第14話 アメイズ2階
「さて、まずどうする?みんな。」
「え~と。とりあえずぐるっとまわってみようよ~。」
「うん。そうだね。部屋数の確認をして、あとはドアの開け方の確認をして。」
「あたしに指示をくれ!言ってくれれば何でもするぞ!」
「じゃあ、指示があるまでおとなしくしててくれ…。」
みんなが話している。僕はそれを離れたところから見ている。輪に入れない…、疲れてて少し休みたかたったから。
1階の廊下を進むと階段があった。なぜか螺旋階段。とにかく上っていく。みんなはどんどん上っていくが、僕はムーブとテクニックの疲れでなかなか足が前に出ない。隣のメイちゃんが心配そうに僕を見ている。僕は「大丈夫」という言葉を繰り返しながらゆっくり階段を上った。
階段を上りきると広い場所に出た。階段の出口から見て後ろ側と左側は壁。右側にはドアが3つ見える。そして正面にもドアが2つ、そのドアの前に台が見える。
「よし。じゃあぐるっとまわるぞ。ケンとユウはドアのマークとか確認してくれ。」
「は~い。」
「うん。わかった。」
「で、あたしは?」
「セイは静かについてきてくれ!」
「…、わかった…。」
「キュウ!下見して来るから。そこでもう少し休んでていいぞ!メイ、キュウの面倒を頼む!」
「うん。わかった。でも面倒はかけないと思うよ。たぶん…。」
僕の返事を聞いてみんなが歩き出した。でも一番奥に見えるドアまでそんなに遠くないから、ぐるっと見回っても5分くらいだと思う。みんなはドアを見ながら何か話している。ケンちゃんが指差したり、セイちゃんが何かバタバタしたり。ユウちゃんは何かをメモしている。記録係はケンちゃんかメイちゃんだと思った…。
「メイちゃん…。本当はみんなと一緒に行きたかったんじゃない…?」
僕がそう言ってメイちゃんの方を見ると、メイちゃんは首を左右に振った。そして口を動かす。
「大丈夫だよ。ゆっくりしよう。」
「メイちゃん。ごめんね。ありがとう。」
メイちゃんは笑顔でうなずいてくれた。
「ところで聞きたいことがあるんだけど。」
僕がそう言うとメイちゃんがこっちを見た。そして「なに?」と口を動かした。
「さっきコウちゃんは、ドアの数を確認するって言ってたと思うんだけど。ここに来たのはみんな初めてなら、確認するって言い方はしないと思う。もしかしてフロアマップとかがあるのかな?って思ったんだけど。」
僕の話を聞いて、メイちゃんは驚いたみたいだ。そしてリュックからノートを取り出した。ノートを開くとそこには一枚の紙がはさんである。それを開くと…、
「これは、フロアマップだね。二階までしかないけど。」
メイちゃんはうなずいてからノートに何かを書き始めた。僕はノートをのぞきこみ、メイちゃんが書いた文字をそのまま読んだ。
「ユウちゃんの家に届いた物の中に、このフロアマップも入ってたの。だから二階までならドアの数や廊下の向きとかはわかってる。ただ部屋の中まではわからなかったから、フロアマップにドアのマークや部屋の中の仕掛けとかをメモしてたの。」
「そうなんだ。じゃあこのフロアマップを見る限り、二階の部屋数は4つで階段は僕たちの正面にあるドアの奥ってことになるよね?」
僕がメイちゃんの方を見たのと、メイちゃんがこっちを見たタイミングが同じだった。しかもノートを見るために体がくっつくほど近づいたから顔が近い。
目があった瞬間僕は自分の顔が赤くなったのがわかった。
「ご、ごめん。近かったね。顔…。」
メイちゃんが首を振る。メイちゃんの顔も赤く見えるのは気のせいかな…。
「お~い!キュウ~!メイ~!」
突然コウちゃんの声が響いた。見ると正面のドアの前にある台のまわりにみんなが集まっている。
「こっちに来てくれ!あとキュウはさっそく仕事があるから!」
仕事?僕の仕事?よくわからないけど…。
「メイちゃん、とにかく行ってみよう。」
僕とメイちゃんは走って…は無理だから早足でみんなのところへ向かった。みんなが囲む台の上には確かに「僕の仕事」があった。
「一応説明するよ。ドアの数は5つ、そのうちの1つは上の階段があるはずのこのドア。」
ケンちゃんが説明しながらドアを指差す。
「残りの4つのドアはたぶん下の階と同じで何か仕掛けがあると思う。で、そのドアを開けるための課題がこれ。」
ケンちゃんが指差す場所、みんなが注目する場所にあるのは、
「パズルが12個。これを解いてそこのくぼみにはめる。しかも今回は3個で一組。例え2個解けても最後の1つが解けないとドアが開かない。」
「厳しいな。あたしは全く役に立てないぞ。」
「そう。セイは役に立たない。ってそんな話をしたいんじゃなくて。問題は今の時間。4時20分。つまりあと40分で終わりってこと。」
「それがどうした?40分もあるじゃないか。」
「セイ。確かにそう捉えることもできるけど。僕は今日のうちに大体の部屋の仕掛けと制限時間だけでも知っておくべきだと思うんだ。」
「そうだね~。制限時間が10分と30分では全然違うもんね~。」
「そう。ユウちゃんの言う通り。例えば明日もこれくらい時間があったとしたら、パズルを解いてから10分の部屋を3回やるか、20分の部屋を1回やるかでクリアできる確率とかが変わってくるから。」
「ケンちゃん!ちょっと待って!」
僕の声でみんなが話すのを止めた。
「ごめん。でも、先に聞いておきたくて。僕はどうやってパズルを解いた方がいい?闇雲に解くか、部屋別にパズルを分けて開けられる部屋からあけるべきか…。」
「ああ、部屋別にできるならそれが一番だよ。キュウにはできるだけ多くの部屋のドアを開けてほしいから。」
「うん。わかった。じゃあ僕はパズルを解くことに集中する。後でまた説明して。」
「わかった。キュウにパズルを任せる。僕たちは部屋の仕掛けとかを調べることにしよう。」
僕はパズルの前に立ち大きく深呼吸。
「あっ、キュウ。助手はいるか?昨日のパズルの時みたいに。」
コウちゃんが僕に聞いた。確かに誰かいてくれた方がうまくいく気がする。
「じゃあメイちゃん、お願いしていい?助手。パズル渡したりとか。」
メイちゃんは一瞬驚いたような顔をした。でもその後に大きくうなずいて僕の横に立った。何でメイちゃんにお願いしたのかはわからない。でも、メイちゃんなら僕の考えを読み取ってくれそうな気がした。
「じゃあ、いきます!」
僕はパズルに集中した。まわりの音が聞こえなくなっていく。パズル以外が見えなくなっていく。




