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18 いろいろな人たちとの冒険

冒険者ギルドへおもむいた私は、多くの冒険者からちょっと組んでくれと声をかけられた。


なんでも、ユミーリア達が昨晩、居酒屋で私のことをそれはもうたいそうすごかったと話したのだそうだ。


それに興味を抱いた者たちによって私は囲まれていく、といって、分身できるわけでもない。


というわけで、しばらく、人気者となった私は選り好みせずにいろんなパーティと依頼をこなしていった。


中にはランク1でこれからという冒険者や、ランク5の強い冒険者、内容は荷物運びから、畑仕事や掃除から、魔物討伐、護衛など様々だ。


中には数日かかる依頼もあった。


戦い方は千差万別でありつつも、対処法の定番はある。強い冒険者ほど定番に従う。知らない剣術や槍術、格闘から棒術、呪文魔術の使い方を見て、それらを映像として記録して、頭の余剰領域で並行して分析させておく。


私は剣による前衛もできれば、魔法による攻撃役、補助、防御、治癒、探索、そして料理と何でもありであったため、どこでも十二分に役に立った。


そんなおり、冒険者にする依頼には思えない張り紙が見つかった、いろんなところに張り出しているのかもしれない。


その内容は「急募、料理人が倒れて病気のため、至急代わりを務めてくれる人」だった。


ランク4にはあまり関係ないが、ちょっと気になったので、私はそれを受けることにした。


そうして商店街の一角へと向かう。話を聞くと、パスタ的なものをメインとしている料理店らしい。そういえば、料理研究に夢中で街の散策はあまりしていなかった。こういう店もあるのか。


風邪でうなされている店長から、料理の内容を細かく聞き、食材を確認していく。買い出しなどは他の人もやっていたため、代替えが利くのだが、料理だけはどうしようもないらしい。


困って、冒険者ギルドやら商業ギルドなどいろんな張り紙が出せるところに張り紙を出したのだという。


財務状況を確認したところ、たぶん、風邪が治るまでお店を休んでも問題ない気もしたが、そういうところは考えが回っていないようだし、説得も難しいかもしれない。


依頼も受けたことだし、ということで、実際に私が調理できるか、実践して見せる。


小麦粉的存在まで細かくすりつぶした粉状の植物を使い、てきぱきと麺を作っていく。この辺の多くは元の世界の知識との合わせ技だ。


薄く伸ばした生地を適度に形を整え、丸めてトトトトトトと刻んで麺をつくる。本来はここでしばらく置くのだが、時間がないので、魔法でそれらしく乾燥するように変質させる。ここが予想しにくい難しいところだ。


ひとまず、先に進んで、ソースと野菜やこま切れ肉を作って、盛り合わせていく。


最初は、店の人たちも信用0といった塩梅だった。ランク4の冒険者カードはなんとなくわかっても、それは冒険者、力自慢の証であって料理は別だ。


とはいえ、そんな冒険者なのだから、ひとまず見守ろうという流れになり、調理の手際の良さとどんどんできはじめていく料理を見て、彼らの考えも変わっていく。いけるかもしれない、と。


そうして、店員さんたちに試食してもらう。


「おぉ、美味しい。だが、少しこう違う」


ということで、いくつかの試作を繰り返し味を調整していき、納得してもらえるところまで進める。


残念ながら、料理人さんは風邪であるため、食べてもらっても味が分からないため、ゆっくりしてもらっていた。


そして、翌日、私は料理人としてデビューした。


#


翌日から、厨房は大忙しだった。よくよく聞いてみると人気店の1つだったのだそうだ。休んでしまうとほかに客を取られてしまうかもしれない、そういう焦りもあったのだろう。


とにかく、大人向けの台所に台座を置いてもらって四苦八苦しながら、料理を次々と作っていくが手が足りない。


しかたない、魔法も使って火をおこしたり調整したりしつつ、風で消したり、味見は魔力を伸ばして感じてと魔法も使っての全力全開だった。足りない分は魔法で補った。


このままでは大変だと、来客人数を予想シミュレートし、あらかじめ作りながら無駄が出ても損失とならないようにとあれこれ考えて対処していく。


すると、どんどんとお客さんは増えた。


なぜか、答えは簡単だ。ほかの店より、料理が出てくる時間が早いのだ。すっと出てくる料理、忙しい人たちにはとくに評判が良かった。


そうした評判で長蛇の列ができるも、列はあっという間に進んでいく。


そう、事前の仕込みも十分行っているし、お客の変動も予想で来ていて仕込みの量も的確にできていた。


その結果、冒険者の少女が料理人の代役を務めたらすごいことになってる、といううわさが立ち始めた。


とはいえ、もともとの料理人さんも風邪が治る、私は惜しまれながら、仕事を終えたのだった。


その後のお店の状況は、元に戻ったという。それゆえに、私の噂はさらに広がった。


#


そうした料理の依頼が終わって冒険者として再稼働し始めたころ、街マグルの領主から、呼び出しがかかった。


うーん、なんだろう、何かやらかしただろうか。

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