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79話 馬渕翼の目的

新作もはじめました! (F級の投稿も続けます)


良かったら読んでみてください!↓


この身勝手な異世界に復讐を~異世界転移したら失敗作として捨てられた俺が《災厄の魔王》と呼ばれ、復讐を果たすその日まで~

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また、いつも評価やブックマークありがとうございます!

大変励みになっております


「は……?」


一体何を言っているのか、響にはよく分からなかった。


この世界に終末が訪れると、馬渕翼は確かにそう言った。

巨大隕石の衝突? それとも天変地異でも起こるのか? 様々な憶測が頭を過ぎるが、そのどれも現実的ではない。


そんな事を考えていると、クラッドがクスクスと笑いだした。


「響君混乱しちゃってるっすよ! ちゃんと説明するっすよ」

「ど、どういう事ですか……?」


どうやら、翼の説明不足だったようだ。

だがそうだとしても、いきなりの終末論となると、どうにも納得し難い気もするが。


「あー……悪いな。話が飛躍しすぎた。まず、なぜこの世界にダンジョンと覚醒者が現れたのか知ってるか? まずそこから話そうか──」


それから翼は、変わり果てた世界の生い立ちを語り始めた。




「そんな……本当、なんですよね。今の話」


それはにわかには信じがたい内容だった。

元々の世界は現世(うつしよ)と呼ばれ、その他の次元に存在する世界は幽世(かくりよ)と呼ばれているらしい。


幽世のどんな願いをも叶える神の存在、それを利用し現世と幽世をごちゃ混ぜにした組織、狂信者(エスペランサ)


それにより世界のバランスが崩壊し、幽世の影響を強く受けた現世は生態系が大きく変化し、本来持たない力が生まれてしまった事。


次元の亀裂とも呼べるものが、いわゆるゲートなのだ。


そして現世に存在すると言われている悪魔の復活。それこそが狂信者の目的なのだと言っていた。


それらをいち早く察知し、翼やクラッド達を別の次元へと飛ばしたのがあるアプリの開発者、三宅悟(みやけさとる)

翼やクラッド、響を治療したリリアと副会長秘書であるウルはそこで出会い、牢獄とも呼べる異世界から脱出したらしい。


尤も三宅悟が何を知り、何故そんな事が出来たのかまではわからないらしいが。


翼の話す事全てが現実離れしすぎていて、響はなんだかアニメや漫画の話でも聞いているような気分だった。


「ああ、じゃなかったらこんな世界になってねぇ」


再び煙草に火をつけた翼の目は、少しだけ悲しそうに見えた。


この世界のおかげで、圧倒的な力と絶大な権力、誰もが羨む功績を残した翼だが、本人はそれをどう思っているのだろう。

少なくとも響には、翼が満たされているようには見えなかった。


「俺達の目的は大きく分けて2つ。まず1つは三宅悟に会って話を聞く事だが……2年前から消息不明で正直お手上げだ」


響の記憶の片隅にも三宅悟の名前はあったが、あまり詳しい事は覚えていないし、なんなら当時の響は三宅悟に興味もなかった。


翼は煙草を深く吸い込み、宙に向かって煙を吐き出すと「もう1つは」と、続けた。


「あのクソ共、狂信者の駆逐だ。あいつらを放っておけば、この世界は間違いなく終わるだろうな」

「でも、翼さんがいれば大丈夫なんじゃ……」


思わずポロリと本音が出てしまった。

翼がいれば何とかなるのでは? というのが響の正直な意見だ。


悪魔だか狂信者だかは知らないが、相手が誰であろうとこの男に勝る存在はないとさえ思っている。


「ははは、まあ言いたい事は分かるっすよ響君。敵が1人ならそれでもいいんすけどね……中々そう都合よくもいかないっす」

「そういう事だ。俺1人で対処するには話が大きすぎる。まあ今すぐ答えを出す必要はないが、大会までには頼むぜ」


この話の後で大会、と言われてもどうにも馬鹿らしくなってくる。

だがなぜ唐突に大会を開いたのかは、なんとなく理解できた気がする。


翼は大会を通して、有望な人材を選定するつもりなのだ。

覚醒等級だけでは強さは測れない。

自分の目で見て確かめるのが1番手っ取り早いし、何より確実だ。


「わかりました。それまでには必ず!」


響は真っ直ぐに翼を見て頷いた。

ある程度答えは固まっているが、それでも即答する訳にはいかない。


ミアにもきちんと話をして、それから2人でどうするか決める必要がある。

それが最低限の筋というものだ。


「ああ、頼むぜ。んじゃ、そろそろここのボスにも死んでもらうか。……いや、いい事思い付いたぞ」

「クロードさん、結構悪い顔してるっすよ」


何か閃いたようにニヤリと笑い、こちらを見る翼の顔は確かに悪巧みをしている時のそれだった。


「何を──」

「お前、ボス戦一人でやってみろよ。なに、ヤバくなったら助けてやるから」


「え」と思わず声が出た。

響はここがどのランクのダンジョンかもわかっていないし、なんならアイテムなど何一つ持ち合わせてはいない。


シンプルに戦う準備が出来ていないのだ。


「あ、あの……因みに、このダンジョンってランクは……?」


正直な所、嫌な予感がした。

するとクラッドが申し訳なさそう顔で、しかしハッキリと、


「え、Aランクっす」

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