表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に辿りつく少年  作者: 水砲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/189

第59話 拉致連行

※ 改稿は表現をチョッピリ修正です

そして翌朝。

今回は数時間寝ただけで動けるまで復活した。


目が覚めると、キルリスがベットの横でなんだか書き仕事をしていたけど、俺が目覚めるとすぐに気付いた。


「わりいな。世話になったみたいで」

「ここは魔導士団の詰所にある私の個室だ。部屋にも建物にも結界がはってあるから安心していい」


キルリスらしい几帳面な結界だ。

スキが無くて安心できる。

「なんとなくわかるよ。なんだか安心できる加護に守られている空間だ」

「そういってもらえると嬉しい。なかなかの力作だからね。ところでもう大丈夫かい?一緒に国王のところへ行ってもらうよ?」


コイツってばいつもそう。

褒めたら何かをさせようとする。

こんな疲労困憊の少年に何させる気だ?


「面倒なのはまだそっちに頼みたいんだけどダメか?」

体に全く力が入らん。

目覚めただけで最低限の魔力。歩くのもあやしいぞ俺ってば。


「今回はキミに入ってもらわないと話が進まないんだよ。何のことだかわかるかい?」

「襲ってきたヤツラについてじゃねえの?」

「違う。そんな些細なこと・・・といったらキミに悪いか。でも今回の件に対しては些細なことだ」


「だったらどうするんだあの暗殺者たち?貴族の誰かが死んだりしてな」

「そういう意味ではそっちも重要だし話す件に大きく関わることだけど。主題は君が「沈黙の契約」を反呪したことだ。神が定めた節理で結ばれた契約をひっくり返せることを知れば貴族たちはうかつに暗殺なんて企てられなくなる」


いいことじゃない?

暗殺なんてしやがる貴族たちをダマらせるんだから。


「暗殺できなくなるなら目出度いコトじゃねえか」

気軽にしゃべっている俺を見てキルリスが頭を抱えた。

あげくには首を振り始めたヤレヤレかよ。


「これめちゃくちゃ大事な話だからな?これまで手が出せなかった暗殺計画の黒幕だってキミにかかれば白日の下にさらされる。相手が貴族だろうが・・・国だろうが」


「国?」


「このことが知れた瞬間から、キミはどの国からも手がでるほどの重要人物に成り上がる。キミを囲っている国は暗殺者の口を割らせることができるし、キミがいない国は暗殺者を送り込まれても証拠がつかめないのだから」


なんだかわかってきた。

わかってきたけどなんだか前提がおかしくないか?


「俺は国の為に反呪を使う気はないぞ?」

利用されるつもりはない。

キルリスは一瞬ビクリとして白い顔で俺を見つめた。


「それも含めて話をしようということだ。知れ渡ればキミは世界中から狙われることになるし暗殺がお家芸になっている東の国なんかはキミが邪魔者でしかない。みすみすキミを殺させるわけにはいかない」


面倒な話になってきた。


死なないために生きてきた俺が世界から命を狙われるのか?

俺を利用しようというヤツラが大挙して押し寄せる?

こうならないために学院にはいったハズなのに?


冗談じゃない。

バックレたくなってきた。

俺のことなんて誰も知らない国へ行きたい。


「シャルロット王女を見捨てたりはしないよな?」


キルリスが真面目な顔をして訪ねてきた。

くそったれめ。

確かにそうだ。


「あたりまえだ。そんなことするくらいなら最初から手を出してねえよ」


王様のところへ行くしかない。

どう転ぶ話なのかわかんねーけど、このままじゃよくない。

それなのに俺ってば歩くのもシンドイし襲われても抵抗できないぞ。


「大丈夫だ。キミになにかあっても私達二人が守る」

キルリスに片腕を取られ。もう片方の腕はガイゼル総司令に取られた。

よおっ総司令、昨日ぶり。


「なかなか大変だったようだな。昨日はお前に負けてしまった俺だが、今日はこの命に代えてもお前を守ると約束するぞ」


「いやいやそこまでじゃなくても大丈夫ですよ?俺自分で歩けるんで」


「余計なことに気を廻さず少しでも体力を回復することにつとめてくれ。お前の力さえ戻れば俺達はいなくてもかまわないのだからな。急がせてすまぬが捕獲した暗殺者たちの拷問が始まる前には方針を決めねばならんのだ」


俺は本当にそのまま両腕を抱えられて、宙に浮いた足をブランブランさせながら王宮への奥へとラチされた。

この恰好で回復しろって出来ないのわかってるよな?二人とも面白がってるよな?


王宮の奥は王族たちの生活空間になっている。王族かその親族と護衛騎士たち以外は許可がなければ入ることはできない。

踏み込むとすぐに小さな応接スペースがある。

もちろんこの場所も国王の許可が必要だけど、王族の公務とプライベートの間にある打ち合わせ場所。国王から教えられた人間だけが知っている部屋で緊急事態に使われることが多い。


「この辺りって入っちゃいけないんじゃねーのか?」

「大丈夫だ許可はとってある」


通路の入り口に立っている衛兵の鎧が黒から近衛兵の赤に変わった。

謎の多い近衛兵。エリート集団だって噂されていて兵士たちの数も素性も公開されていない。

スパイや暗殺者を送り込まれないようにしているからだ。


入った応接スペースには近衛兵が二人。

おそらく副指令のジンくらいには実力者だ。

軍のナンバー2クラスが普通に警らをして底がしれないし興味深い。


ひとりが俺達に手振りでソファへ座るように促すと、もう一人は廊下とは反対側にある扉をノックした。


「すまぬな待たせたか?」


その扉からはラフな格好の国王が出てきた。

素材は高級そうだけど襟つきのシャツにパンツ。それだけのシンプルな服装だ。

俺の視線に気づいたのだろう王様はほがらかに笑った。

いつかのシャルロットの父親の顔だ。


「ワシラも人間じゃぞ?普段の生活から重々しい正装ばかりじゃ身がもたんわい。こんな格好じゃがプライベートスペースということで気にするな」


「こちらこそまだ公務の時間でもありませんのにお呼びたてしてしまい、お詫び申し上げます。我ら二人、」

ガイゼル総司令とキルリス師団長が目を合わせた。

「検討の上で王への即座の報告で一致しました」


「よいよい。もらった報告は確認したが大したことはあるまい。なあユーリ?」


え?


一瞬考えてから俺が呼ばれたって気づいた。


王様に気軽に名前を呼ばれたぞ俺!


「この服装を見ての通り今は完全な公務とはいえぬ。もちろん王であるし国家の機密情報を知るのだから公務でないとはいえぬ。この場で話しあう内容とはそういうものであるぞ」


つまりはどういうこと?

わざわざ難しく言うのは大人の建前ってヤツか?


「国王という公務において正式な報告を受けてしまえば沙汰を出すしかない。しかしこの場では"たまたま"聞き流してしまった、ということもあり得るから思った通りに話してみよとのアドバイスで受け取るのがいいだろう」


ガイゼル総司令官がハテナマークいっぱいの俺に教えてくれた。

大臣や貴族たちがいる前で受けた報告なら是か非かを出すのが王様の役目だ。

しかしこの場ではもっといろいろ話してもいいということ。


「お主そこまで説明するのは無粋ではないか?」

王様がスねたように責めるのでガイゼル司令官は苦笑していた。


「そんなつもりでもなかったのですが。まだこういう作法がわからぬ若人をみて一言伝えたくなったようです」

「ワシラも口うるさい年寄りということじゃな」

カッカッカと笑う王様には力がみなぎっていてとても年寄りには見えない。


「ところでユーリよ、ロットと宝刀はどうじゃ?さっそく使ってみたようじゃな?」

「どっちもじゃじゃ馬でしたよ。でも俺に力を貸してくれました」

「あっという間に手懐けおったな?それでこそおぬしに託した甲斐があったというものじゃよ」


俺は懐のロットホルダーからロットと腰にさしていた宝刀をテーブルの上に並べた。

どちらも宝石がキラキラと輝いているから王様に対して好意ばかりらしい。


「すまぬがユーリに力を貸してやってくれ」

王様が2本をやさしくひと撫ですると、どちらも宝玉がキラリキラリと輝いて同意してくれたようだ。


「そしてユーリよ、昨日も話したがシャルロット王女のことをよろしく頼む」

「それはもちろん。そのためにどちらの武具も俺に力を貸してくれるでしょう」

「それでよい。おぬしの力はおぬしの判断でなされるものであろうよ。くだらぬ貴族社会の権力闘争には巻き込まれたくはあるまい?」

「本気で逃げ出したくなります」

クククと笑いを殺して王が続ける。


「ではそんな下らぬ闘争に巻き込まれそうならばガイゼルかキルリスに相談をするがよい。必ず何とかしてくれるであろう」


ガイゼルは当然のような顔をして頷いてくれたけど。キルリスの顔から表情が消えて白くなったのは気のせいか?

このおっさんナンダカンダで考えすぎのビビリだってわかってきたからな。


「いろいろな事情でワシに直接伝えねばならぬ時はこの者と連絡をとるがよい」


王様はさっき扉をノックしていた近衛兵を指さした。

「近衛隊長のシュタインじゃ。ガイゼル、キルリスとシュタインの3人のおかげでワシは枕を高くして眠れておる」

さっと片膝をついてシュタインと呼ばれた兵士が拝命する。


「そしてガイゼルにキルリスよ。このユーリはいまだ魔法学院に通うか弱き学生である」

ガイゼルは相変わらず無表情、キルリスは全てをあきらめた。


「か弱き民をあらゆる暴力、謀略、それ以外にもどんな危険からも守るのはお主たちの役割であろう?」

「仰せのとおり」「・・・仰せの通り」

おいひとり遅れたぞ。


「それを聞いて安心したぞ。わが娘のナイトを買って出てくれた勇気と未来のある若者が危険にさらされては心配で政務に手がつかぬ」

「御意ッ」

「話はこれでよいか?今回ユーリを襲った賊からは必ず依頼者を吐かせよ、起こったことを逐一ワシに報告するのだ。悪さをした貴族が憤死しようがワシが何とかしよう」

おそらくそうはならんであろうがな、と付け加える王様の目は冷たく光っていた。


企んだ貴族の親玉が裏社会の暗殺者と直接「沈黙の契約」を結びはしないだろう。裏の顔役が死ぬハズだ。きっと王様はどこの誰が死ぬのか目星がついている。


あまり踏み込むのはよくないよな。

せっかくキルリスが頑張ってくれるんだから、だって王様からの命令だし!


誰がドロドロの世界に巻き込まれるかっての。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ