プロローグ
どうも、いふじです。
はじめての方こんにちは。
知ってくださっている方もこんにちは。
ネタが浮かんだので、気の赴くまま書いてしまいました。
ご意見・ご感想、誹謗中傷、誤字脱字かかってこんか~い!
リゼル・トリッジは豪雨吹きすさぶ草原を駆けていた。
リゼルは今年で十になる子供である。
そして今日はリゼルの誕生日であった。
戦場で生き残った仲間たちは、今日がリゼルの誕生日だということで、皆で盛大に祝ってくれた。
盛大といっても、仲間たちがリゼルを囲んで肩で腕を組み、リゼルのことを祝い、歌い、すでに底をつきかけていた食料や飲み物を皆でかき集めただけの簡素なものだった。
戦争が終わり、爆発等で周辺は見事なクレーターを形作っていたし、そのクレーターの中には敵や味方だった者たちの亡骸で入り乱れていた。
それでも、リゼルは生き残ったかけがえのない仲間たちが自分の誕生日を祝ってくれたことが何よりも嬉しかった。
誰かがリゼルの頭を乱暴にぐしゃぐしゃと撫でると、今度は違う誰かがリゼルの頬に思い切りキスをした。
リゼルは嫌がる振りをしながらも、心の中では嬉しくて堪らなかった。
仲間たちも、リゼルのそんな気持ちを知っているからこそ、リゼルが嫌がる振りをしても絶対に止めなかった。
そんな、楽しい時間に身を浸していたときだった。
誰かが、ぽつりと言った。
「『武王』様さえ生きていてくれたらな・・・」
その一言で周囲は静まり返った。
聞こえてくるのは、静かな風の音と、自分たちと同じように生き残っていた雑草が、風に揺られて靡く音だけだった。
誰が言ったのかはわからなかった。
だがそれは、この戦争で生き残った者全員が思っていることだった。
正確には『武王』は死んだわけではなかった。
ただ、消息不明というだけであった。
しかし、世界はその事実に驚愕した。
『武王』が消息を絶って一年が過ぎても、世界のどこからも『武王』の話を聞くことはなかった。
そんなある日、どこかの誰かが言った一言、
「『武王』は死んだ」
どこの誰が言ったのかさえわからない出所不明なこの言葉が、世界を大きく動かすことになった。
『武王』不在をいいことに、それまで大人しくしていた集団・国家がこれ幸いと、領土を拡大させようと動き始め、隣国を襲うようになり、その侵攻を阻もうと立ち上がった国を横から掠め取ろうと画策する者が現れ、それに便乗するように、様々な人、集団、国家が対立するようになった。
世界は負の連鎖による破滅の一歩を歩み始めていた。
連載のはずが、短編のまま投稿していたので、新しく書き直しました!
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