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46話 決戦!フラクタス②


パキッという軽快な音と共に三叉槍に付いていた宝石が砕け散る。


「人間、死ぬ覚悟はいいか?」


フラクタスは三叉槍を地面に突き刺す。

何をしようとしているのか、まるで検討もつかないが本能が危険を察知した。


──ヤバい。あれは絶対にヤバい。でも……じゃあどうする! デバフのせいでよけれるとは思えないし……


あれこれと考えるも次の攻撃を凌ぐ手段が浮かばない。

フラクタスがそれを待つはずもなく、


「水禍・大瀑布」


フラクタスか三叉槍を握る手に力を入れ唱えた。


静まり返った空間は一転し、洞窟全体が大きく揺れ始める。

逆さの三叉槍から、左右に別れる膨大な量の水が吹き出て水の壁を創る。

やがて、響を中心に二つの壁はまるで貝が閉じるように強烈な勢いで迫る。

左右はもちろん、例え上に逃げたとしても到底避けきれるものではない。


「万事休すかッ!! ──ぇ?」


覚悟を決めたその時だった。

視界いっぱいの巨大な氷壁が出現し、大瀑布の侵攻を妨げた。


「かふっ……まけ、ないで……」


血を吐き今にも意識がなくなりそうなミアが、響を守る為に最後の力を振り絞り魔法を使ったのだ。


しかし、現実は残酷だった。

力の奔流とも呼べる大瀑布は、氷壁を粉々に砕き響を呑み込んだ。


これは呑み込まれてわかった事だが、大瀑布の正体は猛烈な勢いの数多の水流だ。

それも同一方向ではなく、上下左右とあらゆる方向に向けて流れている。


あらゆる方向へと向かう水流は、凄まじい圧力で響を押し潰さんと猛威を奮っていた。


脱出しようにも平衡感覚がなくなり、どこへ向かえばいいのかもわからない。

上半身は上に向かう水流に押され、下半身は下へと向かう水流に捉えられている。


──身体が引きちぎれそうだ! 早く脱出しないと……本当に死ぬぞ!


それからあらゆる方向に流され続け、やがてミアの創った氷壁の残骸へと衝突した。

幸いな事に大瀑布でかなり溶けていて尖った部分はない。


しかし、その衝撃で肺の中の空気を出してしまった。

ボコボコと口から逃げる命の気体。


──もう、息が……!


痛みと酸素不足で意識は朦朧としていた。

一体いつまでこの地獄は続くのだろう。


限界に達する直前、猛威を奮っていた大瀑布の水が弾けた。


「がはッ……!」


その瞬間、響の血涙を流し、耳と鼻からもドロリと血が垂れながし、吐血した。

水圧が一瞬に消えたせいだろうか。


気持ちが悪い。全身が痛い。きっと何本かの骨にはヒビが入っているだろう。


「ほう、まだ息があったか。すぐ楽にしてやる」


三叉槍を引き抜くフラクタスだが、口調とは裏腹に疲労の色が見える。

あれだけの大技を使ったのだ。なんともない方がおかしい。


響か大瀑布をくらっても息があるのは、直前で威力を殺した氷壁のおかげだろう。

それがなければ、恐らくはもう力尽きていたはずだ。


「げほっ……まだ、諦めねぇぞ……俺はお前を倒してみせるッ」


そうは言ったものの、現状を打破する術はない。

先程の大瀑布のせいで白光もどこかへ流れてしまった。


「その意気やよし。せめて一撃で楽にしてやる」


三叉槍を構え、フラクタスはこの戦いに終止符を打とうとしていた。


その時、響の視線はフラクタスとは別にあった。

目の前に文字が表示されたからだ。


【スキルの再構築が完了しました】

【スキル 臨界点Lv10が黎明之刻(デサフィアンテ)Lv1に変化します】


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