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掌編小説  作者: 唯野
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三題噺  家事   料理   姉妹

その日も私は旦那を送り出して家事に精を出してと、忙しなく動いていた。



そんな時に玄関のチャイムがなる。宅配便かしらと思い玄関に行けばそこには居るはずのない人物が大荷物を抱えて待っていた。



「ただいま」



そう言う人物は長女と共に上京して夢を叶えると意気込んでいた筈の次女であった。



「どうしたのよ?突然帰省してくるなんて。一言言ってくれれば迎えにぐらい行ったのに」



「お姉と喧嘩した。仕事でミスした、だから来た」



私はなんとなく察した。またいつもの姉妹喧嘩だろうと。



「うん」



「そう、ほら何時までも玄関に立ってないで手を洗ってらっしゃい」



私が促すと次女は無言で洗面所に向かって行った。



『今日の晩御飯は多めに作ろうかしらね』



私は無気力な背中を眺めながら何事を考えていた。





◇◆◇◆◇◆


時間が経ち夕方に帰宅したお父さんには事前に連絡しておいてので帰宅時に驚くという事はなかった。



「ねぇ、お母さん、料理作り過ぎじゃないの?三人じゃこんなに食べきれないよ?」



久々の家族での食卓には姉妹の好物が所狭しと居並ぶ。



「いや、これでいいだろ。むしろ足りないのでは?」



しかし、お父さんはむしろ足らないと言うぐらいだ。



「仕方ないじゃない、いきなり帰ってくるんですものねぇ?」



「うぐっぅ……ごめん」



私が視線を向けるとばつが悪そうにうつむく次女。



「まぁいいわ、たくさん料理出来てお母さん楽しかったから」



「ほんと?」



「ええ。でも、もうちょっと待ってね最後の仕上げがあるから」



「どういう事?」



次女は訝しみながら、私の方を見た。



「貴方がかえってきた時点でこうなる事はわかっていたのよ」



次女に視線を合わせてそう言った瞬間に、玄関でチャイムがなる。



「時間ぴったりだな」



お父さんがそう言って玄関に向かう。遠くから聞こえてきたのは長女のどこか暗い声だった。



「姉妹そろって考えることはお見通しって事よ」



四人で囲む食卓はどこか、ぎこちなかったけど、最期は皆笑っていた。



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