第6羽 鳥のざわめきに起こされて、
鳥のざわめきのアラームで起こされる。
ぼんやりと半眼で視界に映るは、見知らぬ光景。
そういえば、一階の一室が僕の部屋として設けられたんだった。
自室には、まだ開封されてないダンボールが陳列されていて、これ全部を片すことを考えると朝から憂鬱になる。
覚醒しきっていない脳みそのまま、板張りの廊下の途中の便所を突っ切る。
便所で洗顔しようか頭によぎったが、鼻腔に侵入してくる朝餉の匂いに反逆できず、ダイニングルームに到達する。
昨夜の疲労は絶頂期で、泥のように眠ってしまった。そのせいで昨日は朝ごはんしか食べておらず、胃の中は空っぽ同然で、空腹を通り越して腹痛が名乗りを上げていた。
「おはよー、優姫くん。昨日はよく眠れた? 随分眠そうだけど?」
「ええ。おかげさまでバッチリ目が覚めました」
早朝から裸エプロン姿(しかもハート型ふんだんエプロン)の波佐見は、所狭しに朝食をテーブルに並べている。調理しやすいようにか、毛髪を缶バッチらしきもので髪留めしている。
カーテンから解き放たれている窓からは、直射日光が差し込んでいる。埃が肉眼で確認できないことも、こうして物が整理整頓されていることからも、料理が美味そうなのも、前評判通りのようだ。露出狂であるということは聞いていなかったが。
コトン、と皿を配置し終えると、
「昨日聞けなかったから今朝はパンにしたけど、優姫くん朝はパン派、ごはん派?」
「どっちかってゆーと、ご飯ですけど」
「それじゃあ、明日からはご飯にするわね。そうだ、新聞でも読む?」
「ああ、じゃあ、遠慮なく読ませてもらいます」
バサリと朝刊を御開帳していると、従姉はテレビの電源をつける。裸エプロンだった彼女は椅子にエプロンを立てかけて、ニュースキャスターの顔を真剣に見つめる。その様子があまりにも真剣そのものだったので、ギャグなのかなとも思ったが違うらしい。
裸エプロンの下に彼女が着用していたのは、ビキニだった。
あまりにも紐が細かったために、エプロンに隠れて見えなかったらしい。
でも、それでも,僕はこれはこれでアリかなって思いました。