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神様に辿りつく少年  作者: 水砲


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第50話 エストラント家の焼き菓子

侯爵邸に戻るとセバスの指揮の元で厨房がしっちゃかめっちゃかになっていた。

エストラント家の料理番が臨時の料理人たちを指揮してあわただしく動き回る。

これはもしかして、もしかしなくても俺のせいか?


「おかえりなさいませユーリ様」


俺に気付いたセバスがいつものお辞儀で声をかけてくれる。


「これはお願いした明日の手土産の件?」

「はい、そうでございます。エストラント家お抱えの料理人たちが作る焼き菓子は、お館様が他の貴族のパーティに呼ばれた際にも手土産にされるほどです。王都の貴族や有力者たちにも有名でございますので」


「いつも僕がいただいているお菓子だよね?確かにとてもおいしいものだけど」


前世でお高いお菓子なんて食べたことはないけど。

それでも偶然手に入れて食べた菓子なんかに比べたら全然違うと思っていた。

サクッとしててバターの風味が豊かで、干したフルーツや香草がアクセントになって。言葉わからないけど小さな菓子なのに口にするととても豊かな味だと思ってた。


「はい。手土産にされるものは砂糖にしろ蜜にしろ小麦にしろ干した果実にしろ全て材料は高価で装飾も凝ったものになります。ですが普段お食べ頂いているものと基本的に同じものです」


へえええー知らなかった。灯台下暗しだ。


「エストラント家の家族からでなければ手に入らないものですが、ただのお菓子ですから気軽に受け取ってもらます。お子様からご年配まで誰にでも喜んでいただけますのでエストラント家の定番手土産でございます」


普段の食事からちょっとしたおやつまで。

おいしいおいしいって食べてきたけど、それは前世から俺が美味いものなんて食べてないからだと思っていた。


「すごいんだね、うちの料理人たちは」

「先方への感触がよろしければ、ぜひシェフにひと声ねぎらいをかけていただけますと。侯爵ご夫妻の代から、ついにユーリ様にも手土産の味として受け継がれればシェフとしても誇り高いでしょう」


「そうするよ。だってうちの焼き菓子がおいしいことは僕が一番知ってるからね。間違いない定番だよ」

「ぜひそうしていただけると彼らにも励みになりますので」


セバスだけじゃなくて俺の気づかないところでも支えてくれてる人がいるんだなんて。

感謝してお礼言うしかない、だってそんな人たちが力を貸してくれてるのが誇らしいのだから。


「ところで随分の数を焼いてるんだね?こんなに必要かな?」


「そうでございますね。明日お伺いするのはガリクソン社の本社と伺いましたので、そちらに常駐して働かれている社員の方、臨時で来られている方も想定した300人ほどの方の午後の休憩の御供にと準備しております。あとは別枠で、社長様のご家族用に最高級のセットを作成させておりますからそちらはユーリ様から社長様へ直接お渡しください。お会社の分はユーリ様が社長様と昼食をとられている間に私の方でユーリ様のお名前でお届けしますので」


ひ、ひえーーーーーー!!!!

なんか、すっげー大事になってる!!

しかもいつもは礼節正しい穏やかな執事のセバスが何だか燃えてるし!!


「せ、セバス。突然でほんとに迷惑かけたね?」

「何をおっしゃいます。むしろ私もシェフも使用人一同、ついにユーリ様の王都での快進撃がはじまったと思うと力が入っております。相手はガリクソン社、相手にとって不足はございません。今後もお気になさらずにお声をかけてください」


か、か、かいしんげき!?

いや、セバスが言うんだから、きっとそうなんだ、間違いない。

俺はセバスの言うことは信じると決めているのだから。


「旦那様も今の御立場におなりになるまではそれはもう。翌日に手土産、は旦那様の頃に1000人分までは対応しておりますので今回は余裕をもって対応しております。今後もお時間だけご配慮いただければ1000人でも2000人でも対応してみせます」


「はあああーーーーーーー」

なんというか、感嘆?の声しかでなかった。


「我々がバックアップしますのでユーリ様は思った通りにお進みくださいませ。今回のように偶然恵まれたご縁やチャンス、はたまた他の貴族からの嫉妬や役人からの嫌がらせ、なんなりと。今いるメンバーは旦那様の代で一通り経験しておりますので慌てることも揺らぐこともございません」


セバスもみんなも。

自信と思いやりにあふれていて頼もしすぎる。


俺はひとりじゃないのかもしれない。

気付かないうちに背中を優しく押されてるのかもしれない。

だったら俺がすることは決まってる。


「ありがとうセバス。みんなにも伝えておいて?僕はみんなを頼らせてもらうから何か困ったら必ず僕のところに相談にくるようにって」


「ありがたきお言葉です。使用人一同代表してお礼申しあげます。皆には必ずそのままのお言葉通り伝えますので」


キリ番記念で短いお話アップしました。

「神様に辿りつく少年」第50話いかがでしょうか。


この回は予告なしですがお昼休みにお気づきになられた方はブクマ登録していただけてる方でしょうか?お星さまいただいた方もいらっしゃって。

この作品を読んでくださる皆さま、嬉しくてとても励まされてます。

まだまだ先の長いお話しですのでごゆっくりお付き合いくださいませ。


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