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神様に辿りつく少年  作者: 水砲


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第239話 立場ってもんがあるだろう

「まだうら若き未来の神よ」


互いに片膝をついている状態のまま、皇帝は俺に右手を差し出した。


静まり返った会場中に皇帝の声だけが響き渡る。


自分達が代々使え続けた皇帝が、西の王国のイチ研究者に片膝をついて目線を合わせたのだ。


それを東の帝国民を集めたこの場所で行った。それはつまり


「余と友諠を結んではくれまいか?」


相手を自分より上位の存在だと捉えているに他ならない。


対等ならばそれがたとえ西の国王であろうと、統治者が民の面前で膝をつくなんてありえない。


静まり返った会場、だが何万も集まってる注目の全てが俺に集中している。

そして目の前には皇帝が真摯な瞳でコッチを見つめ続ける。


俺はどうすればいいんだ?


壇上に残っているシャルロットに目をやっても、苦虫を嚙み潰したよう口を一文字にひいているだけだ。

やっぱりこうなったという諦めと、それでも悔しい気持ちが交じって。最後に達観した顔してる。


皇帝からの申し出は、これって否定していいのか?

断っていいものなのかコレ?

この国の統治者だぞ?


だが俺はまだこの人と会話すらしていない。

話でしか聞いたことがない存在だから本性も何もわからない。


いろんなことをしょい込んで闘ってきた統治者だってのだけはわかる。

それにこの場所の全ての臣民に大層慕われているのも。

彼のことをゴルサットたち東の4賢人が命をかけて支えているのも。


でも。

だからって。


目の前に差し伸べられた手をいつまでも空にブラつかせるわけにはいかない。

俺はこの男に恥をかかせたいわけじゃない。


でもこのままじゃあ。




皇帝と向き合って膝をつき合わせた俺の横にゴルサットが同じように膝まづいて、肩をポンとたたいた。


難しく考えないでくれるか?

ワシが敬愛する男を友としてお主に紹介したいだけじゃ。

誤魔化してもウヤムヤでもよいが難しいことは考えないでくれ。ワシを深淵の森へ派遣してくれたのはこの方なのだから。


手がふれた肩から念話が届いた。

そうもいかねえだろう、そう思ったけど。

俺のピンチに命を賭けて闘ってくれたコイツがそういうなら。皇帝のことはわからない、まだ信じられるかどうかなんて段階じゃない。


だが俺はこのジイさんの、四賢人とかいう上っ面じゃなくて心根は信じてしまっている。


「ゴルサット老師には助けていただいたご恩がございます」


俺は控えめに手を伸ばすと皇帝の手を握った。

フカリとして温かい手。


「皇帝の命によりゴルサット老師と深淵の森で出会えたのですから、私達にはご縁があるのでしょう」



皇帝の手に一瞬力が入ると互いにギュウと強く握りあう。それから俺とゴルサットの肩に手をかけて立つように促した。


「国に戻る前に一度時間をくれないか?なに宮廷料理の晩餐会なぞとは言わぬから。余の国を少しでも知っておいて欲しいだけなのだ」


「そういうことであるならば喜んで」

俺が東の民達のことを知りたがってるのもわかってる。頷くしかない状況だけど、皇帝からとかじゃないのだけどなあ。


あっけに取られていた観衆たち。何だかわからなくても皇帝の求めが叶ったと信じたのだろう。


全ての観客が立ち上がると会場がうなるほどの大きな拍手が生まれたのだった。




「それで?ありゃーどういうことだ?」


正座しろと地面を指さしたのに体育座り。

筋骨隆々のジイさんがスネてこっちを見上げてやがる。


「だってワシも知らんかったし」

プイッと横向きやがった。


ちょっと待てって、なんでスネて逆キレてんだよ。

アンタが俺をエスコートしたんだよな?


「いきなりじゃったし。たかが握手くらい減るもんじゃなし」


ボソッと憎まれ口みたいにこの野郎!



あの人はアンタたちの皇帝ですよね?

そして俺はただの西の研究団の団長なのわかってるよね?南の団長は皇帝に呼ばれもしなかったよね?

・・・なんだよアレは!


お互いに下がる通路が違ったからシャルロットとはまだ会ってない、会ってないけどアレは怖いことになってる。間違いない。

怒って口聞いてくれなくなったら帰りの馬車がどうなると思ってるんだって責任とってくれ!


「じゃあ聞くからせいぜい答えて見ろよ!?なんでアンタらの皇帝が俺の前で膝をついたんだよ!?」


「知らんよそんなの。対等な友としてとかそういうことじゃろ?」


ツラリ言いやがる


おいジジイ?

絶対そんな簡単な話じゃねえだろうが?


シャルロット王女に向かって西の王国との友諠ならわかるぞ?

なんで俺みたいなヤツと東の皇帝が!対等に友諠を結ぶんだよワケわかんねえんだよ!しかも逃げ場なしときた!!


「そんだけお主と友達になりたかったということじゃろ?同性の若者の友人なんて皇帝には出来ないから」


ついには地面に『の』の字を書きながら興味なさそうに言い訳始めたぞクソジジイが憎たらしいったらアリャしない!


絶対そういうのじゃないだろうって。

俺はあの人とまともにしゃべったことないんだぞ?

友達になりたがる理由がねえんだよ理由が!


「そういうのはなワシが何を言っても意味ないし?皇帝陛下に直接尋ねればいいだろうに、ワシら臣下と違ってお主は友達なんじゃしな!」


なんだよなんだよその駄々っ子を言いくるめるジジイみたいな言い分はよ!


「そうかそうかゴルサットの言い分はよくわかったぞ?つまり俺に自分で何とかしろってことだな良くわかったぞ!アイツのこと気にいらなければレーザー・ショットで眉間をぶち抜くか黒魔術で洗脳してやるから後でウダウダ文句言うなよっ!!」


ゴルサットがわざとらしくパチンと指をならすと、こいつが張っていた音避けの魔法が弾けた。


このやろ。

こんな会話になるとわかっていやがった。

俺もちょっとテンションあがっちまったのは悪かったけど。


「わかったよ会えばいいんだろ会えば。それでどうなっても全部アンタのせいにするからな?」


「結構結構、年寄りはそんな時のためにおるからの?若者同士は好きにやればいいだけよ」


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