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第48話 王女様の初キッス

しばらく経っても王女の件は噂ひとつ流れずに過ぎていった。

呪いの闇魔術師が捕縛された話も聞こえてこない。


変わったといえばキャサリンが学院にくる頻度があがりほとんど毎日学院に来ているらしい。

臨時の授業が増えたっていう理由だけどおそらく姫さんの護衛要員で駆り出されてる。

教員室に顔を出してもいないことの方が多いから何をやってるかわからないけど。


俺も学院内にいることが多くなった。

魔法探知を遣えばこの地域一帯までソナーを打てるから、姫さんに敵意があるヤツがいれば一発でわかる。ひっかかったヤツはいまのところいない。


図書館に行ったりラノック教授のところへ顔を出したり。

たまには教会に出かけて差し入れしたり。


今日は陽射しがポカポカと温かいので中庭のベンチで日向ぼっこしている。

魔法探知は勝手に発動してるけど、それ以外はたまにはノンビリさせてくれよ。


「みつけましたわよユーリっ!」

ありゃ。姫さんにみつかった。


「今は授業中だろ?いいのかよサボリンぼ」

「いいのです。今の私は王命で動いていますので」

「王命?」


ふふふん、とドヤ顔のシャルロット。

面倒くさそうだとは思ったけれど、それよりシャルロットのを取巻く空気が戻っていて安心した。

気高く輝いたオーラが力強く出ていて、コイツもやっぱり王族なんだと改めて思う。


「それはあとで。まずはありがとうから言わせてくださいまし、救われましたわ」


見ると、目の下のクマもすっかりとれてほっぺもピカピカだ。

よく眠れている証。

これが当たり前なんだ、子供は楽しんで味わってたっぷり寝るものだ。


「なんのことだ?わかんねえけどおまえが元気そうならよかったよ」


俺はなんにもしてないことになってる、はずだよな?


少なくとも事件が表立って公表されていないのだから、この件は秘匿されてる案件だ。周りに人がいなくても口に出して言えるワケがない。


「そうね、わたくしにはナイトがついていますから。いつだって助けられて元気ですわよ?ほら!?」

片目をつむって、ほっぺをくいっくいっと俺の方に近づけてくる。


「ああツヤツヤしてきれいだ。これなら大丈夫だな」

「き、きれい、でしょ!!な、なんならちょっとくらいなら、さわっても、さわってもいいわよ!!」

なんだなんだずいぶん早口だけど。


一応お礼のつもり、でいいのか?

王女のほっぺにさわるなんて死ぬまでない貴重な体験だろうからお礼って言えるのか?


一応まわりを見渡してから。

おそるおそる王女のホッペをプニッとつまんでみると、なんとも光沢のある絹のようなツヤッツヤのホッペだった。


「きれいでつるっつるだ。よかったなあ」

生きてりゃ美味い物も食えるし楽しいこともある。肌がつるっつるになってうれしいことだってある。


元気になったことに喜んでたら、彼女はホッペを真っ赤にして怒ったみたいにまくしたててきた。

え?やっぱりダメだったとか。


「ば、はかね、手でさわっちゃダメでしょ!!もう、今さわったとこちゃんとやり直して!!」

「やり直す?どうすりゃいいんだ?」

「王女にふれていいのは唇だけなの!!」


何ですかそんなルールは。

知りませんよ?

勝手にルール作っちゃいけませんよ?


貴族の挨拶で手の甲に唇をふれるのと一緒なのかな?いや待て違うだろ?

だいたい貴族の女性に体に触れるとしたらダンスくらいしかない。

ホッペの触り方なんて知らないぞ。

これいいのか?いや絶対ダメなヤツじゃねえの。


俺が不敬罪で捕まるように誘導されてないかこれ?

顔を近づけた瞬間にワラワラと衛兵が出てくるのか?


「いいから、早く!!人に見られちゃうでしょ!!」

「もう知らねーからな!」


唇でやさしく彼女のほほにふれてみた。

スペスペしてて気持ちいい。

ゆっくり、ゆっくり唇をふれさせて、彼女の耳の方までその感触を確かめていく。

彼女の肌のやわらかい香りが鼻孔をついた。

「ん・・・んん・・・」

シャルロットは目をつむって真っ赤なクセに、こしょぶったいかな?

その声にいたずら心が浮かんで。


パクッ


彼女の耳たぶを唇ではさんでから顔を離す。


「きゃぁぁぁ」


大きな声じゃないけど、目に涙を浮かべて睨まれた。

いたずら効きすぎた?


シャルロットはそのまま頭を下げて俺の胸元に抱き着いてきた。

この前みたいに。


「ねえ」

「なんだよ?」

「またギュっとしてよ」

「いいよ。そんなこといくらでも」


こいつが安心できるならそれくらい。

両腕を背中までまわして優しく力をいれて抱きしめた。


「やっぱり怖かったか?」

「うん。でもこうしてれば平気」

「そっか」

「うん。だから・・・だから・・・」

「なに?」


ぱっと顔をあげて俺を見るとイッキにまくしたてられた。

「ま、ま、また、ギュってして欲しいんだけど!」


「ああいつでもいいぞ?そっちがよければ」

そんなことで心が元気になれるのだったいくらでも。


「あ、あとね、さっきのしかえし!」

姫さんがおれのホッペを両手ではさんでグニグニといじった。

「ほら、あなたも目をつぶって、この感触を確かめて」

え?

何の感触?

わかんないけど目をつむって姫さんの手のひらの感触に集中する。


チュッ


目を開けると目の前に姫さんの顔あって、唇がやさしく重なった感触がした。


「た、助けてくれたお礼。だから、だから」


「お、おおう。」


めちゃくちゃ恥ずかしくて。

でも一生懸命な姫さんの瞳から目が離せない。


「これからも、ずっと助けて、くれる?」

「ああ」


「ずっといっしょにいて、くれる?」

「ああ。まかせとけ」


ホッとした様子の彼女は指で自分のホホをプニリとさした。


「うん。だったらもう怖くないわ。たっぷり眠れるしお肌もピカピカだわ」

やっぱり怖かったんだよな。


「もっとピカピカにするから、またホッペタたしかめてね?」

それから、おれの耳元に口を寄せて小声でつぶやいた。


「お、お耳も、また食べちゃって、いいから、ね」

「わ、わかった」


あ、慌ててしゃべってる俺達はまだまだガキなんだよな!?

だってこれじゃあまるで。


「ハイ、これ!!!」


彼女は一通の封筒を俺に差し出した。

王家の紋章で封がされている封筒を。


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