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4話 障子の怪物②


「魂が宿るは1つ……? 決して違える、事なかれ」


この巻物は響達にとっては生命線だ。

ダンジョンを攻略するキーアイテム。

先程はあの化け物について必須の知識が書いてあったが、今回のは意味がわからない。


──魂が宿る? 障子にか……? だけど、絶対に間違えちゃいけない。多分、間違えたら……


ゆっくりと振り向き、倒れている人達の姿を見た。

自然と喉が動いた。


──無理だ。障子の中から1つの目なんて、何か違いを探す事もできないのに。


「み、宮田さん。なにかありましたか!?」

「すまない……そっちは?」

「文字が浮かび上がってます。けど、意味がわかりません。ただ、魂が宿るは1つ。決して違えることなかれ、と」

「なんだそりゃ。参ったな……」


宮田が呆れ声を上げたその時だった。


「こ、こっちにも巻物があります!」


二手に別れて探索にあたっていた梨沙の手には赤色の巻物。


「読んで見てください」

「は、はい! えっと……逢魔が時に全ては無に帰すであろう」


全てを無に帰す。端的に考えれば、逢魔が時を迎える事は響達攻略隊にとってタイムオーバー。イコール死だ。


「逢魔が時か、今の時間に直すと大体18時頃だな。……響君は腕時計をしていたね。今の時間は──」

「じゅ、17時55分です」

「え……」

「なん、だと?」


宮田はあまりの衝撃に力が抜けたように膝から崩れ落ちた。

梨沙は絶望した表情で涙を流し、その巻物をぐしゃくじゃにした。

その中で、響だけはこの状況を打破しようと思考を停めずにいた。


「まだだ! まだ時間はあります! でも、俺一人じゃクリアできません。協力してください」

「あとたった5分だぞ? 今更もう……」

「私こんな所で……こんな所で死にたくない……うぅ……うぅぅぅっ!」


──駄目だ。心が折れてる。でも俺1人じゃどうしようも……考えろ、考えるんだ! ヒントは必ずあるはずなんだ。この部屋に来た時からの事を全部思い出すんだ!


絶望的なこの状況下でも響はまだ諦めていなかった。響はひたすらここに来てから今に至るまでの事をグルグルと思い返していた。


──あの時、最初の一文はなんだった? 碁打ちの魂は悠久。多くの目を……


まてよ。

響は何か引っ掛かりを覚えた。


「碁打ちの魂……なんで碁打ちである必要があるんだ? いや、そこじゃない。碁打ち、囲碁……ッ!!」


響は目を自然と見開いた。


──何故今まで疑問に思わなかった! 馬鹿か俺は。わざわざ巻物の隣に碁盤があるじゃねぇか!


碁打ちの魂は悠久。そして魂が宿るのは1つ。ここまで来れば全てが繋がる。


──これだ! これしかない!

「宮田さん! こっちに来て碁盤を破壊してくださいッ」

「は? 碁盤を? 一体こんな時に何を」

「いいから早くッ! 時間がないんだ!!!!」


響は腕時計を確認。既に時刻は17時59分。逢魔が時まであと1分を切っている。

そして悲しい事に佐藤響はF級覚醒者。木の塊である碁盤を破壊する力など持ち合わせてはいない。

だがC級の宮田なら話は別だ。この程度の碁盤など簡単に叩き割ってくれるだろう。


──あと45秒。


宮田は覚束無い足取りで響の元へと駆け寄る。


「この碁盤を壊せばいいんだな?」

「早くッ! 時間が!」

「わ、わかった」


──あと30秒。


宮田は腰に提げている長剣を抜いた。

振り上げ、そして碁盤目掛けて全力で振り下ろした。

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