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波乱のプール開き!

 一同はよほど水浴びを楽しみにしていたのか。それぞれは瞬く間に着替え終わって、すでにフェルメニア自作のプールの前に並んでいた。



 右から順に、フェルメニアの水着はビキニのような上と下が分かれたタイプで、出ているところがやたら強調される攻めの水着。



 レフィールのもビキニ系のセパレートだが、向こうの世界で言うスポーティーなタイプで、水に入るためかいつものポニーテールは解かれストレートになっている。



 初美は南国のプライベートビーチでも満喫するかのような、花飾りとパレオのようなものがついた優雅なタイプをチョイスしていた。



 リリアナの方はフリルの付いた可愛らしい水着に、どこにあったのか水泳帽のようなものをかぶっている。もちろんツインテールは解かれており、髪は彼女には珍しいストレート。そして一番目を引くのは、彼女の腰回りに陣取った革製ドーナツ形の浮き袋――おそらくは浮き輪であろうものを装備した状態であり――



「リリアナ、それ」



 妙な柄の海パンをはいた水明が浮き輪を指差すと、リリアナは目を逸らし、



「私はその、泳ぎがそれほど、得意では、ないので」


「……泳げないんだな」


「と、得意ではないというだけでして!」


「得意じゃないだけなら浮き輪なんていらなくないか? 一応泳げるってことではあるんだろ? ん?」


「こ、これは万が一のときの危機的状況を回避するために必要な安全具でしてそれ以上の意図はどこにもまったくないのです!」


「ほー」


「ほんとです!!」



 水明がまったく信じていないという顔を見せると、必死になって否定していたリリアナは真っ赤になって膨れだす。そのやり取りの一部始終を見ていた初美が、見ていられないと口を出し、



「なに小さい子イジメてるのよ……」


「いやーなんかついな」



 さすがにやり過ぎたかとも思うが、可愛いから仕方ないのである。



「……あとで覚えていてくださいです」



 気付けば、リリアナは背後に黒いオーラを揺らめかせていた。よほど泳げないことに触れられたくなかったのだろう。魔力が高まって、肌が少しビリビリとし始める。



 これはあれだ。心霊瘴気(サイキックアシッド)、リリアナの魔力発現の証左である。少しの冗談が、彼女を臨戦態勢にまでさせてしまったらしい。



 それを見ていた初美が、ささめき声で、



「ねえ水明、このままだとリリアナちゃんに呪われるんじゃない?」


「それ洒落になってねぇよマジで……」


「だって、ねぇ……」



 視線を向けると、やはり彼女の周りは真っ黒い。汚泥のように粘ついた怨念を幻視しつつ、幼女の怒りに二人で少々慄いていると、フェルメニアが、



「そ、それよりも準備できましたのですし、入りましょう!」



 リリアナをふくれっ面にさせてしまったが、ともあれ、プール開きと相成った。

 やはり女性陣はプールでの水浴びを心待ちにしていたらしく、真っ白な水槽の中に思い思いに入っていく。フェルメニアは魔術を使った跳躍を使い飛び込み、対照的にレフィールや初美は水槽のふちに腰を掛けて落ち着いた所作で入浴、リリアナは底が深いことを知っているためか、浮き輪をしっかりと保持して恐る恐る入っていた。



「ぷはっ! 夏の水浴びはいいですね!」


「そうだな。たまにはこういうのもいい。フェルメニア殿のおかげだな」


「まさか異世界で水着を着てプールに入るなんて思わなかった」


「やっぱり、あ、足が、付かない、です……」



 それぞれ、そんな感想を口にしながら、水に慣れるべく動き始める。

 彼女たちが入ったのを見て、水明も続いてプールの水に足を付け――



「お、意外と冷たいな……」



 この暑さゆえ、プールの水はそこそこ(ぬる)いかと思っていたが、思っていた以上に涼むのに適した温度であり、心地いい。よくよく見れば水槽の底面に魔法陣が描かれており、それがプールの水を一定に保たせているのがわかった。



 しかも、大きな水槽に満たされた水は雨水などではなく、魔術で出した綺麗なもの。そのため普通のプールのように塩素剤入れる必要もなく、水は不純物を一切含んでいないようで透明。水面は陽光を反射し、キラキラと輝いていた。



 これは思った以上に気持ちいい。細かいところまで手が行き届いているフェルメニアのキメ細かさに感心しつつ、水明はプールの端っこに陣取り、魔術で勝手に腰掛けを作成する。



 そんな中、女子一同は銘々泳いだり、浮かんだり思い思いに過ごしていた。



「どうです皆さん! 私の作ったぷうるの方は!」


「ああ、暑気払いには最高だよ。正直この暑さには私も参っていたからな。ありがとうフェルメニア殿」


「やはりレフィールには、この暑さは、厳しいのですか?」


「私は生まれも育ちもノーシアスだからな。暑いのは苦手なんだ」


「ふふふ……やっぱりぷうるを造って正解でしたね。夏は毎年造ることにしましょう」



 フェルメニアがプールを夏の定番にする決意をしている一方、初美が水明に、



「魔術を使えばこんなこともできるのね。便利ー。ねー水明。帰ったら家の庭にも作ってよ」


「俺は魔術師であって土建屋じゃねぇの」


「八鍵土木とか、八鍵組とかどう? 家業はダメでも副業でいいんじゃない?」


「お前は代々続く魔術師の家系をなんだと……」



 そんなやり取りをしつつ、しかし水明は泳ごうとはしない。

 水明にとってはこのプールに入っているだけである意味天国だった。……のだが、魔術師に天国は相性が悪いらしく。



「なんか、居づらいな……」



 男が自分しかいないせいで、動くに動けないのは女性慣れしていないがゆえか。とは言いつつも、プールから出ていこうとしないのは、内心嬉しいためだろう。男の子である。



 そも、ここにいるのは美人ばかり。しかも、水の中をキャッキャと泳いだり飛び跳ねたりしているのでいろいろと揺れるし、ふいに腰のくびれなど見えるしで、見ているだけでも男としては最高。そして水明はそんな状況を独り占めしているのだ。



 堪えられないと言ったら、世の男どもに嫉妬で殺されてしまうだろう。



 見れば一通り泳ぎを楽しんだ面々は、何やら別のことで盛り上がり始めた。

 何故かフェルメニアが水槽の縁に仁王立ちをして、水面から出てきたレフィールに指をさす。



「レフィール、私と勝負しませんか?」


「ふむ、私と勝負だと?」


「ええそうです。この水の中、剣士も魔術師もなく戦うのです」



 そんな発言に、レフィールが応じるように不敵な笑みを返し、



「面白い、良いだろう。ああ、受けて立つ!」



 と、彼女がそう言ったのを機に、二人は距離を取り始めた。フェルメニアはプールの縁から水の中に飛び込み離れ、レフィールは水明の方へと移動し始める。



 プールの水をかき分けて隣に来たレフィールに、水明は気の抜けた声をかけた。



「いいのかー?」


「挑まれたのならば受けないわけにはいかないからな。戦うのが我ら剣士の生業だ」


「生業て……っていうか何をするつもりなんだよお前ら……」



 そう、疑問の焦点はそこだ。まず、このプールでの勝負というのがよくわからないのである。勝負といったらまず泳ぎが挙げられるが、対面になって距離を取っているため、そんな様子にはまるで見えなかったのだ。



「では勝者は最後まで立っていた方、水面から上半身を出している方で」


「ああ、わかった」


「いやわかったじゃねぇし! なんでそんなに物騒な勝負なんだよ!? おかしくねえか!?」



 どんどん進んでいく話に水明が堪らず突っ込みを入れると、フェルメニアとレフィールは不思議そうな顔をして振り向き、



「スイメイ殿、勝負とはそういうものでしょう?」


「そうだぞ? 何を言っているんだ君は? スイメイくんも戦いに生きる者ならわかるだろう? 戦いは最後まで立っていた者が勝者なのだ」


「いやいやいやいや! わかんねぇし! まず戦いってなんなの!? 一体何を始めようとしてるんですかお二人は!?」



 水明が徐々に昂りつつある雰囲気に焦りながら訊ねると、二人は、



「負けられない戦いです」


「そうだ。女の意地を懸けた戦いだ」


「えぇ……」



 水明の困惑の呻きは届かない。プールでかけなければならない意地がなんなのかの答えが出せないままいると、すでに臨戦態勢となった二人はそれぞれ動き出し――



「行きますよ……」



 始まりの号令もなく、先んじてフェルメニアが魔力を溜め始める。水面には波紋が浮かび、やがて波が生まれていき、プールの中に大きなうねりが。一方それに呼応するように、レフィールも己が力を高め始めた。



「精霊よ。我が守りとなれ――」



 己が内にある精霊の力を使うべく、呼びかけに入る赤き神子。周囲の風が真紅をまとって動き出すと同時に、水面が風に押されてフェルメニアの方とは別種の波紋を浮かび上がらせる。

 プールのちょうど中間で、波のうねりと波のうねりがぶつかり合う。波が砕けて白い飛沫が散り、空気は剣呑。こんな晴れの日にさながら嵐が兆したように、口に言っては表せぬ雰囲気が、玄関前の広場を席巻する。



 ――このままではいけない。折角の息抜きが台無しだ。そんな風に思った水明は、二人の蛮行を止めるための仲間になってくれそうな二人に目を向けた。



 だが――



「ねぇリリアナちゃん、どっちが勝つと思う?」


「これまででしたら、レフィール一択でしたが、先ほどお話に出た、魔力炉のことで、フェルメニアも相当強くなりました。どちらが勝つかは私も……」


「…………」



 水明が目を向けるも手遅れ。というかすでに各々分析をはじめ、観戦ムードだった。

 止めるのを手伝ってくれそうな仲間は、もういない。もう一人近くにいるが、そちらはすでに猫に骨抜きにされているため、どうにもならない。抜け目ないことに、いつの間にか猫と共に安全圏まで退避していた。



 そして、フェルメニアとレフィールの言う戦いが始まった。フェルメニアは魔力を高めて先んじた甲斐があったか、先手を取る。高めた魔力を手中に集め、そこに水を器用にひねり込んで巻き込み、



「行きますよ! それ!」



 掛け声と共にレフィールに向かってそれを放った。渦を巻いた水流が、大蛇が首を伸ばすかのようにレフィールに迫るが、一方のレフィールは精霊の力(スピリット)を用いて防御する。



 水のうねりは正面に張られた風壁に阻まれる。しかし、力と力が拮抗しているのか、水気の満ちた場で魔力の火花が散るという意味不明な展開になりつつあった。



「相変わらずわけわかんねぇ力だよな……」



 フェルメニアの攻撃は魔術のようなものなので、理解云々もないが、目下現刻対峙しているレフィールの方が意味不明だった。彼女の力の源泉が精霊の(スピリット)だというのはすでに判明しているが、術式など『詳細なコマンド』なしに、攻撃に利用することはおろか盾にしたり、補助にも使えたりするのだ。使い勝手の良いその幅広い自由度には目を見張るものがあり、その上威力も強度もある。魔術師の目から見ても、やはりズルいとかチートという言葉と嘆息を禁じ得ない。



 だが――



「はぁあああああああああ!」



「くっ、押しが強い……これが『出力が上がった』ということか……」



 精霊の力(スピリット)の防壁でも、フェルメニアの術に押されているらしく、レフィールが小さく呻いている。やはりフェルメニアの伸び幅には侮れないものがある。彼女の実力に改めて感嘆の念を抱いていると、やがて水の術は終息したか――見事レフィールは凌ぎ切った。



「さすがですねレフィール。ですが、まだ行きますよ」


「次までの間隔も短い……」


「そうです。私はれべるあっぷを果たしたのです」


「だが、私とてやられているばかりではないぞ!!」



 レフィールは勇ましい言葉を放ち、さて何をするのか。そんなことを思った矢先、水明はふいに首根っこを掴まれ――



「ぐえっ」



 気付けば、自身の口からつぶれたカエルのごとき悲鳴があふれていた。



 そう、レフィールに片手で首を掴まれ、フェルメニアに向かって突き出されていたのである。自分の身体が。



「ふふ……残念だなフェルメニア殿。こちらにはスイメイくんがいるのだよ」


「何がいるのだよ、だ! 俺を盾にするなっての!」



 じたばたもがくが、しっかりと掴まれ振りほどけない。さもあろう。精霊の力の恩恵だろうと、レフィールにはあの大剣を振るう力があるのだ。剣を手のひらの中で維持する剣士の重点、握力は相当なもの。



「いや盾ではないぞ。決してな」


「じゃあ一体なんなんだよ!? 人質か!? 俺は人質なのか!?」


「君は私を守ってくれる頼もしい騎士さ」


「騎士が首根っこ掴まれて突き出されるかよ!」



 騎士も何もその前に、水明は魔術師である。とまれ一方、フェルメニアの方はと言えば、



「うわー。レフィールなにをするのですかー。スイメイ殿を盾にするなんてなんと卑怯なー」



 ひどい棒読みの声を声を聞いて正面を向くと、すでにフェルメニアが魔術の準備を整えていた。



「おいお前! なんのつもりだ!」


「スイメイ殿ー。申し訳ありませんー。すでに魔術が行使段階にー」


「うそつけー!」


 水明の叫びと同期して、放たれるフェルメニアの魔術。飛んでくる魔術に、水明はすぐさま防御の魔術を発動し、事なきを得た。


「く、スイメイ殿。申し訳ありません。骨は拾いますゆえ……」


「何が骨は拾うだ! 積極的に骨にしようとしてんじゃねぇか!」



 白々しい言い分にそう返すと、フェルメニアは今度は標的をレフィールへと変え、



「れ、レフィール! そんな手を使って、あなたは恥ずかしいとは思わないのですか!」


「てめぇ! それは露骨すぎんだろ!」


「ふふ、利用できるものは何でも使うのが戦というもの。フェルメニア殿、あなたがぷうるの水を使ったように、私もスイメイくんを使っただけだ」


「おい! 使うとか言ってるじゃねぇか! どこが騎士なんだよ! どこが! というかどいつもこいつも……」



 水明は叫ぶが、その声は届かない。意図的に遮断しているのか。どちらも口笛を吹く姿が憎らしい。



 そんな中、別方向から水明へ向かって水しぶき。



「えい、です」



 聞こえてきたのは、幼く、そして抑揚の薄い声音。フェルメニアが手を出せない一方全く気にせずに大きな波を起こしてぶつけて来たのは、浮き輪にしがみついたリリアナだった。

 思わぬ方向からの攻撃を、レフィールとその盾である水明はなす術もなく受けてしまう。


「うぷっ!」


「ぶはぁああああ! は、鼻ひっ! 水が鼻にはひって!」



 レフィールはさほどでもなかったが、盾にされた水明は水しぶきが直撃だ。鼻やら口やらに水がしこたま入ってくる。



 ……というよりも、水しぶきの軌道は水明を狙ったかのようなものだった。



「げほっ! ごほ! リリアナお前何しやがる!」



 水明が怒鳴ると、リリアナはしれっとした態度で、



「すいめー。私は先ほど、覚えておいてくださいと、言いました」


「つまり仕返しかよ! ひでぇぞ!」


「復讐するは我にあり、です。情に絆されて、手を緩めては、勝利は得られません」



 容赦ないリリアナは、指をビシッと突きつけて決め台詞のように言葉を放つ。一方、同じく水撃を受けたレフィールが、



「くっ、スイメイくんを盾にしても効果がないとは……」


「おいお前やっぱり盾だったんじゃねぇか!」


「……あ」



 思わず口走ってしまったレフィールは再び口笛を吹きだした。そんな彼女に対し水明が額に青筋を作るが、



「レフィこの……」


「り、リリィ! お返しだ! はぁあああああああああああ!」



 レフィールは怒りの水明を無視して、手のひらの上に水の球体を作っていく。

 それは精霊の力の成せる技業か。精霊の(スピリット)によって形成された球体を見た水明は、驚きで顔を引きつらせる。



「おいおいなんだその技……」



「ふふふ……驚いたかスイメイくん。これはこんなときのために編み出しておいたものだ」



 ――どんなときだよ。と水明が突っ込む間もなく、レフィールは水球選手がボールを振りかぶるが如き態勢に臨む。水の球体とレフィールの手のひらの間に力の接続が結ばれ、さながら電流が走るプラズマボールに手をあてがったような見た目となって、バチバチという水上にはあってはならない音が発生。無色透明だった水球が徐々に赤みを帯びそして――



「行くぞ、フェルメニア殿! リリィ! イシャクトニーの赤玉(せきぎょく)をその身に受けろっ!!」


「ちょおおおおおおおおおおおおおお! そんなの受けたらただじゃすまないでしょうがぁああああああああ!!」



 レフィールの放ったそれ。それは紛うことなき必殺技だった。精霊の力(スピリット)の影響を受け、赤くなった水球。まさかの力の本流を目の当たりにした水明が、焦りの絶叫を響かせる。



「リリィ! 防御です!」


「わかり、ました!」



 レフィールの殺意のありそうな攻撃を前に、フェルメニアとリリアナは防御の陣を構築し始める。プールでの尋常な勝負は一体どこへ行ってしまったのか。魔術を用いた全力の防壁が張られ、攻撃の到来を待ち受けている。



 やがて――イシャクトニーの赤玉とかいう必殺技と、二人の合体協力魔術防壁が衝突。強力なエネルギー同士のぶつかり合いで生じる強烈な発光の影響と対比のせいで、玄関前広場は昼間にもかかわらず夜のように暗くなり、またしても火花が散る。水の上で火事とはこれいかに。



 強力な力同士がしのぎを削るそんな中、ふいに影が舞い降りた。



「せい!」



 その影が鋭い発気と共に、防御の陣によって減衰した水球を真っ二つに切り裂く。一体何が起こったのか。立ち上がった水柱が収まり、魔力の蒸気が霧散すると、その影の正体が現れる。



 しかしてそれは、手刀を前に突き出して構えた初美であり、



「私をのけ者にしてみんなで遊ぶつもり? それはちょっとないんじゃない?」


「む! ハツミ嬢まで参戦とは……三対二とは卑怯だぞ!」


「おい! さりげなく俺も数に入れるんじゃねぇよ!」



 水明が叫ぶと、レフィールは実に不満げな顔になって。



「むう、君がいないと私が一人になってしまうではないか?」


「やりたいヤツだけでチーム分ければいいだろうが!」



 拗ねるような語調で口をとがらせるレフィールに対し、水明は容赦なく怒鳴る。息抜きをしているはずなのに、限界バトルとは、正直なところ勘弁して欲しかった。



 そんな中ふいに、レフィールが何かを思いついたような顔をして近づいてくる。



「な、なんだよ?」


「……ならばこれでどうだ?」



 ――ぎゅむ。



「ふ!」



 一瞬で背後に回り込んだレフィールが、後ろから抱きついてきた。背中に当たる柔らかい感触に、水明は思わずおかしな声を上げて硬直する。



 一方、それを見ていた初美はと言えば、



「ああ! ちょっとレフィールさん!?」



 のっぴきならないという表情で、叫び声をあげる初美。そんな彼女に構わず、レフィールは水明の耳元に口を近付け、善い精霊のクセに悪い精霊(あくま)じみたささやきをふっと吹きかけてくる。



「どうだ? スイメイくん、君は私の仲間だろう? 手伝ってくれるな?」


「あ、いや、はい……ちょっとだけ、ちょっとだけ頑張っちゃおうかなー、なんて思い始めた次第です……」


「うん、さすがスイメイくんだ。私は最初からそう言ってくれると思っていたよ」



 悪魔の囁きに、水明はなす術もなく陥落。彼の言葉を聞いて、満足そうに離れていくレフィール。しかしてそれを見ていた者はと言えば、



「レフィールさん! そそそ、それは反則ですよっ!! だ、抱き付くなんて……」



 初美は、怒り等々がない交ぜとなった真っ赤な顔で震えていた。

 そんな彼女に、レフィールは仕方ないとでもいうような顔になって、



「私も負けるわけにはいかないからな。やれることはやらせてもらう」


「ですがこっちは三人です」


「だが、フェルメニア殿はスイメイくんに手が出せまい。魔術は防がれるぞ?」


「いえ、いつかは越えねばならぬ壁。むしろどんどん盾にしていただきたい」


「てめぇ俺になんの恨みが」


「そ、それには語るも涙、聞くも涙なストーリーが……」


「ねぇよンなモン!」


「冗談はさておき、私の相手はレフィールです。そして、スイメイ殿の相手は、先ほど復讐を胸に誓った……」


 そう言うと、脇から浮き輪でぷかぷかと浮いているリリアナが出てきて、もろ手を挙げ、



「すいめー、覚悟です! 私をいじめた恨みを、思い知って、ください!」


「ちょ、お前さっきやっただろうが! 鼻に水が入ったんだぞ!?」


「その一撃では足りません! 三倍返しが基本、です! 主に溺れることの怖さを!」


「根が深ぇなおい!」



 リリアナの根強い復讐心に、何故か同調したのは初美だった。



「じゃ、わーたしもー!」


「ははは初美さん!? ちょ、お前もか!」


「その方がいいじゃない。これでフェルメニアさんとレフィールさんの戦いはフェアになるし。もともとはフェルメニアさんとレフィールさんの尋常な勝負でしょ?」


「そっちを確保できれば俺たち関係ないだろ!?」


「そしたら私たち暇になっちゃうし」


「泳げばいいだろ!? プールなんだぞ!?」


「だってー、私も内緒にされてた鬱憤があるっていうか、ね?」


「ね? じゃねえよ! くっそ……ああ黎二、お前やっぱり良いヤツだったんだな……」



 水明が黎二の優しさを再確認し、涙をちょちょぎらせている間にも、始まりの合図を待たず初美の斬撃もどきが飛んでくる。



「俱利伽羅陀羅尼幻影剣! 夢幻緑青!」



 初美の手刀が水面を斬り裂くと、水しぶきの陰に隠れて幻が現れる。それは、彼女の鋭い武威が見せる幻だ。感覚がいい者ほど惑わされてしまう、幻の剣である。先ほどレフィールもこれに惑わされ、苦戦を強いられていたものだ。



「くそ……」



 飛沫の隙間からちらりと見える鋭い瞬きは、白刃が一瞬見せる反射光ではなく、幻だ。だがそれが幻だとわかっていても――俱利伽羅陀羅尼幻影剣。日本で五指に入る秘剣の技であるがゆえに、ただの幻とは思えない。水明は大事を取って大きく回避。直後背後から聞こえた大きな音に振り返ると、水槽の縁に何かがぶつかったような跡が付いていた。



「ひぃ……!」


「なに情けない声上げてるのよ? これくらい怖いとも思わないくらい凄腕なんじゃないの?」


「お前これ幻じゃねぇのかよ!? というか当たったらただじゃすまない威力だろうが! 手刀でンなわけのわかんねぇことすんじゃねぇっての!」


「それ水明にだけは言われたくなんだけど。それっ」



 初美は再び、手刀で斬った水を飛ばす。今度の斬撃に威力はないが素早く鋭く、飛んできた水飛沫は結構なもので、当たると痛いレベルの衝撃が――



「だからなんでみんな魔術とか技を使うんだよ!」


「使ったほうが威力出るからじゃない?」


「それもう戦いじゃねぇか!」


「え? 違うの?」


「息抜きすんだろうが――はっ!?」



 気付くと、まさか足元から魔力の気配。視線を落とせば、得意の絶気を用いて忍び寄っていたリリアナが水明の両足を掴んだ。



ぶぶぶぐ、ぶっぶ(ネガティブ・タッチ)



 水槽に沈んだリリアナが、口に含んだ空気を吐き出す。それは魔術の鍵言に他ならない。


 ――魔術のルールには、正しい手順を踏まえないと発動しないというものがある。ここでそれは正しい発声と音ということになるが――しかし、今回はそれを考えて調整したのだろう。


 倦み病める接触を足に受けてしまった水明は、当然足に力が入らなくなり、身体が水の中に沈んでいく。



「うぐおぉおお……リリアぶふぅぶぶぶぶ、うっぷ!」


「ぷはっ……油断は大敵ですよ、すいめー」



 リリアナは浮き輪を魔術で引き寄せてしがみついて、そう口にする。水面から顔を出した彼女はとてつもなく可愛らしい笑顔を向けてきて小首をかしげ、



「どうしましたすいめー? もしかして泳げないのですか?」



 にこにこしながら浮き輪をこれ見よがしに見せてくる。最初からこのつもりだったのか。泳げないことへの仕返しとしては、これ以上のものはないだろう。



 ふいな沈降のせいで再び鼻に水が入ったが、それでも水明は冷静に逆魔法を用いて倦み病める接触の効果を解除。立ち上がってせき込んだ。



「げほっ! ……はあはあ。リリアナぁ……お前結構いい性格してるじゃねぇか……」


「いえ、それほどでも」


「褒めてねぇよ!」



 澄ました顔でサムズアップを向けてくるリリアナに、叫ぶ水明。二人がそんなやり取りをする一方、魔術の応酬などに興味を引かれたらしいセルフィが、



「楽しそうでいいですね。あ、あなたたちは近付いてはいけませんよ? 危険ですから」



 セルフィは猫を撫でながら、猫たちに語りかけている。もともと野生の猫は体温の低下を嫌い濡れるのを避けるため、そうそう水場には近づいてこないから、無用な心配だろう。



 もはやカオスになりつつあるプールで、水明がもう一つの戦いに目を向けると、そちらはそちらで盛り上がっているらしく。



「やるなフェルメニア殿! それも例の魔力炉増設の成果か!」


「その通りです! これまでは出力では劣っていましたが、これからは誰にも後れは取りませんよ!」


「面白い!」


「なんでそっちは熱血漫画っぽい展開になってるんだよ!」



 フェルメニアとレフィールは雄々しい声を上げて、戦いのギアを加速させる。拮抗する戦いの中、ふいにレフィールが先ほどとは違う構えを取り始めた。



「単純な力くらべで勝負がつかないのなら、別の方法を模索するまで……要は立っていられなければ負けと言うのだろう?」



 そう言って彼女は右腕を高々と振り上げ、手は手刀の形。そこに集う赤迅。まさかと、見ていた者たちが思った瞬間、振り下ろされた手刀から、赤い風が放たれた。



「くらえ!」


「な! 速い!」



 レフィールの放った赤迅は、無論風ゆえその速度疾風。フェルメニアの虚を衝いて放たれた一撃が、彼女の身体に当たったと誰の目にも見えたが――



「あ、あれ? 確かに当たったはず」



 赤迅は衝突したはずだが、それには衝撃が伴わなかったらしく、当たった方は困惑するばかり。自分の身体を見回してあれ、あれ。どういうことなのか。彼女が再度レフィールに目を向けると、



「ふふふふふ……」



 レフィールは不気味な笑みを湛えていた。

 笑みを見せて何も言わないレフィールに、フェルメニアが問う。



「レフィール、いまのは一体……」


「さぁて、何かな?」


「そんなスイメイ殿みたいな邪悪な笑顔を作るのはやめてください!」


「おいそこ! さりげなく失礼なこと言うな! 誰が邪悪だ!」



 水明が抗議の声を上げるが、それは当然のように無視され。



「まあそれはいいとして、だ。フェルメニア殿、そんなに動いてはいけないと思うのだが?」


「は、はぁ? レフィール、先ほどから一体何を――わ、わわわっ!」



 フェルメニアが重ねて問いかけたそのとき、はらりと、彼女が身に着けていた水着が取れ、水面に落ちた。



 そして、ぷるん、ぽろん――というような擬音が伴いそうな勢いで、彼女の豊かな胸が宙にこぼれる。



「ぶっ!?」



 水明がそれを目の当たりにして吹き出す一方、上の守りを失ったフェルメニアは両腕を回して胸を隠すように試みつつ、わずか前かがみの姿勢を取る。もちろん、どうして水着が取れたのかは、彼女も理解しておらずで。



「こ、これは……一体どうして……?」


「そんなの決まってるだろう?」



 フェルメニアの当惑の台詞に言葉を返したのは、当然レフィールだった。

 決まっている。それでピンと来たらしいフェルメニアは、らしくない笑みを浮かべ続ける赤い少女に問いかける。



「で、では先ほどの赤迅は!?」


「その通りだ。赤迅を用いて、水着の脆い部分だけ切ったのさ。フェルメニア殿、それではまともに立っていられまい?」


「きょ、今日のレフィールはなんて極悪非道悪逆苛烈な……神子であるということを疑いますよ!」


「息抜きのときくらいいつもと違うことをしたっていいだろう? なに、こんなのイジワル程度のことだ。アルシュナだって微笑んでくれるさ」



 そんな風に涼しく言うところが、神子にあるまじきことなのだろう。神子と言えば、神聖でおしとやかというのが相場のイメージだが、いまのレフィールを見ていると全くそんな風には見えなかった。



 そんな中ふいに、フェルメニアが何かに気付いたらしく――



「す、スイメイ殿!? 何を見ているんですか! こ、こっちを見ないでください!!」



 フェルメニアたちの方をずっと見ていた水明が、注意を受ける。叫ばれる。あまりに無神経すぎた男は、やはり場慣れしていないせいかみっともなくまごつき始め、



「え? あ、や、その……」


「……スイメイくん。女性の裸をジロジロ見るのはよくないぞ?」


「それをやった本人が言うのかよ!?」



 ジト目を向けてくるレフィールに対し、水明は抗議の声を上げるが、自分のことを棚に上げた少女はしかし非難のスタンスを崩さず、呆れたように嘆息する。人の扱いが悪いことに、水明が再び不満を募らせていると、突然強烈な水圧を持った水飛沫が彼の背中を打った。



「うごっ!?」



 強烈な一打のせいで水の中でつんのめる水明。もちろんそれは背後からの奇襲であり、振り向くとそこには、ひどく険しい顔をした初美がいた。



「水明! このスケベ!」



 彼女は水明がフェルメニアを見ていたことでご立腹。だがもちろん悪気のない水明は言い訳を重ね――



「た、たまたまだ! いまのはたまたま、たまたま目に入っただけで!」


「嘘言いなさい! ガン見してたでしょ! バカ!」


「だ、だだだって、そんなこと言ったってよ――ぶはっ!? こ、今度はなんだよ!?」



 動揺しまくりの水明に、横合いから再び水の攻撃が入る。しかしてその方向には――



「わたし、です。ぶい」


「お前はさっきから好き放題やりやがってぇ……」


「ふむ、ふむ。すいめーをおちょくると、面白いですね。レフィールが、いつもイジワルしたくなるという気持ちが、よくわかります」


「だろう?」



 そっちとあっちで通じ合っているかのように、いい笑顔でサムズアップを向け合う二人。水明いじり同盟が結成される中、一方精神や肉体への絶え間ない攻撃を受け続けた水明はと言えば、



「くっそ……お前らほんといい加減にしろよ……」



 いいところを邪魔されたもとい、隙を容赦なく突いてくる初美とリリアナに、水明もそろそろ堪忍袋が限界をきたし始める。



 いつになく邪悪な魔力を高める水明を見て、空気が危殆を孕んだのを悟ったか、初美が警戒の声を上げた。



「リリアナちゃん! 水明がキレ始めたわよ! 気を付けて! ああなったらあいつ、何をしてくるかわからないから!」


「はい!」


「人を危険人物みたいに言うな! 危険人物みたいに!」



 しかし、聞いてくれない二人。何度届かない訴えをしただろうか。そんなことを考えるいとまもなく、初美とリリアナコンビは水中にもかかわらずかく乱するかのように始める。



「ちょこまかと!……っていうかなんで水の中でそんなに自由に動けるんだよお前ら! おかしいだろ!」


「さっき動く前にフェルメニアさんから魔術をかけてもらって」


「ぷうるはフェルメニアが造ったので、準備は、万全です」



 さすがフェルメニア、ソツがない。ドジっ娘なのはタマに傷だが、それがあっても有り余る有能さである。

 ともあれ。



「く……このままだとマズいか……いや、自由さえ奪っちまえば、戦いもクソもないはず!」



 接近戦が得意な者が水の中で足を取られず動き回れる。普通に聞いても空恐ろしい話だが、目の前にあるのはまったくそれだ。そんなわけのわからない現状が、いまの水明を攻め立てている。



 だが動けなくなればいずれにせよ戦いも何もない。そんな単純な答えにやっと行き着いた水明は、すぐに二人の行動の阻害に向かって動き出す。



「――四周を取り巻き、満ち満ちる水気よ。其は蛇であり、与えられし役割は縄。自在にして燃えずの縄よ。その理に則り戒めの役目を担うがいい」



 度重なる攻撃に苛立ちは限界突破。マジ魔術を使い始める水明。水面に浮かぶように展開された魔法陣とそれに触発された水が、水面からまくれ上がり、ひゅるひゅると渦を巻いて縄状になっていく。

 それを見た初美が、困惑に足を止め、



「ちょっとなにこれ? 水のロープ?」


「これは……いけません。勇者はつみ。すみやかな、退避を――」


「もう遅いわっ! くらいやがれ!」



 空中で出来上がった幾条もの水の縄が、水面へと向かって潜行。そして、初美とリリアナの自由を奪いにかかる。



「う、うそでしょ!? 水が水の中で固まっているのこれ!?」


「ならば、魔力で、どうにか」


「無理です! リリィ!」



 唐突に響いたのは、フェルメニアの叫び声だった。注意を促し、しかしあまりに手遅れだったそれに、水明の方が応じるように不敵に語り始める。



「――切れないな。いや、切れることは切れるさ。だが」


「リリィ! 水を切っても意味はないのです!」


「あ――」



 そう、水の中で水を切っても、徒労に終わるのは当然のこと。それに気付くと同時に、試したことが失敗し、リリアナと初美はなす術もなく水明の魔術に搦め取られる。



 やがて、二人の身体を戒めた水の縄は水面から立ち上がり、二人の身体を宙に掲げた。

 とまれ、無駄に手の込んだ術を使った水明はと言えば、思い通りの展開と満足の行く魔術行使もあってか、悪役もかくやと言わんばかりの高笑いをし始める。



「ははは! どうだ! もう動けないだろ! これでちょっとは大人しくする気に――」


「この変態! なんて魔術使うのよ!」


「すいめー、最低です……幻滅、しました」


「は?」



 突然評価好感度その他もろもろ最底辺にまで落ち込んだことに困惑する水明。ロープで女の子を縛るという考え方で、まずそのことに気が付かないところが彼らしいが。減点対象はそこではなかったらしく、



「縛るんならせめて普通に縛りなさいよ! な、縄が、変なところに……」


「(ぷるぷる)」



 初美は真っ赤になり、リリアナの方は我慢しているかのように震えている。見れば水の縄は普通に身体に巻き付くのではなく、動けないようにするためかおかしな部分にまで食い込んでいる。胸の谷間、股間、脇の下、腰のくびれ等々。それにやっと気づいた水明はすぐに魔術の戒めを解いて弁明を試みる。



「い、いや、俺は別にそういうつもりでやったわけじゃないんだほんとに……」


「何がそんなつもりじゃないよ……」


「フェルメニアの裸を、見ておいて、どの口が言いますか!」


「それ関係ないだろ!?」


「否定する気!? この前も私の裸見たでしょ!!」



 そこで、初美の爆弾発言投下である。その台詞がブチ撒けられた途端、場の空気は急激に寒冷化し。



「……すいめー、やっぱり最低、です」


「ぐふ!」



 この中では一番強烈な威力を持つ、幼女(リリアナ)の言葉が飛んでくる。ナイフのように鋭いそれが水明の胸に突き刺さるが、しかし彼への攻撃はそれだけでは済まなかった。



 空気の寒冷化が及んでいたのは何も水明や初美、リリアナのいた場所だけではない。それは当然、フェルメニアやレフィールのいた場所にも浸透しており。



「……フェルメニア殿。ここは一時休戦しよう。スイメイくんをお仕置きしなければいけなくなった」


「いいでしょう。スイメイ殿! 覚悟して下さい! 成敗です!」



 それぞれがそれぞれ、水明に向かって攻撃を放たんと構えを取る。



 フェルメニアは魔力を高め、レフィールは精霊の力で赤迅を呼び寄せ、初美は剣士としての武威を、リリアナも両手に倦み病める接触の魔力を湛え、準備万端。



 四方からの圧力に、水明は焦り、そして後退りをしながら――



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! いやぁああああああああああああああ!」



 結果、フェルメニアとレフィールの一対一だった対決が、巡り巡って四対一に。

 ただの息抜きが、水明のとんだ受難に変わった瞬間だった。





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