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第84話 怪しい気配


《今日も来てたね。この屋敷の結界に入れないから外をウロウロしてるだけ》


ベッシリーニ邸の周囲を見張る精霊たちが俺の耳元でささやいてくれる。


俺の名前はユーリ。


最近は名乗る際にエストラント侯爵家の家名を口にすることが少なくなった。

俺は長男だけれど立派な跡継ぎが別にいるから。

だから、俺は俺。

裕理であってユーリ。

神様の気まぐれ?で前世から魂と記憶を引き継いで生きる機会を与えられた。

今の俺はそれが良いことなのかどうかはわからない。


捨ててしまいたい記憶、粉々に砕いてしまいたい記憶を忘れることは許されないけれど。

前世からの生意気な俺がこの世界で必死に生きようとしたから恵まれたご縁もあるだろうから。

感謝する自分もいるんだ。


物語がここで終わればハッピー・エンド。

二度目の人生を少しはうまくやることができたで終わる。

でも現実はそういかない。


俺が俺として生きていくと増えるのは味方や仲間ばかりじゃない。

敵とのご縁?も増える。



シャルロット王女を狙った魔導士を捕縛した頃から、ベッシリーニ邸を監視する怪しい影がチラついている。


キルリスが張った強固な結界に守られた屋敷に何かできるヤツなんていやしない。周囲をうろついたり、たまに結界へちょっかいをかけてバチンと弾かれている程度。

どうやらこちらの様子を観察してるし、何かやってやろうと隙を伺っている雰囲気だ。敵を前にした圧力は感じないけど、油断できずにピリついた空気。


コイツらどうやって引きずり出してやろうか。


なめられてんのか。

俺を、俺たちをなめてんのか?


大切なやつらが増えた。

俺一人だけのことじゃない。

守らなきゃいけないヒトがいる。

無事で、元気で、楽しく生きていて欲しいヒト達がいる。


だから俺たちを好き勝手にジロジロ覗き見ていいのかって。

それを俺が許すしかないって思ってやがるのか?


おまえらの都合のよいように俺が何もしないとでも思ってやがるのか。

俺を、俺をとりまく周りのひとたちを。


利用しやがるってのか?



キャサリンも。そしてキルリスもマーサさんも。

警戒は怠ってないようだけど、俺の前ではそんな素ぶりを見せることはない。


あの時、暗殺者バーンを捕縛するのを決めて動いたのは俺だ。

俺の行動が招いた状況に、この人たちは当たり前のように対応してくれている。

そんなの俺が許せるわけがない。



今は宝剣ソアラの力を借りて精霊がみんなを見守ってくれている。

米粒ほどの精霊にお願いして王女シャルロットを見守ってもらう。精霊的にはマル。

お願いしたらウキウキしてシャルロットの頭にひっついた。王家と精霊には縁があるから誇らしいそうだ。


同じようにキャサリンにもついてもらっている。これもマルだ。

キャサリンは魔眼をもっているから神様とのつながりがあるし精霊たちは神々の定理に従う存在。

精霊からは神様につながりがある天然だからOKだと言われたけど俺にはその意味がわからない。

ありのままのキャサリンがめっちゃかわいいからマルに違いない。


そしてベッシリーニ家のまわりで妖精に遊んでもらっている。何か異常があったら教えてくれるのだけど、良ければって俺の実家もお願いしたら絶対ヤダって妖精たちに泣かれた。

念のためにベッシリーニ家とエストラント家の周囲に俺の結界を張ってある。


そんな誰のものかわからない使い魔がウロウロとこちらを監視している生活を送っている。

さっき精霊がささやいたのは変化ない状況を教えてくれたわけだ。


《なんだか観察されてるって感じねえ。ここの主人のオッサンとアンタを中心にジロジロと。あとは周りの人も念のためチェックしてるみたいな?》


「だよなあ。魔力感知では敵意を感じたりはしないけどそれ以外の感情もない。監視のお仕事に就いてますっていうところかな?」


《まるで見世物小屋の動物ね。なにか偶然が起こってあんた達の力が確認できるチャンスを待ってるのよ》


精霊たちは俺の魔力感知よりもっと深く感情を読み取れる。使い魔の動物たちを経由して契約主の考えをイメージして教えてくれる。



「たまんねえなあ。追っ払えねえかな?」


[闇魔法ならヤレるぜ?動物たちは本能的な危険察知が強いから恐怖の感情をバラまけば一発で逃げていくに違いない。代わりに闇魔法を使えることが相手にバレちまうけどな]

対人相手で頼りになるのがカールスバーグのロットには製作者の意識から生み出された自我がある。おかげでずる賢いヤツラとの駆け引きもできる。


「キルリスが闇魔法を使えないのは魔導士たちに知られてるから。闇魔法が使える魔導士がココにいるって俺のことバラすのと同じだよな」


ヤツラはシャルロット王女の呪いが解かれたことや行方不明になった暗殺者たちのこと、反呪の呪法が使われた可能性があることなんかを探りたいハズだ。

あとは最近貴族社会で目立っているらしい俺の実力も把握したいのだろう。ガイゼル総司令官に勝ってしまい悪目立ちしてる気がする。

この状況で『キルリスより上位の闇魔術士がココにいるぞ』なんてバレるわけにはいかない。俺は良くても周りに迷惑がかかる。


[おまえが上位の闇魔法使いだと知られると暗殺者を捕縛したのもおまえだとバレそうだ。そうなれば本気で命を狙ってくるかもな]


俺の周りを危険にさらすわけにはいかない。


それならば。

俺の力がバレた瞬間が敵をぶちのめす時になればいいだろう?



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