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神様に辿りつく少年  作者: 水砲


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第56話 晩餐会の終わりに

そこからは貴族に取り囲まれて次々に挨拶が続いて。

もう何がなんだかロクに食事もできないうちにパーティは後半にさしかかった。


オレの、めし・・・

メシがうまそう以外に何の特典もないパーティなのに、くだらない貴族たちのおべんちゃら相手で何も食べることができなかった。


王様からシャルロットの後見を認められた俺に貴族たちが大挙して押し寄せてきた。

くだらない貴族のオベンチャラや皮肉や威圧や恫喝?に近いものまで。もちろんオブラートに包まれてはいるけれども、偉そうにしゃべる言葉は薄暗い感情に支配されたものばかり。

自分の利権に反した相手へのけん制、王に認められた嫉妬、いろいろな派閥からは利用する気マンマンのお誘い。

俺はヘロヘロになったりたまにカチンとしたり辟易したり。

その都度ガイゼルは俺の盾になって貴族をけん制したり、会話を強引に変えてくれたり。俺が暴れださないようポンと背中を叩いて正気に戻してくれたりした。

この人に足を向けて寝られないと決める。


パーティも終わりが近づいてチラホラと退席者が出始めた。

残っているのは話が盛り上がっている連中か派閥が集まって打ち合わせしてるか。


王族も、国王の名代として第一王子が残っているだけで退出されている。

「俺達も行くか」

よっしゃやっと終わった、と思ったらガイゼルは第一王子の方へと歩いていく。

御前試合で俺のことを気に入らなそうに見ていたヤツだ。

できれば俺は近づきたくない。


「お前は俺のマネをしてればいい。パーティのお礼を述べる以外は口をだすな」


第一王子を次期国王にするために暗躍している派閥が今回の黒幕だ。シャルロットに危害を加えようとしたヤツラだ。

第一王子は知っていてやらせたのか派閥が勝手にやったことなのかはわからない。

どちらにしても俺はいい印象をこの男にもっていない。

間違いなく相手も俺にいい印象をもってない波動も感じる。だからガイゼルは俺に命令したんだ。

「口をだすな」

この世界の大人は面倒見がよすぎる。


執事に声をかけて第一王子の前にひざまずく。


「我らもこのあたりでお暇しようとご挨拶にまいりました。此度は盛大なパーティを開いていただき恐悦至極でございます」

「私からもお礼を申し上げます。大変ありがとうございました」


俺はガイゼルとの打ち合わせ通りにお礼をいう。

役目はここまでだ。


「おぬし」


いきなり王子の顔を仰ぎ見ることもできないので、ガイゼルの方をみると、舌打ちしそうな苦み走った表情だ。

しょうがないので返事をする。


「ははっ」


「随分と強いようだがどうやってその強さを手に入れた?」


??????

これは?

まさか転生ボーナスです、とも言えないし素直に言う気もない。

こんなのまともに答えられる話じゃないだろうが。


「生まれ持って才を与えてくれた我が祖先の英霊と、それを無駄にせぬように努力を続けられる体を授けてくれた両親のおかげとしか」


「ほう、ならばおぬしはどれほどの魔法が使える魔法使いなのじゃ?」


いやな質問ばっかりしてくるな。

何を探られてんだよ俺は。


「ひととおりの魔法は収めております、としか申せませんが?」


「そうか、ではお前ひとりで王国軍の兵士を何人殺せる?」


・・・・・

なんだ?

俺を人殺しにしたいのか?


残った貴族たちもザワつき始めた。

第一王子と俺の問答に注目が集まり始めたようだ。


「王国を守護する軍の兵士であればひとりも殺せないでしょう。魔法は人を殺すためのものではありません」


「おかしなことをいうな。そんな弱腰なお主が愛するシャルロットを守るなどと。どの口がぬかすか?」


おまえこそ、どの口が言ってんだ。

よくわかんねえけど貴族たちがいる中で俺に恥をかかせたいってのはなんとなく感じる。そうすれば俺だけじゃなくてシャルロットまで恥をかくことになっちまう。

レーザー・ショットで眉間をぶち抜いてやるか?


「守ることと敵を殺すことは必ずも一致するものではございません。ですがヨハン王子の愛されるシャルロット王女を狙う不埒な輩が現れるならば」


俺はわざと一度言葉を区切った。

目元は笑顔をくずしていなくても眼光は昔の俺に戻っているだろう。


「たとえどのような立場の相手であろうと殲滅してみせましょう。国王陛下に続き第一王子までからお墨付きをいただきましたからには、容赦なく存分にこの力を発揮いたしますのでご安心くださいませ」

ところどころイヤミ付き。


だからな?おまえらまずは俺のところへ来るがいい。

殺してくれと自分で言いたくなるまで地獄を味合わせてやる。


もちろんこの場にいるのはシャルロットを狙った第一王子派のやつばかりだ。

「ふんっ。せいぜいその宝剣がいつの間にか宝物庫でみつからぬとよいがな。下がるが良い」




「軍の詰所によっていくがいい。今日のパーティの料理を取り分けてもらっておいた。腹が減っただろう」

総司令官ガイゼルの誘いに乗ることにした。

気をつかわせちまってわりい俺もちょびっこ熱くなっちまった。

パーティの場でさんざん守ってくれたのに、この気配り屋さんの大男はパーティのメシまで取っておいてくれた。


「めっちゃ嬉しいですよ。目の前のうまそうな料理に手を出す暇もなかったですからね」

「だろう?どんなに料理人が丹精込めて作っても料理を食べに来ている者はあの場にいないからな」


総司令官室のテーブルにはパーティで見たご馳走が並んでいた。

ほぼすべての料理が所狭しと。


「美味い・・・美味い・・・美味い・・・」

肉、魚、パン、スープやサラダだってうまい。でもやっぱり、肉、肉、肉。

様々な種類の肉が香ばしく焼かれ香草が香り、うまそうなソースがかかっている。

肉、パン、肉、肉、パン、魚介、パンのローテーションでひたすら食べまくった。


「宮廷料理をそんなにガツガツと美味そうに食べる侯爵家の令息も他にはおらんだろうな」


自分もガブガブと食べて飲みながらガイゼルは楽しそうに笑った。


「貴族云々をおいておけば俺はただの冒険者ですからね。野営もしますし獣も自分でかっさばいてメシくらい作りますよ?」


食って、飲んで、また食って、また飲んで。。


今でも思う。

腹いっぱい食えるって、幸せだな。

それが気の置けない相手となら猶更だ。


「それにしても見事に待ち伏せされたものだ。俺もあそこまであからさまな態度にだされるとは思っていなかった」


第一王子のことか。

「あれは放っておいてそのまま帰るわけには?」


「ムリだな。相手はお前にひとこと言う気で待ち構えていた。自由に帰るようにお触れも出ていなかったし俺達は主賓だった。あれで勝手にいなくなれば後でこちらの足元を掬うネタにされるだけだ」


つまりアイツはわざと王族として最後まで残り、俺達が帰るための挨拶にやってくるのを今か今かと待ち構えていたってわけだ。


「よほど嫌われましたかね」

別にかまわんけど。

わかりやすい方がいい。あんまし頭良くねえんだよ。


「気をつけておくにこしたことはないだろうな。なるべくは学院かここにいるのがいい。お前の感知と魔法力があれば大した問題でもあるまいさ」


「なんだか今日一日でゲッソリですよ」

「気が合うな俺もそうだ。貴族の権力闘争に巻き込まれるなんて金をもらってもごめんだが・・・」

「はい?」

「シャルロット王女のことをよろしく頼む。俺達がふがいないせいでお前に迷惑をかける」


今回の暗殺者の件のことをガイゼルも知っているのだろう。

「大したことじゃありません。俺はただ友達のためにできることをしただけです」


ガイゼルは優しく微笑んで同意してくれた。


「俺やおまえにとっては単純な話なのだがな。どうにも世の中こねくり回して複雑にしたがる輩が多くて困る」


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