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第144話 ナビゲーター先生にお伺い

「懐かしいな♪懐かしいな♪」


エルフの宝剣がキランキランに輝いて俺に喜びを伝えてくる。

詳しく聞いておきたいけどそれは道々でもいけそうだ。

それよりまず確認しとかないと。


「俺って立場的に大丈夫ですか?」

俺って一応は魔法学院の学生だ。たまに自分で信じられないけど。

ただの学生、まだ教わっている側。

そんな各国のエリート研究者たちで協力する一団にまぜてもらっていいのか?


「今回は各国それぞれで研究者と護衛セットで10人ほどのパーティを組んで参加だ。ユーリは魔法学院の代表として研究者枠でいいだろう?一応はキャサリンの助手のような立場で申請するが、誰もそんなこと気にしないだろう。あと護衛枠でジョバンに行ってもらうぞ?王国軍からはジンを出してもらう、国の代表だからそれなりに職位のある人間がいた方がいい」


「あら、わたしも護衛で入っていいわよ?」


「ダメだッ!」

マーサさんの意見を間髪いれずに拒絶するキルリス。


「俺がさみしいからダメだ!」

「しょうがないわねえ」


マーサさんもS級冒険者だ。キャサリンから依頼して国を動かして。王命でギルドに依頼すればすんなり通るだろうけど。

キャサリンは俺が必ず守るから、できる人はなるべく首都にいて欲しい。


今回の件は間違いなく罠だ。何があるかわからない。現地でも首都でもだ。

これだけアカラサマだからそんな状況で東は何を求めてくるんだろう?


あちらの一番の戦士とタイマン?俺を暗殺したいのか洗脳でも狙ってくるのか?俺の能力は絶対に知りたいはずだよな。

でもそれはこちらも同じ、仕掛けてくるなら相手とその実力をハッキリさせてやる。

東が国としてケンカ売ってんだったら丸ごと買うしかないよな?


「研究員としていくんだからな?戦闘はジョバンとジンにまかせておけばいい。せいぜい防壁を張るくらいにしておくんだ、おまえは能力を見せないようにするんだからな?」


できるかなあ。

できるといいけどなあ。

探り合いって得意じゃないんだよ。こっちではアンタがやってくれてるし。

一緒に行くのがジョバンじゃあその辺は期待できないよなあ。

「東はその辺りを探ってくるんだろう?無理難題を俺達に押し付けてきて確認するみたいな」


聞いたジョバンがわかった風に声をあげる。

「あり得るだろうが俺やジンくんで対応できないレベルは拒否していいんじゃねえかな。これでもS級冒険者の俺ができねえって言うんだから」


冒険者ギルドは世界的な組織だ。

つまり西の王国のS級冒険者ジョバンは、東でも南でも北でもどの国だろうがやっぱりS級冒険者として認められる。そのジョバンができないと言うならできないのだ。


ジョバンとジンが護衛してくれるならS級の魔物だって対処できる。もしその二人が手に負えないなら魔物はランクはSS級だ。

都市の真ん中に現れればその街は壊滅しそのまま国を亡ぼす「オリジナル個体」で伝説のような魔物たち。深淵の森にはいるといわれてるけど、そんなの当たったら運がわるかったと思うしかないだろ。最上位の竜種はSS級らしい。



「なあ」

久しぶりに頭の中へと呼びかける。

世界の深淵が眠る森、話が聞ける相手はアイツしかいない。

『どうしました?何か聞きたい事でも?』


「SS級の魔物ってそいつらオーバー・スペックってことなのか?」


『・・・あなたは変わりませんね?〇ンポン〇ンなところが。SS級というのは人間が勝手に決めた基準で私に言われてもわかるわけがないでしょう』


ああこの感じ。

久しぶり。

そして相変わらず面倒くさい。


「おまえなら人間の認定するSS級ってのもわかってんだろうが」


『そんなことのために使う思考を持ち合わせていませんから。わかろうと思わないものがわかるわけありません』

「ああ、そうか、そうか。じゃあわかりやすく質問を換えてやる。俺と同じようなレベルの魔物っているのか?特に深淵の森には」


『ちっ・・・はじめからそういえばいいものを』


舌打ちしやがった。

こいつ舌打ちしやがった。

これでも、これでも聞いてる側だから下手に出てるんだぞコッチは!


「あああっ?なんか言ったかあ???」


『何も?あと口調が荒っぽいのはキャサリン嬢の気持ちがあなたより研究を優先しているからですか、やつあたりもいいとこです』


「!!!っ!」


『あなたに近いレベルは数体いますが出会うかどうかは不明です。ただしそれぞれの種族はレベルの限界が異なります。最強種である竜種の限界レベルは500、それ以外にもレベル400、300はごろごろと存在します。あなた以外の人間にとっては十分にオーバースペックのクラスと言えるでしょう』


「え?それ大丈夫か俺以外は?ジョバンだって」


ゴロゴロって?気を付ければ遭遇せずにすむものなのか?

俺一人なら別に問題ない、キャサリンと二人なら俺が守る。でも今回は研究者の団体さんだよな?


『そういわれましても。先日あなたが人間の城で3名ほど問答無用で無力化しましたけどあれと同じですよ。深淵の森の魔物は人間が嫌い。その人間が自分達の領域に入り込んで勝手をしようとしている。名乗りも挨拶も許可を得ることなしです。逆の立場であればあなたは間違いなく侵入者を殲滅するでしょう?』


勝手に自分の領域に入ってこられたら排除するのは自然の掟だ。

んなことは言われなくても。


『人間でいくらレベルが高かろうと深淵の森の魔獣相手では赤子も同然。これもあなたならわかりますよね?』


先生が重ねて問いかけてくる、っていうより『考えればわかるでしょう?』イヤミったらしい。


エージェントだなんだって言ってどんなにレベルや技術をあげても、絶対的な違いは越えられない。

わかってる。

つまり俺以外が深淵の森にいけば、そこにいる魔物たちの足元にも及ばないし戦闘というレベルにも達せず制圧されるということだ。


「嫌味たらしいぞおい」


『何もできない人間達の前に敵意を持って現れた高位魔獣、対応できるのはあなただけ。あなたは少なくとも友人とみなした人間を見捨るつもりはない。それならば後はなるべくしてなるのではないですかね』


ないですかねって間違ってないけど。

だったら俺がやっちまうのが確定じゃない。


「そいつらとは遭遇しないようにしないと、というわけか?」


『それは不可能です。あなたは深淵の森に入れば間違いなく広範囲で索敵を行うでしょう?もちろん森に存在する高位存在は同じことをしています。彼らは基本的に小物の相手はしませんが、同格のものは力量を計ろうとするでしょう。種族の性質次第では血気盛に挑んできますよ。あなたがそうであるように』


俺は違うはずだぞ?


「確かに見てみてえし話ができるもんならしてみてえけど。戦闘になったらやばいな」


『同格相手なら相性次第で戦局は変わります。ただしあなたにはエルフ王と精霊の加護、魔法ロットの能力底上げ、そして<力の顕現>がありますから深淵の森で最も強い個体であることは間違いありません。しかし魔力が枯渇した状態で戦闘せざるを得ない状況が発生すると有利が覆る可能性があります』


「楽観できない油断できないな。やっぱり行かない方がいいんだけどなあ。行くなら俺一人で行った方がいいんだけどなあ」


『間違いなく危険に遭遇するでしょうし守れるのはあなただけ。大変な手間がかかると断定します』


東の人間たちの相手もするんだよな?

これは神さまからバックレろといわれてる気がする。


『安心なさい誰もそんなことは言ってませんので。自己責任でお願いします』




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