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掌編小説  作者: 唯野
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三題噺 カレー、海外旅行、ブログ 

その日も莉愛はいつも通りPCに向かいカタカタと何かを打ち込んでいた、誰にも負けない自信があるカレー愛をつらつらと綴ったブログのお気に入り登録の数を眺めていた。


「中々見てもらえないなぁー」


カレーショップで働き休みの日にもカレー屋を巡る。


そんな彼女は日課のブログを更新していた、愛するカレーを色んな人にもっと知ってもらいたい、届けたい、そういう気持ちで初めてみたが、閲覧者や登録者数が全く持って増えない。文章がへたとか、食レポが下手とかではなく単純に見てもらえない。


「こうなったら、いっそ本場にでも行ってみるか?そしたら少しは見てもらえるかも……そうだ!動画にでもしてみよっ!最近はやりのVlog!!」


普段から人一倍の行動力の持つ彼女はその日の内に有給休暇を取り一泊二日の弾丸インド旅行に旅立った。


カレーの為に貯金はあまり出来ていないが、それでも、何か得られるものがあると信じてニューデリーに降り立った。


「暑っ!?」


インドに来た莉愛の感想はその一言だった。


辛いカレーを食べて汗をかくのは平気だが、単純に暑いのは苦手な莉愛はさっそく、冷房の効いた室内で且つ評判のあるお店に行…………かないで、露店巡りを始めた。


ネットにある情報ばかりに頼っていては自分にプラスにはならないと思い、普段の食べ歩きと同様に、街を散策して行く。


「ここよさそうね、英語訳アプリで通じるかな」


そこは古い建物の一階にある飲食店だった。外から見る限り満席な上に皆食べているカレーが黄色をしていた。その色味と甘いニオイに釣られてお店に入った。


しかし、出迎えてくれたのは訛りの強いインド人で英語もダメそうだった。


「すみません、日本の人ですよね?お一人で旅行ですか?」


ガイドも付けない行き当たりばったりの海外旅行は莉愛らしくもあったが、日頃の行いが良かったのか、運が良かったのか一人の日本人の男性が話しかけてくれた。


「ええ、そうですけど、貴方は?」


「ああ、いきなりすみません私、インドで現地ガイドをしております花田透といいます」


そう言って見せてきたパスポートを見た莉愛はその人が本物のガイドであると確認した。


「始めまして双鹿莉愛といいます、本場のカレーが食べたくなって弾丸旅行に来たんでガイドを付けてなかったので、丁度良かったです」


そこで今回の旅の目的を説明した莉愛は彼を雇うことにした、おいしいカレーを食べ、それを動画にしてシェアしたいと、その考え方に賛同してくれた透は、今回のガイドを無償で引き受けてくれた。その後は色々とお店を巡り楽しんだ莉愛は帰国した。


「これで良しっと!」


当初の目的を達成したが中々増えないし、旅費がかさんだので、掛け持ちでアルバイトを始めた、もちろんカレー屋でだ、しかし、本場のカレーを食べた莉愛はどうせならインド人が経営している場所で働けばいいのではと思い、探して働いてみたら不思議と懐かしい味だった、聞けば、そこの店主は透の進めてくれたお店の主人の弟が経営していた。


旅の動画と合わせてそこをブログにのっけた所反響を呼び、お店は繁盛し、リピーターが増え、ドはまりした人はわざわざ現地の兄弟店まで行ったとSNSに投稿されていた。


これからも、莉愛はもっといろんな人にカレーを愛してもらう為、食べ続ける。    了




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