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第23話面接試験と初めてのチュウ

無事?全員の実技試験は終わり。

最後の面接試験が始まった。


もちろん俺も他の受験生と同じように面接を受けた。

学長の説教じゃなくって受験生が受ける方の。


他の受験生がどんな話を聞かれたかはわからない。

でも俺の面談は絶対に他の受験生とは違ったはずだ。


他の受験生の面談は3人の面接官役と受験生が当たり前の話をして終了するはずなのに、俺の面談にはなぜか学長が乱入してきたから。

乱入してきた学長がその場を仕切ってしゃべりまくって独壇場になっちまったから。


面接官がキルリスの方を気にしながら「意味わかんない」顔でお決まりの質問をしようとすると、学院長が強引に話し出して発言を上書きしていく。

これって面談になってんのか?俺ほとんどしゃべってない。

キルリスからは「これ以上ボロ出す前にダマレ」オーラがビンビン伝わってきてお口チャックしかない。これって合格できるのかよ?


俺の実技については面接の場で魔力の暴発ということで説明された。

まるで教授たちに説明するかのように。

その後は延々と「慣れない魔法を使う時の危険性」という題目でコッテリ絞られたよ。面談という名の説教大会がここでも勃発した。

学長自らが魔法を発動するときの危険性をこんこんと説明して時間切れ。

言いたいことはあったけど「いいからココは黙ってきけ、そして頭下げとけっ!」ところどころの目くばせ光る眼光がもう本気の目。


なぜだか入学まで毎日かかさず魔力操作の訓練してレポート提出しなけりゃいけなくなった。

まだ合否も出てない入学してないのに宿題が出た俺。

落ちる気もないけどなんなんだよ。



校舎を出るとソフィアが柱によりかかってつまらなそうに下を向いてた。

待ってくれてた、だよな。


「ソフィア、待っててくれたんだ?」


「なんだか大変だったみたいね。大丈夫?」


心配そうに見上げる顔がかわいい。

いつもちょっと勝気なのにこういうところは優しい女のコだ。


言われた「大丈夫?」って言葉の意味を真面目に考えると難しいな。ナニが大丈夫か。

試験の合否なら宿題までもらったけど、次席合格とか全然大丈夫じゃない。


「まあ何とかね。ちょっと魔法失敗しちゃっただけだから」


俺的にはうまいことゴマかせたつもりだったけど。

なんだかジロッって睨まれた。


「ねえねえ。何か私が知らないことがあるんじゃない?」


「え?なんのこと?」

とぼける一択。


直感?なんにしても女の人は鋭いなあ。


「やだなー、やだなー、そういうの。そう思わない?」

後ろ手に俺のまわりをクルクルと歩き回りながら。問い詰められてる?


「何でもないから大丈夫大丈夫。それよりさ」

露骨に会話かえましょう。


「ソフィアの実技試験は結構良かったんじゃない?ちゃんと魔法撃ててたし」


「そうねぇー、マトまで届けばもっとよかったけど。でも魔法撃てたのって最初の30人くらいしかいなかったよね」


「キャサリンが言ってた通りだった。二人とも受かればいいなあ」


「受かるかな?」


「きっと受かるよ。きっと」


受かりますとも。

俺はもう宿題まで出てますけどね。

でもソフィアも受かる。

俺が太鼓判を押すよ。


ムニュ。

俺のほっぺがソフィアの両手に包まれた。


「今日はありがと。こうして貰わなかったら焦って魔法を失敗しちゃったかも」


お礼を言うために待ってくれてたんだ。

ちょっと勝気だけどかわいいところがいっぱいある。


一緒に受験勉強した仲間、一緒に受験した仲間。

俺達だけがわかってるいろんな事があって、なんだかそういうのがうれしい。

そんな彼女への応援くらいいつだってする。


俺も彼女のほっぺを両手で包んで、思っていることを口に出す。


「ソフィアが頑張ってたから。いつだって応援するよ」


「ありがと」


彼女のほっぺが赤く見えたのは夕日のせいだろうか。


「めっ・・目をつぶってくれる?」


はて?


「うん、いいけど・・・これで?」


少しの間があって。

俺のホッペを包んでいた彼女の手にちょっとだけ力が入った。


プチュ。


目を開けるとソフィアの顔が目の前にあった。

ソフィアも目をつぶってて、長いまつ毛があたってくすぐったくて、突き出した唇がプチュって触れた。


「大好き。だーーーいすき。私もユーリを応援するからー!」


沈みかかった夕日が長い影をのばして。

彼女は真っ赤になって走り去っていった。


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