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神様に辿りつく少年  作者: 水砲


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242/243

第242話 合流

仕事がたっぷり残って悲しそうな皇帝をひとり残して、俺とゴルサットは街へと出ようと裏門に待たせた馬車へ向かう。

乗り込もうとした瞬間に俺の腕がグイイと掴まれた。


「ユーリやっとつかまえましたわよ!」


シャルロットから大層ブスくれた顔で睨まれた。美人さんがしていい顔じゃないけど、頭の後ろからプン!プン!と湯気が立って大層お怒りだから余計なことは言わずにおいた。

どころで俺のせいなのか?


「さあどこへ行くのですか!当然私も行きますわよっ!」


勢いこんだ王女様にゴルサットは困ったようなわかったような顔してやがる。

とにかく一緒でいいよな。


「それではまいりましょうシャルロット王女」

さも最初からそうであったかのようにエスコートするゴルサット。

年寄りの老獪さ?いや宮仕えの変わり身の早さというべきだ。


「わ、わりいなナンダか」

「王女の気持ちもわかっておるつもりよ。それにこの3人というのも不思議な縁だろう、今後の世界を占う夜になるかもしれん」

俺とゴルサットがお互いに肩を預けて念話のヒソヒソ話。

姫さんが俺の腕にぶら下がって絶対に離さないとひっつかれちまってるから声に出さずに。


馬車は大きな料亭の敷地へと入っていく。

平屋だけど横も奥行きも大きくて迫力があるし、木造で随分古いのに品があって高級な感じがする。

中に入ると着物を着たおかみさんが個室へと案内してくれた。


席にお尻がついた瞬間に泡のたった琥珀色のドリンクが目の前に。少し甘い食前酒でホッとひといきついているうちに、随分と豪華な海鮮が並べられていく。素材の形のまま迫力満点でこちらを睨んでいるカニさんや、美しい大皿に透けて見えるような美しい魚の身であったり。

どれもうまそうに料理されているだけでなくて、見栄えするし芸術的な美しさだったり意匠を凝らして迫力があったり。どんな絵画や演劇をみせられてるのかと思う。


俺って料理のとりわけとかしたことないんだけど、どうやって頂くものかな?それに俺はまだしも姫さんが皿に箸をのばすのはおかしいよな?と思っていたら、俺達3人の後ろに一人づつ給仕する人がついてくれて、シャルロットはニコヤカに会話していた。


いやいや?俺はいいですから。

勝手にやるから、自分でカニの足モギってホジるから。


後ろのきれいな給仕の女性にそう伝えたら、真っ赤になって泣きそうな顔になった。


「ユーリよワシが懇意にする店のベテランを泣かせないでくれんか?この娘らは誰がお主を給仕するか競い合って決まったのだろうに。なあそうであろう?」


ゴルサットが自分の後ろの女性とシャルロット担当の女性を見ると、どちらもピクリとも表情を崩さない。笑顔だけど肯定も否定もしない。

俺の担当の女性だけが泣きながらウンウンと頷いている。


「ご、ごめんね?そんなつもりじゃなかったんだ、よければ俺に給仕してくれる?」


そんなつもりってどんなつもり?なんて聞かれると答えようがない。

謝る俺が彼女の肩に手を添えたその瞬間シャルロットからご注意が入る。


「ユーリ?それってハラスメントですわよ?」


ギロリンと睨まれた。

どこからダメだったんだ?最初からか、手を添えたところからか?


慌てて放そうとした俺の手は、だけども給仕の女性からキュッと握られた。

「誤解されませんように。私にとっては光栄の至りでございますわ?」

彼女の両手で包まれるよう握られると、温かさとか優しさとか感謝とかそんな気持ちが伝わってくる。

「今日はスペシャルな給仕にさせていただきますね?」


「え?は・・はいっ?よろしくお願いします?」


断れる流れじゃない聞ける流れじゃない。

給仕にスペシャル?

頷くと他のお給仕さんふたりがギロリとその娘を睨んだのは気のせい?

そう思ったけど、給仕さんは随分と懇切丁寧に、まさにスペシャルで俺のために尽くしてくれる。


骨の髄からとったダシの魚介の鍋から一番の食べごろをすくうと早業で骨を抜き取って俺の口まで添えてくれる。

身のつまったカニは甲羅を割り身を掻き出し足を割って身を取り出して。カニミソとうまいだしをまぜてほどよく塗りつけて俺の口へと捧げてくれる。

カニのからには暖かいお酒をついで、エビは殻をはいで頭のミソをまぜて、ああそれからそれから。


ゴルサットもシャルロットもそこまではしてもらってない。食べやすいよう殻をやぶりお皿に取り分けてくれるくらい。


シャルロットのジトリとした目が怖い。


「モテモテですわね?」


ゴルサットは慣れてない俺を面白がり、シャルロットはジトリと俺を睨みながらも珍しい東の料理に舌鼓をうつ。


食事の終わった俺達がバルコニーへ移る前に、世話してくれた女性が俺の前で膝まづいた。


「本日の給仕はいかがでしたでしょうか?ユーリ様?」


あ、あうう。


今までの俺なら、やめてください俺なんてそんなんじゃないんで、って逃げ出すところなんだけど。


王国の研究者のまとめ役で副師団長だから西の王国の代表としてここにいる。そして研究分野で?皇帝と友諠を結んだってことになっているわけだ。

あんまり自分を下にできないというか、ソレをやったら今の俺の立場にしやがったヤツラ(してくれたなんて言うわけがない)にもちょっぴり失礼だろう。


俺も膝まづいて、東の皇帝がやったように目線をあわせて手を差し出した。


「今日は手厚い給仕をありがとう。俺があんまり慣れてないから困らせちゃってごめんなさい」


彼女が手を握ったので彼女を引き上げて立ってもらう。言葉にはしないけど、やっぱり俺はそんな偉い立場じゃないし、お手間をかけたお礼を言うのは俺の方なのだから。


「ちょっぴり恥ずかしくて。他の人たちもあんな風に給仕されてるのだったら慣れなきゃいけないのかもしれないけど」


「いいえ?」


彼女は潤んだ瞳でプルプルと首をふった。

「今日のお給仕はユーリ様だけのスペシャルです。ほかの方になんてしません」


また両手でキュッって握られた。


「またぜひおいでくださいませ。次もワタクシが給仕させていただきますから」


「は、はい、その時はよろしくお願いします」


またもや他の給仕の女性たちがギロリと彼女を睨んだけど、今度は絶対気のせいじゃない。。。



バルコニーの椅子に3人で腰かけて人払い。


宙には満点の星空。


シャルロットはニッコリ満点の笑顔で言い放った。


「ユーリ?あなたチョロすぎですわ」


やっぱり毒を吐かれた。



明日の更新はありません

今後は木曜の更新をストップして週3更新たまに4、にさせてもらいます そろそろこのペースでは難しいようです力不足。。m(_ _)m

もう一回くらいペースダウンしてしまいそうなのですけども

ぜひエンディングまでお付き合いくださいませ

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