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掌編小説  作者: 唯野
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三題噺  恋   イグアナ  学生

夏休みが終わり少し涼しくなった下校の帰り道。



茶髪と黒髪の男子学生が二人並んで歩いている時に。



「はぁ……今すぐピーちゃんに会いたい。帰りたい。抱きしめたい……」



茶髪君がそんなことを呟いた。



「……はぁ?なんだいきなり、……つか誰だよ、そいつ?」



脈絡ないボヤキに反応した黒髪君。



「ん?ああ、恋人だよ。……とっても可愛いオレの大事で大切な恋人」



「マジかよ!?夏休み前に彼女なんか作ってないで部活に集中しろって後輩に説教してたお前がか!!」



茶髪の発言に驚く黒髪君は驚きのあまり肩に下げていた学生カバンを落とした。



「夏休み前かぁ……懐かしいねぇ。でもオレはそん時は何も知らない初心なガキだったからな、仕方なかったんだ。……あの子との出会いがオレを変えてくれた。あれは運命だったんだ」



カバンを拾い上げ黒髪君に渡しながらのんびりとした口調で茶髪は話す。



「なんか、キモイなお前。で?一体どんな人なんだ、そいつはよ」



その言葉を待っていたのか、茶髪君は先ほどまでのテンションが嘘の様に声を張り上げた。



「良くぞ聞いてくれた!先ず目を引くのはクリクリな大きな瞳。そしてそこから流れるような曲線を描く身体。その肌はツヤツヤでツルツルしているんだ。そうまるでシルクの様でいつまでも触っていられるかのように────」



これ以上はマズイと思い慌てて話題を振る。



「OK!ストップ!ストップだ!!お前の熱意はわかった。そんなに美しいなら一度見てみたいな。写真とかある?」



「いやいや、写真と言わずに、今日ウチに来いよ。合わせてやるからさ」



「はぁ?夏の間で何処まで行ったんだ?お前は?」







友人宅に着き、緊張しながら部屋に通される。



「少し待っていてくれ」そう言われ待つ事、数分。



ベッドに腰かけ待っていると扉が開かれた。



どんな美人参加と思いきや、奴が手にしていたのは一抱えもある巨大な水槽だった。



「紹介するぜ!オレのカノジョのピィちゃんだっ!!」



水槽の中に居たのは40㎝は優に超える大きなイグアナだった。



「紛らわしいんじゃっっ!!ボケェェッ!!!」



俺の視線はイグアナとヤツを何往復もした後、自分でも驚く声量で叫んだ。





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