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神様に辿りつく少年  作者: 水砲


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第158話 フェアじゃないもん

「わかんなくもねえけどよ。そういうけどあんたらの手下が俺を暗殺しようとしてたぞ?ありゃなんだよ?」


忘れるわけはない。

うちの宝剣が簀巻きにしてたけど。


「あれはうちの政府の指示じゃない。お前んとこの国の何とかって貴族グループから暗殺集団への依頼だ。暗殺集団を恨むのはわかるが根っこの問題はそこじゃないぞ」


「でもあいつらを裏からイジくって他の国を混乱させてる大本は東だろう?つまりあんたらの謀略っつー話だろうが?」


「お主の中では東が勝手に火をつけているように見えるかもしれんが国というのはそんなに簡単な話ではないぞ?」


なに言ってやがる。

結局操ろうとしてんじゃねえか。

「なに言ってやがる。適当な理屈ぶっこんでごまかそうってか?」


「お主が本気で知りたければ契約ありきならワシは後付けでも皇帝を説き伏せて見せるぞ。それこそ暗殺集団がよく使う『沈黙の契約』でもいい。オイボレじゃがこれでも東の4賢人じゃ。ワシが契約を破って死んだら西も南も北も大喜びじゃろうよ」


「そこまで命かけてやる意味あんのかよ、あんたに。そんなことしなくてもだいたいわかってんだろ?」


「まあぶっちゃけ命かけるのはこっちだけっつー不条理もあるよな。そっちは『沈黙の契約』だろうと返呪するしなあ」


「まあなあ。そりゃそうだからよけい・・・え?」


「うん?」


「いま、なんて・・・」


「はて、ワシなんか言ったかの?」


「・・・」


「・・・」


知らん顔。

ヒュウヒュウ口笛吹いてる。フリしやがる。


「おい、とぼけるなよ」


「ん?そうか?でもまあワシひとり命かけるっつーのもフェアじゃないもん」


「いやいや、ないもんって、おまえ」


「いいじゃんいいじゃん、ワシはお主が沈黙の契約を反呪することを確証持てたし、お主はそれをこちらが知っておることがわかった。痛み分けではないか?」


なんだかこいつの口調がぐっとレベルダウンした気がするんだが。


「そうか?そういうもんか?いや違うダマしてるよなおまえ?」


「さあな?話としてはお互い様じゃよ」


なんとまあぬけぬけと。

ヤバい話を聞きだしてお互い様はねえだろうが。


「いや待て違うだろ?わかってんのか?それあんまり知られると俺は世界中から狙われちまうんだぞ!だいたいおまえらも俺を狙うかもしんねーんだろ!全然Win-Winじゃねえだろ!!!!!」


「ああ、まあ、そうとも言うし、違うともなあ。安心せい。少なくとも東がお前を狙いはせんしその情報を周りに流すことはない。情報は利用するもんじゃもったいない」

利用するもの?

もったいない?

どういうことだ?


「東からの暗殺者に関してはもう『沈黙の契約』はしないんだろ?」


「くっくっく、西に向けてのヤツらはな。だが北と南が西に対して暗殺者を送るなら反呪されれば面白いことになるだろう?知っていればコントロールすることができる。さっきも言ったろう?火だねがあれば息を吹きかけることができる」


「じゃあ教えろよ、あんたは俺に忘却魔法をかけられるとは考えてねえのか?」


本音言って見ろよ。


「考えないわけがない。だがもう今頃はワシらがここでした話は他の4賢人から皇帝に上申されておるのは間違いないわ」


つまりリアルタイムで東につながっていて俺達の会話は全て東にはお見通しか。

俺への対策を必死で考えてきたのかもしれないが俺に知られた時点で意味がなくなるのがわかっていない。


「ほーう。俺をうまくハメたってわけか?」


ピリリ、と空気が緊張した。


しかしオッサンの表情は穏やかなままだった。


「別にお主をハメてはおらんワシらはいつもそうしておるというだけじゃ。してどうするね?ワシを殺しても東は知ってしまっておる。東の帝国を壊滅させるか?」


うん?と気楽に聞いてくるんだが。


「この状況を我らは利用するじゃろうが。お主もその状況を利用すればよいだけではないか?」


「西の王宮のやつらがか?」


「バカものがそんなヤツラのことは知らん。ワシが言うとるのはお主がじゃよ」


「なんだスパイにでもなれっつーのかよ。勝手なこと言ってんじゃねーよ」


「本当に若くて単細胞だなお主は。そういうヤツはスキじゃがここはよく考えてみろ。ワシは東のためにどうしろとは言ってなかろうがよ。西も東もついでに北と南も含めて。変わっていく状況さえ押さえておけばあとはおまえが自分のために利用すりゃいいだろという話だ」


「ええ?なんだよ、俺を利用したいんだろどうせ」


「お前の中で利用することへの受け取り方かわからんぞ。力を貸し合うことを利用するっていうならそうだ。おまえの力を一方的に利用しようとするってことだったらおまえの方が絶対的に強者だからまあ無理だわな。」


「なんなんだよあんた。結局なんで俺んとこに来てんだよ。はっきりしろよハッキリ!」


こういう問答みたいなのは頭いいヤツラでやってくれねえか?

わかりやすくないと!わかんねえだろうが!


「言うておるよ、お主のことを知りたいしできればワシのことも知って欲しい。じゃからワシも開示できるだけの情報は開示したつもりじゃし嘘も言うてはおらん。こっそり何かをしてもおらんしやっていることは口に出した。ワシは単に知己を得たいと思うただけじゃ。あとはな」


「なんだよ?」

ごちゃごちゃの先に話を続けるなよ!

俺はアタマわりいんだよ!


「話を聞いて思ったが随分とお主は窮屈な生活をしておるなと思うてな。面倒くさくなったらワシを頼ってくれてもいいぞ。これでも東の帝国では重鎮じゃ。力になれると思うぞ」

「なんなんだよ一体?」


研究者の打ち合わせが終わってからも、俺達は大分やりあっていたようだった。

いつの間にか夕暮れとなっており、みなは集まって天幕と食事の準備がもう終わりにさしかかっていた。

傍からみたらふたりでいつまでも肩を組んで座ってるジジイと俺。

完全にあやしいヤツだと思われたのは言うまでもない。


「ワシらは今日出会ったばかり。時間はまだまだこれからたっぷりある」

俺達はそれぞれの調査団にもどるために別れていく。


「友よ」


あーん?


ナニ言ってんだ、おまえは!

俺にこんなジジイの友達はいない!


「なんだよ一体!」


「この調査が終わるころにはワシは普通にお主のことをそう呼んでおるよ。こんなジジイの友人もそうできるもんじゃない。貴重じゃろう?」


チッ・・・


ちょと可愛く言えば許されると思っているのかこのクソじじいめ。


読めねえ。


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