第3話 共存の証
前回のあらすじ
MEAが旅に出てオオカミと会った
オオカミと会った日の夜、MEAはふとこんなことを思った。このオオカミをただオオカミと呼ぶのはあまり良くないのではないかと。そこでMEAは、昔ヒトが絆を育んだ動物に対して行った、『名付け』というものをしてみようと考えた。
「あなたに名前を付けようと思うのですがどうでしょう?」
MEAは自分の体にひっついているオオカミに優しく話しかける。オオカミは少し体を起こし、少し喉を鳴らした後、MEAにまた体を預ける。MEAはこれを了承ととり、名前を考え始めた。
「ウルフ、と言うのはあまりにもありきたりですね。そういえばあなたの性別は、、メスですか。てっきり雄かと思ってました。でしたら、フランス語で「雌狼」を意味すlouveとラテン語で「愉快な」を表すhilarusを合わせてルヴルスなんてどうでしょう。少しかっこ良すぎますか?」
これを聞いたオオカミは少しMEAを見つめた後、気に入ったのだろう。尻尾を振った。
「喜んでくれて何よりです。それでは『ルヴルス』、おやすみなさい。また明日」
そういうと、一匹と一機は眠りについた。細かくいえば、MEAはスリープモードに入り、発電回路と蓄電回路をマックス稼働させる状態に入った。
・・・翌朝
『歩行モード、及び探索モード、ON。No.013-A.CN:MEA,起動』
木が生い茂ったこの森の中に似つかわしくない音がなる。この音の主はMEAである。これを聞いたルヴルスはビックリして深い眠りから覚めてしまった。
「申し訳ありません。起こしてしまいましたか」
ルヴルスはこのMEAの言葉を理解したのか、少し安心したかのようにもう一度眠りにつく。
「さて、今日は何をしましょうか。そういえばルヴルス。あなたご飯どうしているんです?」
それを聞いたルヴルスは眠気が覚めたのか立ち上がり、MEAについて来いと言わんばかりに森の中へ進み出した。
少しした後、ルヴルスは既に獲物を視認し、獲物を狩る準備段階に入っていた。ルヴルスは草に隠れるように姿勢を低くし、獲物を見つめる。一方MEAは、邪魔してはいけないと思い、木の裏に隠れていた。ルヴルスから10メートル近く離れた位置に獲物はいる。
狙う獲物は、ヒトがいなくなったことにより放たれ、数を増やし、環境に適応した結果、現代に生きる者よりも数倍は足が速くなった『馬』である。馬は一際警戒心が高く、狩るのが少し難しい動物である。しかし、自然界に放たれたことにより警戒心も増している。
だが、進化しているのは馬だけではない。オオカミも、もちろん進化している。機敏性の上昇、及び顎の力の上昇などが挙げられる。これも自然界に解き放たれ、食糧である草食動物が進化するに伴って進化した結果である。
ルヴルスの視界には馬以外には見えていない。馬が最も警戒しづらいであろう背後から、ゆっくりと、しかし確実に追い詰めていく。馬とルヴルスとの距離がわずか4メートルにも迫る時、馬は何を思ったか、少し振り向いた。
その時の馬の目には、飛びかかるルヴルスの姿が映っていた。
「流石です。こうもあっさりと馬を仕留めてしまうとは。怪我の方はないですね?良かったです」
ルヴルスは食事に夢中であるが故、MEAの話をあまり気に留めていなかった。が、話かけた後のMEAの行動には気に留めたようだ。MEAは、ルヴルスの攻撃により倒れ、命を落とした馬の前に座り、手を合わせたのである。
「あなたの命、このルヴルスがありがたく頂戴いたします。今は安らかにお眠りください」
MEAは、自分のような機械がこのようなことをするのは、神への冒涜にあたるかもしれないことを分かっていたが、これはプログラムされた行動ではなく、自らの意志で動いているから、神もきっと許してくれるだろうとも思っていた。
「変ですか?あなたにとってはそうでしょうが、私にとって、命というものは美しく、それでいて儚く、崇められるべきものだと思っています。それほど命というものは大切なんですよ。ルヴルス。」
ルヴルスが理解したのかは定かではないが、MEAが話している時に食事を止め、しっかりと話を聞いていたことは確かである。MEAにとってはそれだけで充分だった。
「お腹がいっぱいになったようですね。余った部位は加工して道具にします。あ、皮は噛まないでくださいね。あ、もう既に手遅れでしたか」
余った部位を全て回収し終えたMEAは、ルヴルスの方へ向いて言った。
「行きますか。私たちの旅の始まりです」
MEAとルヴルスは歩き出した。どこへ行くか決めないのは、ルヴルスという家族ができても変わってないようだ。
1回データが飛んで本気で焦りました。楽しんでくれたなら幸いです。
それでは、第4話で会いましょう。




