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61話 ミアの行方①


ミアがギルドを抜けるため北海道へと向かってから、既に3日が経過した。

それだと言うのに未だに連絡はない。

追撃のメッセージを送っても既読にもならず、響は段々と心配になってきた。


「ギルドの名前くらい聞いておくんだった……!」


もしかしたら何かトラブルに巻き込まれたのかもしれない。そう思うといても立ってもいられなくなる。


だがギルドの名前すらわからない響は、部屋の中を意味もなく歩き回るだけでどうする事も出来ない。


「あ」


ふと立ち止まり何か閃いたのか、しまっていた1枚の名刺を取り出した。


「ソフィアさんなら調べられるんじゃ……?」


それは先日あったソフィアのものだった。

確かに管理課課長のソフィアなら所属ギルドを調べる事くらいは簡単に出来るだろう。

ただ、それと響に教えてくれるかという問題は全く別物だ。


悩む事はしなかった。どの道、他に出来ることはない。

ダメ元でソフィアに電話をすると、ツーコールもしないうちに出てくれた。


「お疲れ様です。先日お会いした佐藤です」

『あらぁ、早速プライベートのお誘いかしら? ふふ、思ったより大胆ねぇ?』


茶化すソフィアだが、同じテンションで返す気にはならなかった。


「あ、いえすみません。違います。ちょっとソフィアさんの力が必要で……力を貸してくれませんか?」

『ふーん……? ちなみにだけど、内容は?』

「仲間の所属ギルドを調べて欲しいんです。ギルドを抜けるって言ったきり連絡が取れなくて……」


響は目を瞑り、天にも祈る思いでソフィアに頼み込む。


『なんだか切羽詰ってるみたいね。いいわ調べてあげる。その子の名前と……せめて覚醒等級が分かればある程度絞りこめるのだけど……』


その言葉を聞いた瞬間、思わず拳を握った。


「ありがとうございます。名前はミアで、等級はDだったはずです。ソフィアさん、よろしくお願いします……! 」


通話だと言うのに響は、目の前にソフィアがいるかのようにその場で頭を下げた。


『いいのよ〜。後でショートメールでも送るわね。それじゃあね』


電話をきってから5分程で、ショートメールが届いた。


〚ギルド名わかったわよ。氷鬼(ひょうき)ギルドって所なのだけど……あまりいいギルドじゃないみたい。何かあっても下手に手を出しちゃダメよ? ギルドマスターはA級探索者だからそこそこ影響力もあるし、規模も小さくないから。それじゃあね〛


「氷鬼ギルドか……」


いいギルドではないと言われてしまったら、余計に不安になる。

音信不通の事実もありどうしても悪い方へと考えてしまう。


ソフィアにお礼のメールを送り、すぐに飛行機を調べた。

北海道へ行くの次の便は2時間後。幸い、席も空いていたため直ぐに予約を済ませた。


──無事でいてくれよミア……


最低限の身支度をし、空港へと向かった。


────


──



飛行機に乗る事1時間半。

響は北海道の新千歳空港へと到着した。


氷鬼ギルドは北海道最大の歓楽街、すすきのに居を構えていて空港からは近くまでバスが出ている。

響はバスにのり1時間ほど揺られていた。


バスが到着し降りると、途端に寒さが襲いかかってきた。

空港ではギリギリまで室内で待っていたので、それ程影響はなかったが、ここからはそうも言ってられない。


「さむっ!一応冬服用意してきたんだけどそれでも寒いや」


四月とはいえ神奈川に比べるとまだまだ気温は低く、1桁も珍しくはない。

ダウンコートを着ていようが寒いものは寒いのだ。


震える手でスマホを操作し、マップを頼りに歩いていくとやがて歓楽街と思わしき場所に着いた。

ここが俗に言うすすきのだ。


さすが歓楽街と言うべきか居酒屋カラオケは勿論、怪しい店や大人の店が乱立している。キャッチや客引きも多く、響はこの場所があまり得意ではなかった。


氷鬼はビル1棟を貸し切っているらしく、現地人に場所を聞くまでもなくわかった。

歓楽街入口付近のビルにはデカデカと『氷鬼(ひょうき)ギルド』の文字。


「ここが氷鬼ギルド……」

──ここにミアがいるんだよな。


パンと両頬を叩き気合を入れると、響は氷鬼ギルドへと入っていった。

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