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第71話 お月様が二人を見てた

「ねえ?」


風に揺れるカーテン越しに、月明かりに照らされた女性のフォルムがきれいな線をかたどってた。

表情は影になって見えないけども彼女の輪郭が薄く輝いてとてもきれいだなと思った。


「どうしたの?」


「王女様ってキミのこと好きだよね?」


あぁうん。

いくらロクな人付き合いしてこなかった朴念仁の俺でもなあ。


「うん。多分」


「なんかあった?こういうこととか」


「あるわけないだろ!な、なんにもしてない俺からは!」


言い訳みたいなことワザと言うことないのに。言い方を失敗したかもしれない。

まるで何かあったみたいでバレバレだ。

どうにも人の感情みたいなところで直球バカな俺なんだよ。嘘つけないしなあ。


「最後のはなにかな?なんだか聞こえた気がしたよ?」


やっぱり速攻で反応された。


俺が困ってるとキャサリンは俺の手をとって自分の胸に押し当てた。

思わずキュッと握っちゃうのは、しょうがないだろ。

やわらかくて気持ちいい。ここに天国がある。


「こんなこととか?」


「し、しないしない。するわけがない!」


「じゃあ、さ。」

彼女は俺の両ほほにやさしく手をあてて、チュッとかわいいキスしてくれた。


「こういうのは?」


あっ・・・うん。

これは、その。なんだ。


「で、でもな?俺達がこうなる前だから!もう俺はキャサリンしか見てないから!」


「したんだね」


「し、したっつーかされたっつーか。そのまあ。うん」


「ふーん。キミも悪い気がしなかったってことだよね?」


「それはその、お礼、助けたお礼って言ってたし!俺とアイツはそういうんじゃねえし!」


あたふた慌てるしかできないのだから自分がガキなのだけはわかる。

けど、だったらどうすればいいのかサッパリわからない。


「好きでもない相手とはしないよね?あと挨拶でも?」


「でもほら他のヤツも・・・ぁ」


口がすべった。


言い訳なんて慣れてないんだよオレ。

嘘とか言い訳とか、そういうことをする相手がいなかったのだから経験がない。

隠し事とか浮気とか絶対に向かない。

そういう高等テクニックは死ぬまで出来ないぞきっと。


「へーーーーっそうなんだ。キミはいろんな娘とそんなに気軽にキスしてるんだ?」


「だから違うって。多分」


ジト目で見ていたキャサリンにもう顔が上がらないよホント。


「じゃあさ」


俺のあごがクイッと持ち上げられて、そのままキャサリンの顔が近づいてくる。

「いっぱいキスしなきゃね。他の人とのコトなんて忘れちゃうくらいに」


そのまま唇を合わせて・・・長い大人のキスをした。


「ズッとこうしてたい。死ぬまで。死んでもずっと」


「オレだって」


キスしたり、抱き合ったり。またキスしたり。


カーテンの間からお月様だけが俺達を見ていた。


いつもの時間にもう1話掲載します。

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