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キンタマスカットフォーエバー

作者: みどろ
掲載日:2025/12/20

「そんな…!頑張って毎日水やりしてた向日葵が…」

「朝起きたら育ててた野菜が妙な植物になってて…」

「うちの観葉植物が…その…卑猥な形に…」

近頃こんな話をよく聞く。

どうやら、また「奴ら」が動いているようだ…


ある日、2人の男女が公園のベンチで談笑していた。

「あのさ…実は受け取って欲しい物があるんだ」

「嬉しい!何?」

「ふふ、実はさっき内緒で花束を買っていたのさ。君にぴったりだと思って」

有り体にいえばプロポーズの場面である。

男性は顔を赤らめて花束を取り出したが、女性に花束を渡した途端氷のように青ざめてしまった。


「なんで…!?僕は100本の薔薇を買った筈なのに…!」

「この大量の猥褻物が私にぴったり…!?最低!絶交よこのド腐れ乳首が!」

花束を男性の顔にぶちまけ、女性は怒りのまま走り去ってしまった。

「どうして…どうして…」


酷く項垂れる男性の前に、黒いスーツを身に纏った中性的な顔立ちの女性が颯爽と現れた。

「そんなに落ち込んでどうしたんだい?まるで意中の女性に振られたような顔してるじゃないか」

長く伸びた髪を纏めながら、彼女は微笑みながら声をかけた。

その微笑みは天使のように優しくもあり、悪魔のように嘲笑っているかのようだった。

「ああまさしくその通りだよ…100本の薔薇が大量の…変なのに変わってさ…」

「へえそれはお気の毒にね…ちなみにその変なのってのは、これかい?」


そう言うと、スーツの女性は何も無い手のひらから「変なの」を出現させた。

「…!?そうだよ!なんであんたが持って…」

「そりゃそうさ。だって全部私の仕業だもん。」

「…!?」

驚いた口が塞がらない男性を見下ろし、スーツの女性は続ける。

「私はマラキング様の忠実なる配下、ミザーナ・オーレ。ちょっと特殊な能力を持っていてね。周辺の植物をあんたが言う変なの、もといチンポポフラワーに変える事ができるのさ。いずれ世界中の植物をチンポポフラワーに変えて、世界を滅亡させようってワケ。」

「…じゃあ農家でも集中攻撃すれば良いじゃないか!なんで嗜好品の薔薇なんかを…」

「あら、そこに気がつくとはあんた中々聡明ね。確かにその方が手っ取り早いけど、チンポポフラワーを増やすにはエネルギーが要るのよ。で、そのエネルギーを大量に持ってるのは…」


次の瞬間、ミザーナ・オーレの左手が蔦のような形状に変化し、男性の体に巻きついた。

「あんたのような深く絶望したやつの体なんだよね」

「…ぐわあっ………………!!!助けて…!」

蔦のような物が男性の体を締め付け、元々悪かった男性の顔色が益々青くなっていく。

「あんたのエネルギーを吸収して次の標的を見つけてチンポポフラワーを咲かせる、永久機関の完成ってワケ」

そうこうしている内に、男性の叫びを聞きつけ人が集まる。

「え…あれ何?」

「映画か何かの演出?」

「これ通報した方が良くない…?」

ザワザワと騒ぎ出した民衆に対してミザーナ・オーレが一喝する。

「おっとあんた達!下手な気を起こさないようにね。さもないとこいつがどうなるか分からないよ…?」

そう言うと、男性の体に巻き付く蔦のような物がさらに強く締め上げていく。

(くそ…もうここで俺の人生終わりなのか…彼女にも振られた上絞殺なんて…)

(どうせなら、もっと色々な事をやっておくんだったな…)


「そこまでだ!」

僅かに働く思考を巡らせた瞬間、一人の仮面を被った男が現れた。

「あ…貴方は…?」

「キンタマの隣にちんぽこがあるように、助けを求める者がいれば必ず現れる…人呼んで、キンタマスカットフォーエバー 参上!」

金色と若緑色に包まれた全身タイツ。

見方を変えると卑猥なモノに見えてくる仮面。

道を歩けば数秒で職質されそうなその他諸々。

余談であるが、後に被害者の男性は「容姿だけ見るとどっちが敵か分からなかった」「むしろ敵の援軍が来たのではないかと思った」「ビジュアルは絶対変えた方が良い」と語ったと言う。

「大丈夫か青年!俺が来たからにはもう安心だ!」

むしろ不安になった、と語ったと言う。

「おのれキンタマスカットフォーエバー…!何度も私の邪魔をしおって…!」

これまで余裕綽々だったミザーナ・オーレが苛立ちの表情を隠しきれていない。

一連の流れから察するに、二人は因縁の相手という事だろう。

「はっはっは、悪がいれば正義の味方も現れるのは当然だろう!…ところで人質が逃げているが良いのかい?」


「…!」

この茶番を繰り広げている内に、蔦のような物は切り刻まれ人質は救出されていた。

「悪いね、このキンタマブーメランは音もなく物を切断する事ができるんだ。ちなみに2つある」

「くっ…卑怯な…!」

「それ君が言う?」

挑発するようなキンタマスカットフォーエバーの言動にミザーナ・オーレの苛立ちが益々募っていき、ついに啖呵を切る。

「予定変更だ!チンポポフラワーを増殖させるつもりだったが、お前を叩っ斬る!」

ミザーナ・オーレの右手も蔦のような形状に変化し、キンタマスカットフォーエバーの体を貫こうとする。

「いやそれワンパターンすぎるって。もう食らうの7回目だから」

そう言うとキンタマスカットフォーエバーは余裕そうに切り刻んでいき、着実にミザーナ・オーレを攻撃していった。

「ぐっ…!」

「ミザーナ・オーレ…もうやめなよ、君は俺に勝てっこないよ」

「…!うるさい!私はそんな安い挑発に乗るような奴じゃないって事ぐらい、お前もわかってるだろ?」

汗を流し肩で息をするミザーナ・オーレに、キンタマスカットフォーエバーは語り続ける。


「君の能力は使いようによっては『もっと良い事』に使えるのに…。どうしてそんな『下らない事』ばかりするんだ?」


キンタマスカットフォーエバーがそう呟いた瞬間、明らかに空気が変わった。

冷たく鋭い、周りの者全てを戦慄させるような空気だ。

「下らない………下らないって…?」

「…?どうした?」

キンタマスカットフォーエバーは意味が分からず首を傾げる。

「私はマラキング様の忠実なる配下…マラキング様の目的の為なら何だってする…」

「いやだからなんでマラキングとやらに執着するのって、」


「お前は!!!お前らは!!!私達が毎日石を投げられていた時に何かしてくれたか!?思い出すのも悍ましい位の罵詈雑言を吐かれていた時、庇ってくれたか!?そんな私達を救ってくれたのはマラキング様だけだったんだよ!!!!!」

先程の飄々とした面影はどこへやら、ミザーナ・オーレは感情を剥き出しにし、目を血走らせ、数㎞先にも届きそうな程の大声で叫ぶ。

「…!!」

流石のキンタマスカットフォーエバーも表情を曇らせ、静かに呟く。

「悪かった…。敵とはいえ、君の恩人を侮辱して…」


ミザーナ・オーレは落ち着きを取り戻し、されども殺気に満ちた表情で呟く。

「もう遅い…きっと分かり合える筈がないんだ。所詮正義と悪なんだから…」

「なあ悪かったって…君の話をもっと、」

キンタマスカットフォーエバーの言葉を遮るように語りかけ、胸元から黒い石のような物を取り出す。

「もうどうせ最後だから教えてやろう…この石はマラキング様の力の一部が込められている。これを私の体に取り込めば強大な力を手にするだろう…しかし、その負荷により私の体はきっと耐えきれない」

「…!やめろ!そんな事!マラキングはそんな事を望んでいるのか!?」

「…!………」

真剣な目でキンタマスカットフォーエバーが語りかける。

ミザーナ・オーレは一瞬目を見開いたものの、すぐに表情が険しくなる。

「うるさい!!!私はマラキング様の力になれれば良いんだ!それが…全てなんだ…!」


キンタマスカットフォーエバーが静止する間も無く、ミザーナ・オーレは石を自身の体に取り込んでしまった。

「がはっ……………!ぐぐ……………………」

その瞬間、ミザーナ・オーレが苦しみ出したと思いきや、その体躯全体が蔓に飲みこまれていき、巨大な化け物へと姿を変えた。

「グオオオオオオ…………」

もう対話ができる相手ではない。

緩めかけていた武器を強く握り直し、キンタマスカットフォーエバーは構えを取った。

「くっ…!やるしか無いのか…!」

キンタマスカットフォーエバーは先程のようにキンタマブーメランで攻撃するが、いとも簡単に弾かれてしまう。

「何…!?ぐわっ………!」

驚く間も無く蔦の塊がキンタマスカットフォーエバーの腹を殴打し、キンタマスカットフォーエバーは倒れ込む。

「ぐ…………!なんて力と速度…………」

怪物と化したミザーナ・オーレに容赦は無い。横たわるキンタマスカットフォーエバーに蔓の殴打を浴びせ続ける。

「くそ…どうすれば良い…?このまま俺は負けてしまうのか…?」


「キンタマスカットフォーエバー!僕のマスカットとキンタマを使って!」

意識が朦朧とするキンタマスカットフォーエバーに、見知らぬ少年が語りかける。

「キンタマスカットフォーエバーのパワーはマスカットとキンタマなんでしょ!?僕の実家がマスカット農家だから貰ってきたんだ!」

キンタマスカットフォーエバーは一瞬喜びの表情を浮かべたが、すぐに迫真の表情に切り替わる。

「ダメだ…!マスカットはともかく少年のキンタマは2つしか無い…!一生生え変わる事は無いんだ!そんな物を受け取る訳には…」

「大丈夫、ちゃんとキンタマはあるよ」

そう言って少年はズボンを下ろし、チンポコを露出させる。

確かに少年のチンポコにはキンタマが2つ付いていた。

(教育及び倫理的によろしくない表現の為、少年のチンポコは謎の光に包まれています)

「本当だ…!じゃあ少年が今持っているキンタマは一体…!?」

少年は微笑みながら説明する。

「これは『心のキンタマ』。通称『ココキン』。誰かを思う気持ちが強くなると生えてくるんだ。只のキンタマのように男性にのみ2つあるんじゃない。誰にでも無限に生えてくるんだ。」

そう言ってココキンをキンタマスカットフォーエバーに手渡すと、ボロボロだった彼の体は瞬時に回復し、活気が戻っていった。


「キンタマスカットフォーエバー!私のココキンも受け取って!」

「オイラのも!」

「持っていきな!」

「こんな老いぼれのが役にたつなら!」

「今回だけだからねっ…!」

「ざあ〜こ♡」

「ワン!」


少年だけではなく、周りの人がココキンを捧げてくれたおかげで、キンタマスカットフォーエバーは光り輝く究極戦士となったのだ!

「ありがとう…これでアイツを倒せる!」

そう言うと両手のキンタマブーメランを掲げ、声高らかに叫んだ。

「キンタマはチンポコの為に!そしてチンポコはキンタマの為に!皆の力が一つになる!ファイナル・キンタマスカット・フォーエバーハリケーン!!!!!」

「グアアアアアアアアアア………………………!!!!!!!!!」


金色に輝くキンタマブーメランをミザーナ・オーレだった物に放つと、その巨体は浄化され、そこには満身創痍の状態で横たわるミザーナ・オーレの姿があった。


「ミザーナ・オーレ…目を開けれるか…?」

「…?」

キンタマスカットフォーエバーはミザーナ・オーレの前に屈み、語りかけた。

ミザーナ・オーレは苦しそうに力を振り絞り、目を開いた。


「少しだけ受け取ったココキンを残しておいたんだ。君の話をもっと聞きたくて…これを使えば君は消滅せずに済むかもしれない」

「…!」

「過去は確かに変えられない、だが未来はどうとでもできる。これから分かり合えるかもしれない。さあ、使うんだ…」


ミザーナ・オーレは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに俯き、

「分かり合える未来も…あったのかもな」

そう呟き、キンタマスカットフォーエバーの手を払いのけ、煙のように消えてしまった。


「…そうか…。」

キンタマスカットフォーエバーは立ち上がり、俯いた顔を上げ、拳を握り締めた。

「これからどうなるかは分からない…でも、平和な世界の為に俺はこれからも戦う…!」

そう決意を確かにするのだった。


一方その頃、マラキングの牙城にて。

「…そうか…。ミザーナ・オーレが…」

ミザーナ・オーレ消滅の知らせを受けたマラキングは、黒貂を抱きながら静かに手を合わせた。その表情は悪の親玉とはとても思えない、まるで我が子を想うような慎み深く静かな物だった。

「この犠牲を無駄にはせぬ…必ずや我の理想を叶えてみせる…!」

そう力強く呟いた後、配下の方を向き言い放った。

「我が親愛なる配下、ドルゲザ、千由芽!ミザーナ・オーレの敵を射って来てくれ…!」

「承知いたしました」

「はいは〜い」

マラキングの元を後にする配下を見届け、静かに呟いた。

「キンタマスカットフォーエバー…覚えておれ…!」

決戦の時は近い…


次回、キンタマスカットフォーエバー第20話

「チンポコにキンタマが2つあるように、人は1人で生きていけない」

来週も、レッツ キンタマス!

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