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言う気(ゆうき)

作者: アキヒロ

「はあ、、だめだまったく自信がない」


片思いし始めて半年。仲の良い友達までは関係を築くことができたが、むしろここからが本番だった。


今は1月。いわゆる3学期が始まったばかり。好きな子とクラス替えで別々のクラスになり距離が離れる可能性を考えると、残された時間はもうわずかしかなかった。


ここ最近は毎日、今日こそは何か進展をと思いながら学校へと通っている。しかし、何もできない。冗談交じりに言えば悪口だって言える仲なのにその方面になると一言も言葉が出てこなかった。


(違う、そもそも母さんが携帯を持たせてくれないのが悪いんだ。だって周りのやつはみんなラインで告白したって言ってるし、そもそも遊びの約束だってラインでするもんだろ今のご時世、携帯があればきっと言えるんだ)


仮に遊びにでも誘おうとすればそれは必然的にクラスの中になる。そうなれば誰かに聞かれることはほぼ必然。そうなってしまえば待っているのは学校生活における死。



(どうすればいいんだ、誰にもばれずに思いを伝えるには...)


「はは、懐かしいな。中学の一年生の時な。初恋でどうしたらいいかなんて分からなくて、分からないまま終わったんだよなー」


20歳。お酒を飲めるようになり、当時の友達と今はもう時効となった話をする。


「え?そうやったん!?お前、あいつのこと好きだったのかよ!」


中学どころか小学校から今まで人生を通しての友人たちに驚かれる。


つまるところ俺の敗因は感情を隠すのがうまかったことだと思う。恥ずかしいという感情が働き自分の気持ちが誰かにばれるのを恐れすぎていた。


今なら思う。俺があの時するべきだったのは好きな子に気持ちを伝えるより前に、仲の良い友達たちにまずは打ち明けるべきだったのだろうと。


好きな相手に本心を告白するというでかい壁の前で結局3年間プルプルしていたままだった。


俺はまず、友達に相談するという身近な階段を上るべきだったのかもしれない。そうすれば周りのサポートで少しづつ上っていき、最終的にはその壁に手が届くところまで...と手遅れの今しみじみ思う。



要するに一人で黙って考えたってしょうがないってことだろう。必要なのは言う(ゆうき)だったと酒を飲みながら思いにふける。


最も、大人になっても連絡の1つもできないチキン野郎には根本的に勇気が足りないけど







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