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15 街マグルへの旅路

翌日の昼食時。


レーグスが行商隊と相談した結果、中央側を守る隊として緊急で雇われることになった。


他の冒険者は1人とはいえ欠け、ほぼ全員が疲れ切っている。場合によっては引き返しも考えなければならない状態だった。


中央を守っていたパーティには前と後ろにわかれてもらい、夜の番などの休息時間を増やす形とした。


「えっと、これはリミィちゃんも見張りをしないとだめなのかなぁ?」


「俺を誰だと思っている、俺一人でこのくらい何とでもなる……が、まぁ、アイリア、少しは働いてもらうぞ。」


「もちろんです。それにしても、前金がっぽりじゃないですか、ふっかけたんですか?」


「いや、お礼も含まれているそうだ。俺たちがいなければ、全滅していただろうからな。」


ふと思う、私は行商人さん達を守ることを優先した、それは本当に良かったのだろうか?


「レーグス、みんなを守ったほうがよかったのでしょうか?」


「ふん、昨日もいっただろ。自分を守る自信も余裕ないのに護衛を受けるのが間違いだ。そして、それをちゃんと理解するには仲間の死や、それをはたから見て乗り越えなければわからん。

 いいかアイリア、善人になる必要なんてこれっぽっちもなければなれもしない理想だ。」


「どういうことです?」


「どのみち、誰かの敵にはなってしまうものだ。」


どうだろう、力があるから助けるべきだった、そう考えるのは1つ正しいようにも思えるし、レーグスの言うように、もし私が助けてしまったら、今回の他の冒険者たちは反省をせず、また別の場所で同じような後悔をしたのだろうか。


後悔が早かったか、遅かったか、そして確かに自分の身を守れないのに護衛を受けるというのもおかしいというのは正しい。


また、力があるからと言って、助けるべきだ、という考えには少し違和感がある。前の世界での知識だが、それは弱者にとって都合のいいいいわけでもある。助けてもらって当たり前なのだと。


本当に正しかったかどうか、結局は今すぐ決めれるものでもなかったりする。


「ということでしたら、私は少し休憩しておきますね。」


「あぁ、頼りにしている。」


私は、レーグスがいつもしているように剣を持って寝るような体制で休んだ。しばらく、訓練はいったんやめておこう。


#


人物探知の効果で危険を予測できていた私たちは、次の盗賊の襲撃に難なく対処する。


根本的に、前回の盗賊達のほうが上手で規模も大きかったがそれでも、勝ちは勝ち、その勝利にほんの少し冒険者たちは安堵感というか自信が戻っていくのを感じているようだ。


今回はレーグスの活躍は必要なかった、敵の規模の小ささと、位置が分かっていれば対処はたやすい。


ツタの呪文で私が次々と拘束していくとあっとう言う間に敵は動けなくなっていくし、防御障壁でのガードも万全で、味方は攻撃が非常にしやすい。


相手に魔術師がいないというのも楽だった。私は基本的に敵の拘束と味方に被害が出ないようにするだけで十分対処できたのである。


そうして、やめていた訓練も夜の見張りのリズムがつかめてきたので3割程度再開する。リミィに隠匿の看破について習うことと魔力の隠匿を最初の課題とした。それはまぁ、周囲に影響を与えずにやりやすいから、というのが一番の理由だ。


レーグスはまるで部隊長のようだ、複数のパーティをまとめ上げている。


なんとなく様になっているなと思う。


勝利はしたが、油断しないよう、それぞれのパーティに活を入れている。


休息をとるときの位置、焚火はどう配置し、どこで見張るべきか。体調はどうか。つっかかって来る者には問答で鉄拳制裁である。


とはいえ、その教え方も非常に上手に見えた。集団を相手に、教える、指揮をする事に長けている。


これまで気づかなかったが、私に剣術やその他を教えるのも、上手かった。


見て覚えろではないのだ。何を伝えればどう伸びるか、そして、どうすれば、独学していけるのか、並行して伝えていく。


ランク7の戦士、そう、それは伊達ではないのだ。確かに異常に強い、そして一人旅ができる力があるそれは知っていたが、それ以上の何かを見ている気がする。


軍隊で指揮をとっていてもおかしくない風格を感じるのだ。


#


ふと昼の昼食後の訓練でおもいついたので、リミィに確認してもらう。


「どう?私の魔力って感じる?」


「ううん、全然わからない、なになに、なにやったの?」


「えっとね、ほらリミィって幻術で光の幻を出すようりょうで姿を隠したりできるじゃない。つまり、そっち方面での細工をしたの。」


「どういうこと?」


残念ながら頭のよわめなリミィは、今の説明では言葉が足りないらしい。


「うーん、私たちは光を目で見ているよね。」


「そうだよー。」


「そして、魔力も同じように感じることができ、色もあるんでしょ?」


「ふむふむ。」


「だから、魔力の感じ方をごまかす幻影、うすーく空っぽな空間にただよう魔力しか感じないような幻影を生み出したの。」


「なるほど、隠匿を極めたのではなく幻影なんだー。」


こうして仮ではあるが、魔力の隠匿を幻影によってできるようになった。隠匿自体の修業は後回しにしていいかもしれない。


#


数日がたち、なんとか街マグルが見えてきた。


さて、ここではどんな本があるだろう。あと、しばらくやっていなかったレグルスとの稽古もしてみたい。いろいろ鍛錬を重ねたのでできることが広がったはずだ。


そう期待に胸を躍らせながら、街の門をくぐった。

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