるとドアの向こう側が見える。ただ、ガラスの奥には次のガラスが見えるからたぶんドアの向こうには次のドアがあるんだと思う。

 部屋の真ん中にはコンピューター…、というよりはゲームセンターの台みたいな物がある。大きな画面、その手前にはスティックのコントローラーとボタン。色は赤、青、黄、緑の4つ。画面の中央には「スタート」と大きく表示されている。また右上には時間が表示されていて、今は9分25、24秒とカウントダウンしている。たぶん制限時間10分という意味だろう。


「メイちゃん、とりあえずやってみようか?」


 僕が聞くとメイちゃんがうなずいた。僕がゲーム台の前に立つ。


「じゃあ、押すね?」


 メイちゃんをチラッと見てから僕はボタンを押した。


 ウィーン。


 パソコンが起動するような音が鳴り、画面には単語が10種類並んだ。単語は「みかん」「ライオン」「野球」など完全にバラバラ。そして画面の横には説明分と時間が表示されている。僕が読み上げる。メイちゃんはノートを取り出し説明文を書いた。


「次の部屋の画面に表示されている物と同じ物を選んで決定ボタンを押してください。正解すると次の物が表示されます。5回正解でクリア。次に進めます。1つの部屋の制限時間は1分です。全部で10の部屋があります。頑張ってください。」


「1分…、短い。しかももう始まってる!」


 説明文の下に表示された時間はすでに45秒になっている。


「メイちゃん、僕が隣の部屋に入ってみるから。メイちゃんは僕が言ったやつを選んで決定を押して。」


 メイちゃんがうなずいたのを見て、僕はドアを開けて隣の部屋に入った。ドアは開いたときにカチッと音が鳴り、手を離しても閉じなくなった。ロックされたのかな?僕は急いで画面を見る。画面には「ライオン」が表示されている。


「メイちゃん。ライオン。」


 メイちゃんがうなずいてコントローラーを動かしボタンを押した。僕の前の画面には「OK」と表示され、同時に次の「サッカー」が表示された。


「次はサッカー。」


 メイちゃんが手を素早く動かす。そしてボタンを押した。僕の画面には次の「カレー」が。


「次はカレー。」


 メイちゃんが動く。


「次はマンガ」


 メイちゃんが動く。


「最後はフルート。」


 メイちゃんがボタンを押す。僕の前の画面には「クリア」の文字が表示された。


「メイちゃん。クリアみたい。そっちに行くからボタンとか押さないで。」


 僕は走ってメイちゃんの前に戻る。メイちゃんがニコッと笑った。メイちゃんの前の画面には「スタート」の文字が表示されている。


「よかった。休憩なしじゃなくて…。」


 僕は大きく息を吐く。そしてメイちゃんに作戦を伝えた。


「メイちゃん。たぶん奥の部屋に行くほど僕の声が聞こえにくくなると思う。だから僕の声が聞こえにくくなったら、その笛を吹いて。そしたら僕は手前の部屋に戻るようにするから。この作戦でいけるところまでやってみよう。」


 メイちゃんはうなずく。


「あと、何かあったら笛を長く吹いて。そしたら僕はメイちゃんのところまで戻るから。」


 メイちゃんは笑顔でうなずいた。


「じゃあ、やってみよう。いくよ。」


 メイちゃんはうなずいてボタンを押した。僕は走って隣の部屋に入り、次のドアを開けた。ドアは開いたままになった。部屋はさっきの部屋と同じ。僕は画面を見る。画面には「トランプ」と表示されている。


「めいちゃん。まずはトランプ。」


 メイちゃんがボタンを押す。


「次は――。」


 僕たちはこの方法で2、3、4の部屋をクリアした。5の部屋に入るときにはメイちゃんがけっこう遠くに見えた。


「メイちゃーん。聞こえにくくなったら笛吹いてねー。」


 メイちゃんが手をふっているのが見える。まだ聞こえるみたいだ。僕は画面を見る。画面に表示されているのは「学校」。


「メイちゃん。まずは学校。」


 メイちゃんがボタンを押した。その瞬間!


 バターン!


 いきなり今までの部屋のドアが全部閉まった。僕がドアを引いてみてもびくともしない。

 こうきたか。さすがにこのまま最後までいけない気はしてたけど…。


 僕は大きな声でメイちゃんを呼んだ。


「メイちゃーん。聞こえるー?」


 笛の音は聞こえない。僕は一応画面を見た。画面には「トランペット」の文字が。


「メイちゃーん。次はトランペットだよ。」


 ピー。


 メイちゃんの笛が聞こえた。どうやら僕の声は聞こえない、もしくは聞こえにくいみたいだ。


「メイちゃーん。ドアが開かないからー。ちょっと待っててー。」


 聞こえにくいかもしれないけど、一応叫んでみた。メイちゃんからの返事はない。時間は25秒。


「メイちゃーん。ドアが開いたらすぐ戻るからー。」


 僕がそう叫んだ次の瞬間!


 ピーーーーー!


 メイちゃんの笛が響いた。明らかに長く吹かれた。メイちゃんに何かあったのか?僕は叫んだ。


「メイちゃん!何かあったの?」


 返事はない。僕はドアノブを掴んでガンガン引っ張った。やはりびくともしない。僕はもう一度画面を見た。あと10秒。僕はもう一度ドアノブを引っ張った。


「早く、早く!早く開け!メイちゃん!メイちゃん!メイちゃん!」


 ビー!


 いきなりゲーム台からブザー音が鳴り響いた。そしてガチャッと音が鳴りドアが開いた。僕は走った。そして目の前のドアを引いて、また走って、また引いて。そしてようやくメイちゃんのいる最初の部屋のドアに手をかけた。そのドアを開けて、僕は叫んだ。


「メイちゃん!どうしたの?大丈夫?」


 メイちゃんがいない?僕の見える範囲にはメイちゃんがいない。僕は入り口の方へ走った。ゲーム台をよけてドアの前へ…。するとゲーム台の影に何かが見えた。僕は振り向く。


「メイちゃん!」


 そこにはメイちゃんがいた。メイちゃんはゲーム台の前にしゃがみこんでいた。

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