表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートストーリー

紅蓮

作者: だくさん

風に色をつけるとしたら何色になるのだろう。

夕景を背に、黒い液体を喉に流し込みながら考えてみた。

頬を撫でるその風が、静かに透明に染まっていく。

冷たかったはずのそれが僕を通り過ぎると少し、暖かくなった。

何かに触れて、また色が変わる。

トクントクンと、音が鳴って、僕は過ぎ去りそうな風を左手で掴んだ。

逃げ出されそうな音を追って、駆ける。

届ける?手が、その、それに。

透明に触れて、僕は少しの赤を零した。

眩しく僕を照らす丸い灯りが雲を押して、辺りの空気を殺してしまった。

押しつぶされた僕の中のイメージと、現実が仲良く手を繋いで、風が笑う。

「私は一人でこんなにも翔んでいけるよ。笑えるよ」

向かう先は、きっと谷で。

どんなものでも、受け入れようとしていた。


紫色に染まる夜の風が、僕の背中を押してくれた。

谷の前に立つ僕は、誰かに突かれて、飛び立つ。

どこへ、どこかへ、ここへ、向こうへ。

届かない底へ手を伸ばして、僕は羽を拾った。


自由の翼を手に入れて、僕は風に色をつけに空へと旅立つ。

僕はこんなにも笑えてる。素敵に見える?

五色の爪を持って、僕だけに見える世界を――取って。


まだ見れない奴らを、笑いにいこう。



大丈夫。僕は飛べるよ。


Twitter@dakusanno


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ