プロローグ2
さあ、本日も投稿していきますよ!!
投稿出来るうちにどんどんやっていかないとね!!
てなわけで、はーじまーるよ!!
リゼルの住む土地は、比較的大きく、土地が豊かで農業が盛んに行われていたため、世界中のあらゆる国から真っ先に狙われるようになった。
日々、見知った誰かが死んでいくような地獄の中、リゼルは生き残っていた。
元々、この土地に住まう住人たちは老若男女問わず武芸に秀でた部族であり、それまで平穏な暮らしに浸っていた他国の兵士程度なら簡単にねじ伏せるような力を持っていた。
しかし、問題は数の差だった。
連日連夜侵攻してくる他国の兵士を迎え撃つには、数が圧倒的に足りなかった。
所詮は国と、一部族。
最初こそ圧倒的だった力の差も、国を挙げて襲い掛かる軍勢の数には叶わなかった。
そこで、族長は苦渋の決断を下した。
どんなに幼い子供であろうと、武芸の才に恵まれた者であるのなら、戦士として、そして戦力として戦場に送ることにしたのだ。
少年戦士として選ばれた子供のほとんどが十五歳以上の少年たちだったが、その中でも十に満たない子供はリゼルだけであった。
そんなリゼルは初陣で、自分の身の丈に合った剣から、自身の倍以上はある大剣、長槍、重斧、弓とあらゆる武器を使いこなし、侵攻する他国の兵士たちを一人で何十、何百と切り伏せていった。
戦争がはじまりやがて一年が経った頃、リゼルは部族の中でも特別な地位に立っていた。
『戦人』。
それが、リゼルの部族の中での称号であると同時に、地位でもあった。
戦いが始まれば、大人も子供も関係なく、全員がリゼルの指示に従い、リゼルを守り、仲間を助け、ときには、リゼル自身の指示で死に赴くものも現れた。
『戦うために生まれ、敵・味方問わず喰い殺す者。どれだけ敵を殺しても、自身の指示で味方を殺すことになっても、全ては大切な仲間を守るため』
それが、リゼルが得た『戦人』という地位の正体であった。
リゼルは決して立ち止まらなかった。
リゼルの指示で多くの仲間が死んでいった。
リゼルに勉強を教えてくれた先生。
リゼルに武芸を教えた老人。
リゼルが実の兄のように慕っていた男。
そして、リゼルの両親。
いくつもの大切な守るべき存在を犠牲にして、リゼルたちは他国との戦争を終結させた。
一国家が一部族に敗れた事実は瞬く間に広がり、様子見を決め込んでいた他の国も、リ
ゼルたちの土地に手を出そうとはしなくなった。
戦いが終わり、仲間たちからのささやかな誕生祝いも終わり、自分たちの家である集落に戻っている途中、雨が降ってきた。
空を見上げると、いつしか雨雲が空を支配していた。
ぽつ、ぽつ、と降り始めた雨はやがて勢いを増していき、視界を奪うほど強烈になっていく。
それはまるで、リゼルたちが愛したこの土地から戦争の痕跡を洗い流すようなもののように感じられた。
大切な人が幾人も死に絶えた戦争。
でも、今日でその戦争も終わった。
リゼルの瞳からは喜びと安堵の涙が溢れていた。
強烈な雨のおかげで仲間たちには泣いている姿を見せずに済んでよかったと感じていたリゼルだったが、近くにいた仲間たちはそんなリゼルに気づいていた。
そっと包み込むようにリゼルの小さな身体を仲間たちは抱きしめた。
ありがとう。
よく頑張ったね。
もう、頑張らなくてもいいんだよ。
リゼルの耳元で、仲間たちが優しく囁いた。
今日という日に戦いを終えることが出来て本当によかった。
父さんと母さんはもう、この世にはいないけれど、これからは生き残ったこの大切な仲間たちと、そして、一番守りたいと願い、そして守り抜いた妹と、生きていこう。
「エルモア」
リゼルは愛しい妹の名を口に出して小声で呼ぶ。
今頃は、エルモアが集落の中で仲間たちと自分の誕生祝いの準備をし終えて、リゼルたちの帰りを首を長くして待っていてくれていることだろう。
プロローグ、あと一回ほど続く予定です。
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では!!